GIGABYTEのB550マザーボードは12製品あるが、そのうち日本で発売予定のものは8製品。高性能なAORUS MASTERからコストパフォーマンスに優れたAORUS ELITE、オンボードThunderbolt 3搭載のVISION Dなど多様なニーズに対応できるラインナップとなっている。

ATX

B550 AORUS MASTER

AMD Bシリーズチップセット初の「AORUS MASTER」は高い拡張性と他社のハイエンドモデルをも凌ぐ超高性能なVRMなどが特徴だ。
VRMは14+2フェーズで70A SPS(Smart Power Stage)を搭載。PWMコントローラは16フェーズ対応品で、14+2フェーズをダイレクト駆動している。これはGIGABYTEのAM4プラットフォームにおける現最上位モデル「X570 AORUS XTREME」と同じ構成だ。つまり、上位モデルのはずの「X570 AORUS MASTER」よりも高性能なVRMを搭載しているということになる。VRMの冷却機構は熱伝導率7.5W/mKの厚手のサーマルパッドとヒートパイプ、そして改良されたFins-Arrayヒートシンクという構成で抜かりがない。
メモリスロットはDDR4-5400以上のハイクロックに対応する。
また、この製品はB550マザーボードでは唯一M.2を3スロット(全てM.2 22110)搭載しており、そのすべてにヒートシンクが付属する。
オーディオはALC1220-VBとニチコンオーディオコンデンサ、WIMAフィルムコンデンサで構成されている。これは、GIGABYTE AORUSシリーズではごく普通の構成である。
リアI/Oを見てみると、大量のUSBポートが目立つ。USB 2.0が6ポート、USB 3.2 Gen2が6ポート(うち1ポートはType-C)となっている。USBデバイスをたくさん接続したい方や、安定性重視でUSB 2.0がたくさん欲しい方にとっては最高のリアI/Oだろう。その他、HDMIやWi-Fi 6、Realtek 2.5G LAN、オーディオ出力端子、Q-Flash Plus(BIOS Flashbackボタン)が搭載されている。
このマザーボードの欠点はフロント用Type-Cヘッダがないこと、そしてPCIe×1スロットが1本もないことだ。これらの欠点を許容できるのであれば非常におすすめできる。

B550 VISION D

オンボードThunderbolt 3 Type-C端子を搭載する(予定の)唯一のB550マザーボード。デザインは白と黒の2色で完全に統一されており、ゲーマー向けとはひと味違った雰囲気を感じる。
VRMは12+2フェーズで50A DrMOSを採用しており、Ryzen 9などの高性能なCPUを安定して動作させることができるようになっている。
ネットワーク周りはクリエイター向けになっており、2.5G LANではなく安定性に定評のあるIntel I211AT×2のデュアルLAN構成になっている。
M.2は2スロットで、どちらのスロットにもヒートシンクが搭載されている。SATAポートは4つと少なめだ。
リアI/Oには前述の通りThunderbolt 3対応USB Type-Cが2つと映像入力用のDisplayPort入力が1つ、そしてIntel I211-AT Gigabit LANが2つ。その他、USB 2.0を2ポート、USB 3.2 Gen1を4ポート、USB 3.2 Gen2を2ポート、PS/2、Wi-FI 6、オーディオ出力端子が並ぶ。
充実した内容で、B550唯一のクリエイター向けマザーボード。手軽にThunderbolt 3を使いたい方だけでなく、シンプルなデザインを求める方や安定したネットワーク環境を構築したい方などにもおすすめだ。

B550 AORUS PRO AC

高い拡張性、機能性を備えながらも価格を抑えた、AORUSシリーズのなかで最もバランスのよいPROグレード。この「B550 AORUS PRO AC」では50A DrMOS採用の12+2フェーズVRMと改良されたFins-Arrayヒートシンクを搭載し、「X570 AORUS PRO AC」と比較して遜色ない性能をもつ。M.2は2スロットで、全てのスロットにヒートシンクが付属している。「B550 AORUS MASTER」と比較するとM.2スロット数は減っているものの、PCIe×1が実装されている点は高評価だ。
メモリスロットはDDR4-5400以上のハイクロックに対応する。
オーディオはALC1220-VBとニチコンオーディオコンデンサ、WIMAフィルムコンデンサで構成されている。これは、GIGABYTE AORUSシリーズではごく普通の構成である。
リアI/Oは「B550 AORUS MASTER」と同じく合計12ポートのUSBを搭載。USB 2.0が6ポート、USB 3.2 Gen1が3ポート、USB 3.2 Gen2が3ポート(うち1ポートはType-C)となっている。その他、Realtek 2.5G LANやWi-Fi、Q-Flash(BIOS Flashbackボタン)、オーディオ出力端子を搭載。Wi-Fiは433Mbps対応のもので最低限といった感じだ。
高い拡張性と性能を比較的安価に手に入れたい方にまずおすすめしたい製品だ。

