提供:ASUS JAPAN株式会社

6/20日に発売となった、AMD B550チップセットを搭載した製品群。B450と比較し、非常に高性能な製品が多数ラインナップしている。
今回はASUS JAPAN様より「ROG STRIX B550-F GAMING」を用意していただけたのでレビューしていく。

外見・付属品紹介

「ROG STRIX B550-F GAMING (以下:本製品)」は従来の”F GAMING”シリーズと違い、黒基調にピンク色のアクセントが入ったデザインになっているのが特徴的だ。

マザーボードの裏面には何も書かれていないものがほとんどだが、本製品はROGのロゴや文字が印刷されている。

付属品は以下の通りだ。

ユーザーズマニュアル
サポートディスク
SATA 6Gb/sケーブル4本
結束バンド7本
アドレサブルストリップ延長ケーブル1本
M.2 ゴムパッド2枚
M.2 固定用ネジ・スペーサー2セット
ROG Strixステッカー1枚

ユーザーズマニュアルやSATAケーブル等はもちろん、結束バンドやアドレサブルストリップ延長ケーブルなども付属している。
ROG STRIXシリーズで統一したPCを組みたい方には嬉しいステッカーもついている。

マザーボードのボタン電池に貼り付けることができるROGロゴのシールも(右画像)。

M.2ヒートシンクのサーマルパッドとSSDをより密着させるためのパッド。片面実装のM.2 SSDに対応しており、既存のM.2サーマルパッドに重ねて使用する。

VRM周りをみる

本製品は「ROG STRIX X570-F GAMING」と同じVRMを搭載している。詳しく見ていこう。

ヒートシンクは比較的大きくよく冷えそうだ。また、MOSFETの他チョークコイルと接触する部分にもサーマルパッドが貼り付けられている。

CPU補助電源は8+4ピン。12ピンすべてに高密度なソリッドピン「ProCoolコネクタ」が採用されている。「ProCoolコネクタ」を採用することにより、給電能力が約25%向上しているという。
それ以外にもソリッドピンには耐久性が高く発熱が低減されるという利点がある。

PWMコントローラは”ASP1106″ 4+2フェーズ対応品を搭載。

MOSFETはハイサイドとローエンド、ドライバICを統合した、Vishay SiC639 50A DrMOSを搭載。DrMOSを採用することにより、発熱が大幅に低減されている。
裏面にはダブラーが実装されていないため4+2フェーズだとわかるが、CPUのコア向けフェーズには1フェーズあたり3つのDrMOSと3つのチョークコイルが存在するため、12+2フェーズ相当のパワーを持つ強力なVRMとなっている。

コンデンサは米軍MIL規格に対応したミリタリーグレードの高耐久なものを採用しており、耐久性が向上している。

拡張性・接続性をチェック

次に、本製品の拡張性と接続性を確認していく。まずはリアI/Oだ。

リアI/Oには以下のポート等が実装されている。

USB 3.2 Gen2 (10Gbps)2 (1A1C)
USB 3.2 Gen1 (5Gbps)4
USB 2.02
BIOS Flashbackボタン1
Intel I225-V 2.5G LAN1
HDMI 2.11
DisplayPort 1.41
オーディオ出力端子

USBは合計8ポートで、安定性の高いUSB 2.0から高速なUSB 3.2 Gen2まで揃っている。また、BIOS Flashbackボタンを搭載。これにより、CPUやメモリなしでもBIOS更新を行うことができる。
映像出力端子はHDMI 2.1とDisplayPort 1.4が実装されている。今後発売されるRyzen APUと組み合わせた際にデジタル2画面出力が可能だ。
LANはIntel I225-V 2.5GbEを搭載している。高速・低遅延な2.5GbEだが、Intel 225-Vは現時点では多数の不具合報告が上がっているため安定性が高いとは言い難い。今後のアップデートなどで改善されることを期待する。
オーディオ出力端子はミドルレンジで一般的な構成だ。上位の「ROG STRIX B550-E GAMING」にはAudio Type-C端子があるが、本製品には搭載されておらず、従来通りS/PDIF Outとなっている。

