いろいろあってわからない!?Intelチップセット解説

マザーボードに搭載されているチップセット。チップセットによって機能が大きく変わってくることもあるので、マザーボードを購入するうえでチップセットを比較することは多いだろう。
そこで今回はIntelのチップセットの機能の比較、用途別のおすすめチップセットを紹介していく。
なお今回はIntel 300シリーズのみの紹介とする。

目次

そもそもチップセットって何?

チップセット(Chipset)とは、原義では、ある機能を実現するために組み合わされた複数の集積回路(IC)の集まりであり、PC/AT互換機(に類似したパーソナルコンピュータ)のマザーボードに実装される、CPUの外部バスと、メモリや周辺機器を接続する標準バスとのバスブリッジなどの機能を集積した、少数の大規模集積回路(LSI)をチップセットと呼ぶことが多くなっていたが、1個にまで集積された後もチップセットという呼称を続けている。

wikipedia

つまりCPUとその周辺機器との橋渡しをする機能がある。近年はCPUにチップセットの一部の機能が組み込まれていることもある。

Intelのチップセットの役割を簡単に図示してみた。グラフィックボードを差しているPCI ExpressはCPUとつながっているが、ほかのPCI Expressはチップセットを介してCPUとつながっている。後述するが、このCPUとつながっているPCI Expressが分割できるかどうかでグラフィックボードを二枚使用するNVIDIA SLIやAMD CrossFireが使えるかどうかが変わってくる。

何が違うの?

チップセットはそれぞれ特徴があり、細かいところまで紹介していると長くなってしまうのでここでは、主に3つの大きな違いについてまとめた。

・オーバークロックができるかどうか

オーバークロックはIntel製CPUの中でKがついた倍率ロックフリーのモデルのみ使うことができる。CPUの電圧やクロック数などを任意に設定でき、性能を向上させることができる機能だ。なお、オーバークロックした場合、保証は使えなくなるので要注意だ。
オーバークロックは倍率ロックフリーのCPUと対応したマザーボードがそろって初めて使える。
intel 300 シリーズの場合、オーバークロックに対応したチップセットはZ370チップセットとZ390チップセット だ。
Z370チップセットはZ390チップセットより少し古いので今から新しく買うのであればZ390チップセットを搭載したマザーボードを買うことをお勧めする。

・ NVIDA SLI/AMD Cross Fireがつかえるかどうか

NVIDIA SLI / AMD Cross Fire はグラフィックボードを複数使用し、並列して処理を行わせることで、性能を向上させる技術である。
これらを行うのもまた、チップセットによってできるかどうかが異なってくる。
NVIDIA SLI / AMD Cross Fireを使用するにはPCI-Expressのレーンを分割する必要がある。これができるのがintel 300シリーズの最上位チップセットであるZ370とZ390である。ほかのチップセットは基本的には対応していない。ただし、Cross Fireについては下位チップセットでも使用できるものもある。

・RAIDできるかどうか

RAIDとは複数のドライブを同じドライブと認識させることによってデータの冗長化ができたり、書き込みを分散させることによってドライブをより高速化できるものである。RAIDには様々なモードがあり、それぞれ違った特徴があるので様々なストレージを構築することができる技術である。
RAIDもまた、チップセットによってできるもの、できないものがある。
Intel 300 シリーズではQ370, B365, H370, Z370, Z390のチップセットで使用できる。

・USB, Wifi, SATA, etc…

上記した以外にもいろいろな違いがある。いくつか挙げてみると、
・USBのリビジョン、最大ポート数が異なる。
・ Intel Wireless-ACが搭載されているかどうか。
・ SATA 6Gb/sのポート最大数が異なる。
・最大ディスプレイ数が異なる。
・バススピードが異なる。
などいろいろな違いがあり、目的に合わせてチップセットを選ぶことが重要だ。

現行のチップセット

8,9世代で使用できるチップセットには以下のものがある。

マザーボードによっては、BIOSをアップデートしないと、第九世代のCPUが動作しないものもある。第9世代のCPUが動作するかどうかは各メーカーのWebなどで確認してほしい。

Intelのチップセットを大きく分類するとB,H,Q,Zのアルファベットが頭文字に来る。Bシリーズは廉価グレード用、Hシリーズはミドルレンジ用、Qシリーズは組み込み機器向け、Zシリーズはハイエンドモデルとなっている。
ただし、H310はBシリーズからさらに機能を省いて低価格にしたチップセットである。

