4月30日、第10世代 Intel Coreプロセッサ対応のチップセット「Z490」を搭載したマザーボードが各社から発表された。AMD X570マザーボード同様比較的高い価格設定となっているが、その分高性能なマザーボードもたくさん存在する。
今回はその中でも筆者が注目するZ490マザーボードを10製品紹介していく。
ただし、本格水冷用の「Z490 AQUA」やE-ATXの「ROG MAXIMUS XII EXTREME」、クリエイター向けの「Z490 VISION D」などは除き、あくまで一般向けのオススメ製品を紹介していこうと思う。ちなみに本記事で紹介するマザーボードは全て税込40,000円未満で購入可能だ。
なお、Mini-ITXマザーボードに関しては別記事でまとめる予定だ。

ASRock Z490 PG Velocita

「ASRock Z490 PG Velocita」は、33,000円(税込)ほどで発売予定のゲーミングマザーボードだ。こちらのマザーボードは将来的なPCI-Express 4.0への対応を見据えた設計になっている。
リアI/OにはRealtek製2.5GbEとIntel 1GbEを両方搭載しており、標準対応はしていないものの別途モジュールを購入することでWi-Fi 6 axにも対応できるようになっている。USBは6ポートしかなく、さらにうち1ポートはUSB Type-Cのため、Type-Aは5ポートしかない。接続機器が多い方や拡張性を求める方には物足りないかもしれないので要注意だ。その他はPS/2、HDMI、DisplayPort等を備えている。
VRM(電源回路)にはDrMOSを採用しており、それを3基の小型高耐久ファンで冷却する構造となっている。

このマザーボードの大きな特徴はなんといってもPCI-Express×16形状スロットの配置だ。具体的な話をすると、上側のスロットと下側のスロットの間隔が4スロットあるため、昨今の分厚いビデオカードと内蔵型キャプチャーボードを両方搭載し、なおかつエアフローのためにそれらの間にスペースを確保できる。これらの機器を使用してゲーム配信をしたい、などという方には嬉しい配置なのではないだろうか。
配信者の方などには是非注目してほしいマザーボードだ。

ASUS ROG STRIX Z490-F GAMING

どのプラットフォームでも「スタンダードなゲーミングマザーボード」として定評のある”Fゲー”ことROG STRIXシリーズの”F GAMING”だが、今回もやはり高性能でバランスがよい。
まず目を引くのは巨大なVRMヒートシンクとそこからチップセットの方へと伸びる極太のヒートパイプだろう。高性能な電源回路のためもともと発熱は少ないはずなのだが、この冷却機構のおかげでより低い温度での動作が期待できる。さらに、このマザーボードには専用のファンブラケットが付属、ここにファンを追加することで空気の流れを作ることができる。小型ファンを嫌う方はパッシブで、電源回路部分にも空気の流れをしっかりと作りたいという方はファンを追加と、様々なニーズに対応できる素晴らしいマザーボードだ。ちなみにZ490のROG STRIXシリーズは全て専用のファンブラケットが付属している(Mini-ITXを除く)。

その他を見てみると、ストレージ用のM.2は2スロットでどちらにも大型ヒートシンクが付属しており、またWi-Fi増設用のCNVi対応M.2が1スロットある。リアI/Oもスタンダードな構成で、安定性が高いUSB 2.0から10Gbpsの高速転送対応のUSB 3.2 Gen2まで合計8ポートのUSB、HDMI、DisplayPort、BIOS FlashbackボタンにIntel 2.5GbEとなっている。USB 2.0のうち1ポートはUSB BIOS Flashbackに対応しており、BIOSが破損した際に簡単に復旧できる。
とりあえず迷ったらコレ!といえる、高性能でスタンダードなゲーミングマザーボードだ。ちなみにお値段は3万1000円程度。

ASUS ROG STRIX Z490-G GAMING (WI-FI)

MicroATXユーザー待望の”高性能なMicroATXマザーボード”がASUSから登場。
MicroATXながら前述の巨大VRMヒートシンクや専用ファンブラケットは健在。
M.2は2スロットあり、そのうち1スロットにはヒートシンクを備える。SATAやUSB周りも比較的充実している。また、USB BIOS Flashbackに対応しており、BIOSが破損した際に簡単に復旧できる。
価格はMicroATXマザーボードとしては高価で、3万円を少し超える。ちなみにWi-Fiがないモデルも存在し、こちらは3万円を少し下回る値段設定となっている。