Intel I225-V 2.5G LANチップ

I/Oカバーはプラスチック製だ。上部の文字は彫られており、凹凸がはっきりと分かる。また、ROGロゴの部分は鮮やかに発光する。

次に、拡張スロットやコネクタ類を見ていこう。
PCI-Expressの構成は上から

PCIe 4.0×16

PCIe 3.0×1
PCIe 3.0×4 (×16形状)
PCIe 3.0×1
PCIe 3.0×1

となっている。NVIDIA SLIには対応していないが、AMD 2-way CrossFireXには対応している。

M.2は合計2スロットで、上側のスロットはCPU直結のPCIe 4.0×4対応。下側のスロットはチップセット経由でPCIe 3.0×4までの対応となっている。
競合製品ではチップセット経由のM.2がPCIe 3.0×2止まりとなっているものも存在するが、本製品はフル帯域の×4接続にしっかりと対応している。

上側のM.2スロット付近にはUSB BIOS Flashback用のROMが実装されていた

M.2ヒートシンクはM.2 22110よりも長く、比較的重量がある。見た目も非常によい。裏面にはLaird製のサーマルパッドが貼られている。

SATAは合計6ポート。すべてCPUもしくはチップセット経由のもので、外部チップを介しているものはない。つまり、接続するポートによって速度に大きな差が出るといったことはほぼないということだ。

B550チップセット周辺。チップセットヒートシンクは中空になっている。

メモリスロットは4本で最大4600MHz(OC)に対応*。
片ラッチ式でメモリモジュールを取り付けやすくなっている。

*Ryzen 3000 Series搭載時

メモリ用のVRMは1フェーズで、MOSFETにはVishay SiRA14DPが採用されている。DDR4を動作させるには多くの電力を必要としないため、ディスクリートMOSFETの1フェーズ構成であっても必要十分だ。

ATX24ピンコネクタの上部にはデバッグLED「Q-LED」がある。デバッグLEDは起動時にエラーを起こしている箇所を教えてくれる便利な機能なのだが、他社のデバッグLEDは赤一色なことが多い一方、ASUSのQ-LEDは赤・黄・白・緑の4色で知らせてくれるため、大変分かりやすいのがポイントだ。

※動画はASUS「PRIME A320I-K」のもの

オーディオは高音質な「SupremeFX Audio」。コーデックはRealtek ALC1220ベースの「S1220A」、コンデンサはニチコン製のオーディオグレードのものを採用している。
ASUS ROGシリーズは音質に定評がある*ため期待してよいだろう。

本製品にはASUS「ThunderboltEX 3-TR」に対応する独自規格のThunderbolt拡張カード用ヘッダがあるため、クリエイターの方などにもおすすめできる。

マザーボード下部には4ピンRGBヘッダが1つとアドレサブルLED向けの3ピンRGBヘッダが存在する。

フロントUSB 2.0ヘッダは2つ。合計4ポートだ。また、ATX24ピン電源コネクタの下にはUSB 3.2 Gen1ヘッダも1つ実装されている。

メモリスロットの上にもファンコネクタが2つある。片方はCPUクーラーのファン用、もう片方はケースファン用となっている。
また、その右には4ピンRGBヘッダが1つ実装されている。マザーボード下部のものと合わせて4ピンが2つ、3ピン(アドレサブル)が1つの合計3つとなっている。

また、上側のM.2スロット付近にもファンコネクタが2つ実装されている。そのうち片方は水冷クーラーを使用した際のポンプへの給電も可能になっている。
CPUファン向けを含めると合計で6つのファンコネクタがあるため、不足することはないだろう。

主要な設定を簡単に行える「EZ Mode」搭載のUEFI

ASUS製のB550マザーボードのUEFIは、D.O.C.P (メモリ内のXMP情報を基にメモリのクロックアップ設定を行うもの) やブートの優先順位、ファン制御などの基本的な設定を簡単に行うことができる「EZ Mode」を搭載している。
UEFIに入った際にF7キーを押すことでデフォルトの「Advanced Mode」から「EZ Mode」に切り替えることができる。