 H310B360B365H370Q370Z370Z390
オーバークロックできるか×××××
メモリ対応枚数
(チャネル当たりの数)
1222222
対応ディスプレイ数2333333
PCI Express リビジョン2.03.03.03.03.03.03.0
PCI Express レーンの最大数6122020242424
プロセッサーPCI Expressポートの構成1*161*161*161*161*16
or
2*8
or
1*8+2*4
1*16
or
2*8
or
1*8+2*4
1*16
or
2*8
or
1*8+2*4
NVIDA SLI
AMD Cross Fire
××××
USBポート数10121414141414
USBリビジョン3.1/2.03.1/2.03.0/2.03.1/2.03.1/2.03.0/2.03.1/2.0
SATA 6Gb/sのポート最大数4666666
RAID××〇(0/1/5/10)〇(0/1/5/10)〇(0/1/5/10)〇(0/1/5/10)〇(0/1/5/10)

H310

H310チップセットはH370チップセットからさらに機能を削り、低価格にしたチップセットである。今日ではB365が発売され、市場ではほぼ目にすることはなくなったチップセットである。
価格を抑えるため、PCI-Expressのリビジョンが2.0である、PCI-Expressのレーン数が6しかない、USBの最大数が10である、 SATA 6Gb/sのポート最大数が6である、RAIDが使えないなど機能面が多く削られている。
オーバークロックをしない予定であってもPCI-Expressのリビジョンが古いとグラフィックボードの性能を十分に発揮できないこともあるので、今から新しくマザーボードを買う際にはB365のほうがいいだろう。

 オーバークロックメモリ対応枚数
(チャネル当たりの数)
対応ディスプレイ数PCI Express リビジョンPCI Express レーンの最大数プロセッサーPCI Expressポートの構成NVIDIA SLI
AMD Cross Fire
USBポート数USBリビジョンSATA 6Gb/sのポート最大数RAID
H310×122.061*16×103.1/2.06×

B360

B360チップセットはIntelのチップセットの中でも廉価グレードに位置する。Intelのほかのチップセットに比べると、RAIDが使えない、USBポートの最大数が少ない(最大が14まで)、PCI Expressのレーン数が少ない(最大12レーンまで)といった点が挙げられる。その分価格が抑えられており安いマザーに採用される場合が多いが、近年はB365チップセットの製品が多くなってきている。今から新しいマザーボードを買うのであればおそらく選択肢にはなかなか入らないだろう。また、RAIDが使えないため、RAIDの使用を考えている人は要注意だ(新しいB365チップセットはRAIDが使用できる)。

 オーバークロックメモリ対応枚数
(チャネル当たりの数)
対応ディスプレイ数PCI Express リビジョンPCI Express レーンの最大数プロセッサーPCI Expressポートの構成NVIDIA SLI
AMD Cross Fire
USBポート数USBリビジョンSATA 6Gb/sのポート最大数RAID
B360×233.0121*16×123.1/2.06×

B365

B365チップセットは廉価グレードのチップセットとしては高機能で徐々に普及しつつあるチップセットだ。位置づけとしてはH370チップセットとB360チップセットとの間に位置する。
B360と比較すると、PCI-Expressの最大レーン数が増加している、最大のUSBポート数が増えている、RAIDに対応しているなどより使い勝手がよくなったチップセットである。ただしB365チップセットはUSB 3.0 にしか対応していない。また、 Intel Wireless-ACにも対応していないのでオンボードのWifiを検討している人は要注意だ。Intel製CPUでオーバークロックをしないのであれば機能は十分だ。オーバークロックをする予定がない、もしくはオーバークロックできないCPUの場合、このチップセットのマザーボードを選んでおくのが無難である。

 オーバークロックメモリ対応枚数
(チャネル当たりの数)
対応ディスプレイ数PCI Express リビジョンPCI Express レーンの最大数プロセッサーPCI Expressポートの構成NVIDIA SLI
AMD Cross Fire
USBポート数USBリビジョンSATA 6Gb/sのポート最大数RAID
B365×233.0201*16×143.0/2.06×

