B450チップセットのころに登場し、ASRockマザーボードでは日本一と言っていいほど人気なSteel Legendシリーズ。X570チップセットを搭載したX570 Steel LegendもRyzen3000シリーズと同時に発売され、Ryzen5000シリーズにも対応している。高耐久を売りにいているこのSteel Legendシリーズはどのような工夫がしてあるのだろうか。実装部品や箇所に着目しレビューしていく。

スペック

対応CPURyzen1000~5000シリーズ
搭載チップセットX570
フォームファクタATX
対応メモリ4 x DIMM, Max. 128GB, DDR4
4666MHz~3466MHz (OC)
2666MHz~2133MHz
ECC and non-ECC, Un-buffered Memory
マルチGPU3-Way CrossFIre X
拡張スロット2 x PCIe 4.0 x16 (x16/x4)
3 x PCIe 4.0 x1
ストレージSATA3 (6Gbps) x 8、M.2 (PCIe4.0x4/SATA3) x 2
LANIntel I211-AT 1Gb
搭載オーディオRealtek ALC1200
背面インターフェース1 x DisplayPort
1 x HDMI
1 x Optical S/PDIF out
5 x Audio jack(s)
4 x USB 3.2 Gen 1 (up to 5Gbps) ports
3 x USB 3.2 Gen 2 (up to 10Gbps) ports (Type-A)
1 x USB 3.2 Gen 2 (up to 10Gbps) ports (Type-C)
Anti-surge LAN (RJ45) port
1 x USB BIOS FlashBack Button

開封

B450やZ390同様にガンメタをベースにミリタリーチックな箱である。中央にはSteel Legend同じみのSロゴがあしらわれている。

ASRockのパッケージ背面は比較的派手である。ただ書いてあることが分かりづらいというわけではなく写真がふんだんに使われているので初心者でもこのマザーボードのウリが伝わりやすいだろう。

開封すると箱の中に箱パターンである。内箱はASRockロゴがモノクロで入っているのみである。

内箱を開けるとX570 Steel Legend本体が現れる。

静電気防止袋から出すと発砲スポンジにタイラップで固定されたX570 Steel Legendと対面できる。

箱下段には説明書、ドライバCD、ステッカー、ポストカード、M.2受けねじ、M.2固定ねじ、SATAケーブルが収められている。

基盤コンポーネントをチェック

それでは実際に搭載しているパーツを見る。X570 Steel Legendは高い安定性と耐久性を謳うマザーボードであることからパーツ類はこだわりを持って設計されていることだろう。

電源回路は8+2フェーズの合計10フェーズのチョークコイルを搭載している。容量は60A品で前作のB450 Steel Legendと比べるとフェーズ数が6フェーズから10フェーズへと増えているので全体の容量としては大幅に大きくなっている。
使用しているコンデンサはニチコン製の12Kブラックキャップコンデンサである。105℃環境で12000時間の寿命を謳っているコンデンサで非常に高耐久である。

MOSFETは低発熱高性能で定評のある50A Dr.MOSを採用している。

PWMコントローラーはRenesasのISL69147を使用している。

アルミニウム製のVRMヒートシンクはどちらも80g超えとDr.MOS 10フェーズ電源回路であれば十分だろう。

CPU補助電源は8pinと4pinを要求する。ピンは1本1本が太く電気抵抗を小さくしたHi-Density Power Connectorと呼ばれるものを使用している。Steel Legendシリーズはオーバークロック向けのマザーボードではないがCPUに大容量の電力を要求されても低発熱、低損失で電力供給を可能にする。

メモリスロットは片ラッチ仕様で、接点不良を起こさないように15μゴールドコンタクトと呼ばれる15μm厚の金を使用している。メモリスロット上部には12V RGB用4pinコネクターが搭載されている。またメモリ電源供給用のチョークコイルは対電磁干渉性、耐熱性に優れた設計で安定した電源を供給する。

I/OシールドはSteel Legendのロゴ部とX570 STEEL LEGENDと書かれている部分にRGB LEDが搭載されており、発光する。RGBLEDの制御はASRockのRGB制御ソフト「ASROCK POLYCHROME SYNC」で行うことができる。

M.2、X570チップセットヒートシンクは一体型になっている。右上にはチップセットを冷やすためのファンの吸気口が設けられている。また、こちらもSTEEL LEGENDと入っている部分にRGB LEDが搭載されている。

ヒートシンクの重量はおよそ124gで非常に重量感がある。

チップセット冷却用のファンは製品寿命50,000時間を謳っている36.8mm EBRファンを使用している。

チップセットファンおよびヒートシンクを外すとX570チップセットが現れる。CPUとの接続にはPCIe4.0 x 4を採用しているので従来の倍の帯域を確保している。

M.2SSDは2枚搭載することができる。上段はM.2 2230,2242,2260,2280のサイズに対応しており通信規格はNVMeのみである。下段はM.2 2230,2242,2260,2280,22110に対応しており通信規格はNVMe/SATAに対応している。どちらもGen4のM.2SSDに対応している。