EZ System Tuningではワンクリックでパフォーマンスの調整ができる。高パフォーマンスモードから省電力モードまで用途に応じて設定可能だ。
QFan ControlではCPUファンやケースファン、AIOポンプの回転数制御が可能。
Boot Priorityではその名の通りブート優先順位の変更ができる。SSDやHDD、USBメモリ等を接続すると一覧が表示される。

また、本製品は初回起動時にLANドライバーとArmoury Crateアプリの自動ダウンロード機能が備わっているため、自分で検索してダウンロード…なんてことをせずともワンクリックで初期セットアップが可能だ。
ちなみに”Armoury Crateアプリ”とは、PCのパフォーマンスや設定、システムの状態の確認などが行えるシステム制御用のASUSアプリである。直感的で扱いやすい、シンプルなユーザーインターフェースが特徴的だ。

CPUを高クロックで維持できる”APE”機能

ASUS B550マザーボードでは、CPUのクロックを向上させる「ASUS Performance Enhancement (通称:APE)」が利用できる。
UEFIバージョンが0608以降であれば、設定項目を1ついじるだけで簡単にこの機能を有効にすることができる。

メモリオーバークロック検証

Ryzen 3000 Series使用時には最大でDDR4-4600MHzへの対応を謳う本製品だが、実際はどのくらいオーバークロックができるのだろうか。
Patriot「Viper Steel PVS416G413C9K」(DDR4-4133 CL19)を使用して検証した。
なお、今回検証に使用したメモリはDDR4-4133までの動作が保障されている製品であり、それよりも高速で動作させる場合は個体差や設定に依るところが多いという点をご理解いただきたい。

まずはDDR4-4000以上を検証。ASUS D.O.C.P機能を利用してDDR4-4133のXMPを読み込ませると、何の問題もなく安定して動作した。DDR4-4266 CL18の設定も問題なく動作。しかし、DDR4-4333以上になると起動時にエラーが発生し、何度か再起動を繰り返す挙動を示した。電圧やタイミング等を調整してみたが改善しなかった。メモリの限界かと思い、別のB550マザーボードで試してみたところ、DDR4-4533が問題なく動作。相性やBIOSが未成熟なのが原因だと思われるので、別のメモリを使用してみたり、BIOSをアップデートしてみたりすれば解決するかもしれない。

次に、Ryzenの性能を最も引き出すことができるInfinity Fabric 1:1モードの検証を行った。
デフォルトのDDR4-3600はCL16で安定して動作した。次にFCLK Frequencyを1866MHzに設定し、DDR4-3733 1:1モードを試してみた。こちらは。
最後にFCLK Frequencyを1900MHzに設定してDDR4-3800 1:1モードを試してみたが、手動でCMOSクリアを行わないと起動しなくなってしまった。

DDR4-3733MHz / FCLK 1866MHzであれば1:1モードで安定動作が可能だ

総評

良いところ

・50A DrMOSを採用した12+2フェーズ相当の強力なVRM

・高音質な”SupremeFX Audio”

・HDMI 2.1 + DP1.4の2系統の映像出力端子を搭載

・ASUSのThunderbolt 3拡張カードに対応

・USB BIOS Flashbackに対応

残念なところ

・フロント用Type-Cヘッダがない

ASUS「ROG STRIX B550-F GAMING」は22,000円前後で購入可能な、B550マザーボードの中では真ん中あたりに位置するマザーボードだ。
VRM性能や各機能は「ROG STRIX」シリーズらしく、バランスよく必要なものがしっかり揃っているという印象である。Thunderbolt拡張カードであるASUS「ThunderboltEX 3-TR」の増設に対応している点も高評価。様々な用途に対応できる、高機能で高性能な製品だ。
2万円前後のRyzen対応マザーボードで迷っているのであればこの「ROG STRIX B550-F GAMING」を選んでみてはいかがだろうか。

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