ここは少し余談になるが、H310Cというチップセットが実は存在する。H310はもともと14nmプロセスで製造されていたが、H310Cは22nmプロセルで製造されている。H310Cは限定的ではあるがWindows7に対応していたり、DDR3のメモリに対応していたりする。

H370

H370チップセットはB365の上位に位置づけられるミドルレンジのチップセットだ。機能はB365とほぼ同じであるが、B365では対応していない Intel Wireless-ACが利用できる。また、USB 3.1にも対応している。
逆に言えばIntel Wireless-AC やUSB3.1が必要でないならばB365チップセットでも問題ない。しかし、Intel Wireless-AC、USB 3.1が使用したい場合、Z390チップセットもしくはH370チップセットが搭載されたマザーボードが必要になる。オーバークロックはしないが、Intel Wireless-AC もしくはUSB3.1が使用したい場合はH370チップセットが良いだろう。

 オーバークロックメモリ対応枚数
(チャネル当たりの数)
対応ディスプレイ数PCI Express リビジョンPCI Express レーンの最大数プロセッサーPCI Expressポートの構成NVIDIA SLI
AMD Cross Fire
USBポート数USBリビジョンSATA 6Gb/sのポート最大数RAID
H370×233.0201*16×143.1/2.06〇(0/1/5/10)

Q370

Q370は組み込み向けに発売されているチップセットだ。一般的なATX,Mini-ATXマザーボードなどに搭載されることは少なく、組み込み機器やMini-ITXなどのマザーボードに搭載されることが多い。主に企業向けのPCに搭載されることが多くい。企業向けの機能としてvProや Intel Standard Manageability、 ステーブル・イメージ・ プラットフォーム・プログラムをサポートしている。自作PCの時に選択肢に入ることはほぼないだろう。ただしリース切れの企業向けPCが中古市場に流通した時にはこのチップセットが使われているPCがあるかもしれない。

 オーバークロックメモリ対応枚数
(チャネル当たりの数)
対応ディスプレイ数PCI Express リビジョンPCI Express レーンの最大数プロセッサーPCI Expressポートの構成NVIDIA SLI
AMD Cross Fire
USBポート数USBリビジョンSATA 6Gb/sのポート最大数RAID
Q370×233241*16
or 2*8
or 1*8+2*4
143.1/2.06〇(0/1/5/10)

Z370

Z370チップセットはハイエンドチップセットの一つではあるが、Z390よりは機能が制限されているチップセットだ。Z390と比較して大きく違う点がUSB3.1に対応しているかどうかである。Z390はUSB3.1に対応しているが、Z370はUSB3.1には対応していない。また、 Intel Wireless-ACも搭載していない。今日ではZ390が登場し、新しくZシリーズのマザーボードを買う際に選択肢には入らないかもしれないが、中古で買う場合は選択肢の一つとなるだろう。(ちなみに筆者はZ370チップセットでES品のCPUを使用している。)

 オーバークロックメモリ対応枚数
(チャネル当たりの数)
対応ディスプレイ数PCI Express リビジョンPCI Express レーンの最大数プロセッサーPCI Expressポートの構成NVIDIA SLI
AMD Cross Fire
USBポート数USBリビジョンSATA 6Gb/sのポート最大数RAID
Z370233.0241*16
or
2*8
or
1*8+2*4
143.0/2.06〇(0/1/5/10)

Z390

Z390チップセットはIntel 300 シリーズの最上位チップセットだ。オーバークロックができるということをはじめ、ほかのチップセットで搭載されている機能のほとんどが搭載されている。Z370チップセットで対応していなかったUSB3.1や Intel Wireless-AC対応している。intel 300 シリーズでオーバークロックできるチップセットはZシリーズしかないので、オーバークロックしたいという人はZ390チップセット一択であろう。

 オーバークロックメモリ対応枚数
(チャネル当たりの数)
対応ディスプレイ数PCI Express リビジョンPCI Express レーンの最大数プロセッサーPCI Expressポートの構成NVIDIA SLI
AMD Cross Fire
USBポート数USBリビジョンSATA 6Gb/sのポート最大数RAID
Z390233.0241*16
or
2*8
or
1*8+2*4
143.1/2.06〇(0/1/5/10)