B550 AORUS ELITE

コストパフォーマンスに優れた「B550 AORUS ELITE」。
VRMは「B550 AORUS PRO」と同じ12+2フェーズ・50A DrMOSの構成だが、ヒートシンクは一般的なアルミ塊のものになっている。高性能なVRMのため発熱は低めだと予想され、Ryzen 9 3950XなどのメニーコアCPUをフル動作させても安心して運用できそうだ。
M.2は2スロットあり、CPU直結でPCIe 4.0対応の上側のスロットにはヒートシンクが付属している。SATAは4ポートしかないため少なく感じるかもしれないが、近年はM.2 SSDが一般的になっているため大きな問題ではないだろう。
オーディオはALC1200とニチコンオーディオコンデンサ、WIMAフィルムコンデンサで構成されている。ALC892が搭載されていた「B450 AORUS ELITE」と比較すると音質が格段に向上しており、これならゲーマーも満足できるだろう。
リアI/OにはUSB 2.0が2ポート、USB 3.2 Gen1が4ポート、USB 3.2 Gen2が2ポートの合計8ポートのUSB(すべてType-A)やHDMI 2.1、DisplayPort、Q-Flash Plus(BIOS Flashbackボタン)、Realtek 2.5G LAN、オーディオ出力端子を装備している。
また、ケースファン用のコネクタ数も4ポートになっており(X570 AORUS ELITEは3ポートだった)、より多くの方におすすめしやすくなっている。

MicroATX

B550M AORUS PRO

AORUS B550シリーズの上位MicroATXマザーボード。
10+2フェーズのVRMを搭載するが、DrMOSは使われていない。大型ヒートシンクがあるためトップフロークーラーなどを用いればRyzen 9をはじめとする高性能なCPUを動かしても問題なさそうだ。
SATAが4ポートと少なめだが、M.2が2スロットあるためこちらも問題となることは少ないだろう。
リアI/OにはUSBが10ポート(USB 2.0が4ポート、USB 3.2 Gen1が4ポート、USB 3.2 Gen2が1ポート、USB 3.2 Gen2 Type-Cが1ポート)、HDMI 2.1、DisplayPort、Q-Flash Plus(BIOS Flashbackボタン)、Realtek Gigabit LAN、オーディオ出力端子が存在する。Ryzen向けのMicroATXマザーボードで背面USBが10ポート以上あるのはこのマザーボードだけなので、USBデバイスをたくさん使いたい方にはおすすめできる。
ただし、LANがRealtek RTL8118 1GbEというローエンドでよく見るものになっている点には注意。

B550M AORUS ELITE

AORUSシリーズのMicroATX下位モデル「B550M AORUS ELITE」。こちらは5+3フェーズのVRMで、ディスクリートMOSFETを採用しており性能は高くない。Ryzen 5やRyzen 3と組み合わせるのがよいだろう。
M.2は2スロットあるが、ヒートシンクは搭載していない。SATAは4ポートだ。
リアI/OにはUSB 2.0が4ポート、USB 3.2 Gen1が4ポート(すべてType-A)、PS/2ポート、DVI-D、HDMI 2.1、Realtek 1Gbit LANを搭載している。
全体的にATXモデルの「B550 AORUS ELITE」と比較するとかなり見劣りしてしまう。AORUSシリーズのマザーボードではあるが、位置付けとしては一般向けのUltra Durableシリーズとしてみるのが良いかもしれない。

B550M S2H

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5+3フェーズのVRMと簡素なVRMヒートシンク、1スロットのみのM.2など、機能を割り切って低価格化したマザーボード。
「B450M S2H」ではケースファン用のコネクタが1つしかなかったのだが、「B550M S2H」では2つになっている。これによって分岐を使わずともケースのフロントとリアに1つずつファンを搭載することが可能となり、とにかく安価に組みたい方におすすめしやすくなった。
リアI/OにはPS/2ポート、USB 6ポート(すべてType-A)、Q-Flash Plus(BIOS Flashbackボタン)、Realtek 1Gbit LANなどを搭載するほか、VGA・DVI-D・HDMI 2.1の合計3系統の映像出力端子を装備。Ryzen 4000Gシリーズが発売されれば、安価にRyzen APUで組みたいという場合にこのマザーボードを選択してみるのもよさそうだ。

Mini-ITX

B550I AORUS PRO AX

大人気だった「B450 I AORUS PRO WIFI」の後継マザーボード。前作で好評だったHDMI×2+DisplayPortの3画面対応デジタル映像出力端子はそのままに、電源回路やネットワーク周り、拡張性を改良したモデルとなっている。
VRMは6+2フェーズで90A SPS(Smart Power Stage)を搭載。B450ではIR3556(50A PowIRstage)採用の4+2フェーズだったため、これは大幅な強化だ。
M.2は表と裏にそれぞれ1スロットずつ搭載しており、Mini-ITXながら拡張性はしっかりしている。
他社のB550にはフロント用Type-Cヘッダを搭載したMini-ITXも存在するが、この「B550I AORUS PRO AX」には搭載していないため注意。
リアI/Oには前述の通りHDMI 2.1×2+DisplayPort 1.4の3画面同時出力対応のデジタル映像出力端子を備えるほか、USB 3.2 Gen1が4ポート、USB 3.2 Gen2が2ポート(うち1ポートはType-C)、Realtek 2.5G LAN、Wi-Fi 6、Q-Flash Plus(BIOS Flashbackボタン)、オーディオ出力端子を搭載している。
前作「B450 I AORUS PRO WIFI」に引き続き、「Ryzen対応のMini-ITXならコレ!」といえるベストな製品だ。