GIGABYTE Z490 AORUS PRO AX

「Z490 AORUS PRO AX」は32,500円ほどで購入できるミドルスペックのZ490マザーボードだが、全体的なバランスが非常によく、様々な方におすすめできる。
55A DrMOSを採用した12+1フェーズのVRMは改良されたFins-Arrayヒートシンクと厚手のサーマルパッドによって効率よく放熱され、Core i9 10900KのようなCPUを使用しても低温での動作が期待できる。
M.2は2スロットあり、そのどちらにも大型のM.2ヒートシンクが付属している。また、次世代CPUを使用した際に利用できるようになるM.2が1スロット用意されており、将来的には3つのM.2が使用できるようになる。また、全てのM.2スロットはPCI-Express 4.0に対応できる設計になっており、次世代CPUを使用した際にはそれが解禁される。

リアI/Oには合計10ポートのUSBが存在する。特に、安定性が高いUSB 2.0が4ポートもあるのは高評価だ。また、”BIOS USB 3.2″とかかれたポートはUSB BIOS Flashbackに対応しており、BIOSが破損した際に簡単に復旧できる。
ちなみにGIGABYTEの他にはASUSの「ROG STRIX Z490-E GAMING」がリアI/OにUSB 2.0を4ポート搭載している。
Wi-Fiは2.4Gbps対応のAXを搭載。LANはIntel 2.5GbEで、Z490マザーボードとしてはスタンダードな構成となっている。
「ROG STRIX Z490-F GAMING」同様、高性能でスタンダードなゲーミングマザーボードのひとつとして万人におすすめできる製品だ。

GIGABYTE Z490 UD AC

「Z390 UD」から大幅な進化を遂げて登場した「Z490 UD AC」は20,000円未満で購入できるZ490マザーボードの中では最廉価グレードのモデルなのだが、その機能性や拡張性はミドルレンジにも劣らない。
まず注目すべきはリアI/O。最廉価モデルとは思えないほどの充実具合だ。安定性が高いUSB 2.0から10Gbpsの高速転送に対応したUSB 3.2 Gen2まで合計8ポートのUSB Type-Aを搭載。そのうち1ポートはUSB BIOS Flashbackに対応しており、BIOSが破損した際に簡単に復旧できる。その他PS/2ポート、433Mbps対応のWi-Fi、HDMI、Realtek Gigabit LANを搭載している。さらに、あらかじめマザーボードにI/Oパネルが搭載されている点も高評価だ。

M.2は2スロットだが、将来のCPUに備えた設計となっており、最上段のPCIe×1スロットの右側にCPU直結レーンを使用するM.2スロットが1つ用意されている。第10世代 CoreプロセッサからはM.2用のPCIeレーンは出ていないため、こちらのスロットは次世代CPUを搭載した際に使用できるようになるようだ。
また、全てのM.2スロットは将来的にPCI-Express 4.0に対応できる設計になっている。
ファンコネクタはCPU_FANの他に合計4基を備える。Z390 UDでは3基だったのが1基増えている。これにより「あと1つ足りない…!」といった場面が少なくなるだろう。
非常に完成度が高く、2万円以下ならこれ一択といっても過言ではないと思う。

MSI MAG Z490 TOMAHAWK

「MAG Z490 TOMAHAWK」は25,000円未満で購入できる、Z490マザーボードとしては比較的安価な製品なのだが、12+1フェーズのVRMにはDrMOSが採用されており、2スロットのM.2にはそのどちらにもヒートシンクを搭載している。
リアI/Oも充実しており、USBが合計8ポート、PS/2、HDMI、DisplayPort、1GbE+2.5GbEのデュアルLAN構成となっている。さらにフロントUSB Type-Cヘッダも搭載しており、VRを楽しみたい方にもおすすめできる。

ちなみにこのマザーボードは将来的なPCI-Express 4.0への対応を謳っており、次世代CPUを使用した際にはPCI-Express 4.0で動作するようになる。
安価ながら非常に高機能でバランスがよく、こちらのマザーボードも万人におすすめできそうだ。