おすすめマザーボード

・B365チップセット

定格勢向け、コスパ最強ゲーミングマザボ B365 Phantom Gaming 4

B365 Phantom Gaming 4

一つ目に紹介するのは、ASRockから発売されているB365チップセット搭載マザーボードB365 Phantom Gaming 4 である。このマザーボードは機能が非常によくまとめられている。USBのポート数も多すぎず少なすぎず、ちょうどいい。また、M.2スロットにはヒートシンクが標準で搭載されている。電源回りには12Kブラックコンデンサが搭載されており、堅牢なつくりになっている。しかし、B365チップセットのため、オーバークロックやNVIDIA SLI は使えない。(AMD Cross FireXは使用可能。)
コストパフォーマンスが高いので定格で運用するという人にはお勧めの一台だ。

とにかくコストを抑えたいならこれ! GYGABYTE B365M DS3H

GYGABYTE B365M DS3H

続いて紹介するのはGYGABYTEから発売されているB365チップセット搭載マザーボード、B365M DS3Hだ。このマザーボードは何より価格が安い。B365チップセット搭載マザーボードの中でも数少ない10,000円を切っている。PCI-Expressの金属シールドがなかったり、オンボードオーディオがALC887チップであったり、価格相応のところはあるが、内臓グラフィックが無効化されたFのつくCPUなどでは予算を抑えることができる。
予算があまりない、あまりハードな運用をしないといった人にはお勧めだ。

B365チップセットについては4chunksで別にまとめた記事があるのでよければそちらも見てもらえると嬉しい。

・Z390チップセット

ポイントを抑えた、コスパ良好Z390マザボ Z390 AORUS ELITE

Z390 AORUS ELITE

Z390チップセットのマザーボードの一台目に紹介するのはGYGABYTE Z390 AORUS ELITEだ。
このマザーボードはポイントがよく抑えられている。PCI-Express の金属シールドをはじめ、M.2ヒートシンクなども標準付属している。電源回りも低発熱DrMOS12+1フェーズ電源を使用しているので不安はないだろう。
また、メモリスロットにもシールドが搭載されている。付属品も親切である。GコネクタはフロントI/Oを簡単に配線することができるので便利だ。USBはリアI/Oに10ポート搭載されているので必要十分だろう。ただしType-Cは搭載されていない。
ただしZ390チップセットを搭載しているが、NVIDIA SLIは使用できないので注意が必要だ。
必要なところがしっかりとまとめられているので、安定して運用することができるだろう。

ゲームが有利になる!2.5GLAN ASRock Phantom Gaming 6

ASRock Phantom Gaming 6

二台目に紹介するZ390マザーボードはASRockから発売されているPhantom Gaming 6 である。
ASRockの十八番ともいえる2.5GbitLANを搭載し、ゲームなどが遅延なくプレイできる。M.2ヒートシンクも標準で付属している。12Kブラックコンデンサを搭載し、オーバークロックにも強い電源回りとなっている。PCI-Expressの*16スロットには金属シールドが搭載されている。
しかし、リアI/Oにノイズなどに左右されにくいUSB2.0ポートが一つもない。USBポートも6ポートとやや少なめだ。
オンラインゲームでは遅延は大きな問題だ。2.5GbitLANはゲームをより有利にしてくれるだろう。

初心者ならこれを選べば安心 ASUS ROG STRIX Z390-F GAMING

ASUS ROG STRIX Z390-F GAMING

最後に紹介するのはASUS ROG STRIX Z390-F GAMINGだ。
ASUSは老舗マザーボードメーカーなので、初心者も使いやすいマザーボードだ。
まず、グローバル修理保障が3年ある。ほかのメーカーであれば1~2年程度なので、万が一の時に安心だ。
そして、個人によって意見は変わるだろうが、UEFI BIOSがグラフィカルで見やすい。また、I/Oパネルがマザーボードと一体になっているのでなくす心配や付け忘れる心配はない。
しかし、あまりハードなオーバークロックには向いてはいない。
故障時の対応や、UEFI BIOSが見やすいことは初心者にとって大きなメリットがある。初めてZ390のマザーボードを使うという人にはお勧めの一台だ。

まとめ

今回は、Intel 300シリーズのチップセットのまとめ、およびB365,Z390チップセットのおすすめマザーボードを紹介した。
マザーボードによって機能が様々であり、よく考えないと、必要ない機能や足りない機能が出てきてしまったりする。それぞれの目的に合ったマザーボードを探してほしい。
マザーボードを購入する際の参考になってくれればうれしい。

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