主にグラフィックスカード用に用いられるPCIe4.0 x 16スロットはメタルシールドでおおわれており重量級のグラフィックスカードを搭載した際もマザーボードの損傷を抑えられる。またX570 Steel LegendからPCIeスロットをマザーボード上に固定しているアンカーポイントが増えたので前作よりも剛性が上がっている。このメタルシールドは信号をノイズから守る効果もある。

PCIeスロットは6点留めになっている。

PCIe 4.0 x 1スロットはエッジフリータイプを採用しているので帯域をフルで生かすことはできないがx2以上のサイズの拡張カードも搭載することができる。

X570 Steel LegendにはX570 Steel Legend WiFi axと呼ばれるWi-Fiカードを搭載したモデルも存在している。今回レビューしているX570 Steel LegendにはWi-Fiモジュールの搭載はないが、Wi-Fiカードを搭載するスロットが設けられている。

Steel Legendシリーズは部品点数を減らして部品単位の故障率を低減させることも設計思想の一つだ。実際に目視してわかるほど実装部品が少ないことがわかる。特に上の2枚の写真のようにPCIeスロット上とオーディオ回路周りには部品が一切実装されていないことがわかる。このオーディオ周りに部品が実装されていないのはノイズ対策にもなっていてオンボードながらきれいな音質を実現することが可能だ。

USB3.0のコントローラーはメモリスロット横に実装されている。チップはASMediaのASM1074。フロントパネル用のUSBコネクターと非常に近い位置にありUSB3.0以降扱いが難しいUSBノイズも抑制されるのではないだろうか。

SATAポートは8個搭載しており規格はSATA3.0(6Gbps)である。RAIDは0,1,10に対応している。

RGBLED用の端子はメモリスロット上に12VRGB端子が一つ、そしてマザーボード最下部に12V RGB端子が一つ、5V ARGB端子が一つ用意されている。

X570 Steel LegendはAMDマザーボードではあるがThunderbolt3に対応している。オンボードで端子がついているわけではないがマザーボード上にThunderbolt3拡張カードを搭載するためのコネクターが用意されている。

動作検証

それではASRock X570 Steel Legendの性能検証に移る。今回の検証ではRyzen 9 5950Xを安定動作させることができるかどうかが一つのキーポイントとなる。

OSWindows 10 Pro 1909
CPUAMD Ryzen 9 5950X
CPUクーラーNoctua NH-U12A
マザーボードASRock X570 Steel Legend
メモリCentury Micro CK16GX2-D4U3200
グラフィックスカードZotac Geforce RTX 3070 Twin Edge
SSDCFD CSSD-M2B1TPG3VNF 1TB
電源Cooler Master V1200 Platinum
ケースThermaltake Versa H26
備考ケースファンとしてScythe Kaze Flexを3つ使用

Cinebench R15

Cinebench R15では4227cbとまずまずの結果。連続で5回動作させたが温度に起因するスコア低減は起こらなかった。

Cinebench R20

Cinebench R20では9882ptsと10000ptsには届かなかった。少々低い結果となってしまったがこれはおそらくRyzen 9 5950Xの個体差による性能だろう。

M.2温度検証

PCIe 4.0 x 4接続のM.2 SSD、CFD CSSD-M2B1TPG3VNF 1TBを使用して温度検証を行う。

CrystalDiskMarkを連続稼働させ、温度が最大になったところを測定した。巷では非常に高温になるといわれているX570 Steel LegendのM.2ヒートシンクであるが、ケースにいれてエアフローをきちんと考えれば許容範囲内といったところだろうか。上のM.2スロットは69℃と決して低いとは言えないが通常使用では全く問題ないだろう。

下段のM.2スロットはケースファンの風がよく当たった影響からか上段のM.2スロットに搭載したM.2 SSDよりも3℃低い結果となった。

総評

ASRock X570 Steel Legendは価格と性能を考えると非常に優秀なマザーボードである。また一つ一つの実装部品を見るとこの値段で売っても大丈夫なのかと心配になるレベルの部品を搭載している。高品質な部品はマザーボードに実装されている部品点数の少なさと相まって高耐久を実現している。部品点数の少なさはノイズ対策にも寄与しているのでオーディオPCや配信者にもお勧めできる。実際にTSUKUMOのBTOパソコンではAVerMedia推奨認定パソコンとして配信者向けPCが販売されているが、度重なる非常に厳しい検証を経て採用されていることから信頼性も抜群だ。一方でNVIDIA SLIに対応していない、LANは1Gbpsであること、RGB LED制御ソフトのPOLYCHROME SYNCがRazer Chroma以外と組み合わせると不具合が出やすいなど細かなデメリットも存在している。いろいろなRGB LED制御ソフトを使用してきれいに光らせたい場合はわがままを言うマザーボードだが、耐久性重視・ノイズを極力抑えたいなど質実剛健な構成で組む場合には非常におすすめなマザーボードである。