マザーボードに搭載されているチップセット。チップセットによって機能が大きく変わってくることもあるので、マザーボードを購入するうえでチップセットを比較することは多いだろう。
そこで今回はIntelの第10世代、第11世代向けチップセットの機能の比較、用途別のおすすめチップセットを紹介していく。

チップセット とは?

チップセット(Chipset)とは、原義では、ある機能を実現するために組み合わされた複数の集積回路(IC)の集まりであり、PC/AT互換機(に類似したパーソナルコンピュータ)のマザーボードに実装される、CPUの外部バスと、メモリや周辺機器を接続する標準バスとのバスブリッジなどの機能を集積した、少数の大規模集積回路(LSI)をチップセットと呼ぶことが多くなっていたが、1個にまで集積された後もチップセットという呼称を続けている。

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PCのチップセットとはCPUと他のPCのコンポーネンツを実際に使用できる状態にするために噛ませる仲介役のチップのことだ。チップセットがあるおかげで高性能なパーツの性能を引き出せるようになる。

Intel 400・500番台チップセット紹介

 H410B460H470Z490H510B560H570Z590
ソケット形状LGA1200
サポートCPU第10世代Intel Coreプロセッサー第10世代、第11世代Intel Coreプロセッサー
メモリクロックDDR4-2933MHzDDR4-3200MHz
CPU OCいいえはいいいえはい
メモリ OCいいえはいいいえはい
メモリ最大容量64GB128GB64GB128GB
SLIいいえはいいいえはい
SATAポート数4646

※Intel400番台チップセットにはワークステーション向けおよびビジネス向けのW480、Q470チップセットも存在するが、今回の記事では省略する。

チップセットによるマザーボード選定基準

使いたいCPUに対応しているか否か

Intel第11世代Coreプロセッサーは500番台チップセット搭載マザーボードであれば問題なく使用することができるが、400番台チップセット搭載マザーではH410チップセット及びB460チップセット搭載マザーボードでは使用できない。Intel第11世代Coreプロセッサーを使用する際は注意が必要である。

オーバークロックが可能か否か

CPUのオーバークロックをしたい場合はZシリーズのマザーボードを使用する必要がある。そのためZ490チップセット及びZ590チップセット搭載マザーボード以外は原則としてCPUのオーバークロックをすることができない。また、メモリオーバークロックに関してはH410チップセット及びH510チップセット搭載マザーボード以外が可能なのでメモリオーバークロックを楽しむ場合はH410・H510チップセット搭載マザーボード以外を選ぶ必要がある。

500番台チップセット搭載マザーは制限がある場合があるので注意

Intel500番台チップセットを搭載したマザーボードはIntel第11世代Coreプロセッサーを搭載しないと一番上のM.2スロットを使うことができないものがほとんどだ。そのためIntel第10世代Coreプロセッサーを搭載していてM.2を認識できない場合は一番上のスロットに挿すていないか確認しよう。

また500番台チップセットはレガシーBIOSやVBIOS等のサポートが終了し、UEFIのみの対応となった。そのため古いグラフィックスカードを使用している場合、BIOS画面の表示ができなくなった。Intel500番台チップセット搭載マザーボードを使用する際はグラフィックスカードの世代にも注意が必要である。

Intel 400・500番台チップセット詳解

H410チップセット

Intel 第10世代Coreシリーズが発売されたのと同時期に発売されたIntelの最安チップセットであるH410。機能は最小限でメモリスロットは合計2本であったりPCIeレーンやUSBポート数が一番少ない、Wi-Fi6に対応していないなど制限はかなり多い。特に拡張性を求めないオフィス用途やミニPCを作る際には重宝するだろう。ちなみに11世代のIntel Coreプロセッサは動作させることができない。なんとしてでも安くPCを作りたいという人はこのチップセットが良いだろう。

B460チップセット

Intel 第10世代Coreシリーズが発売されたのと同時期に発売されたIntelのコストパフォーマンスに優れる製品が多いB460チップセット。H410に対しRAIDに対応するなど拡張性が少し充実した。後に紹介するH470チップセット、Z490チップセットと違い、内蔵ワイヤレスに非対応であることが大きな特徴の一つである。ちなみにB460チップセットもIntel 第11世代Coreプロセッサに非対応である。

H470チップセット

先述したH410チップセット、B460チップセットの機能に加え、Wi-Fi6に対応したりUSBポートの最大数がさらに増えていることが特徴のチップセット。チップセットからのPCIeレーンもB460の16レーンから20レーンへと増えているので拡張性とコストパフォーマンスの両立を求める場合にはこのチップセットがお勧めだ。H470チップセットは第11世代Coreプロセッサにも対応しているので11世代CPUを安く使いたい人は選択肢に入れても良いかもしれない。また一部マザーボードはPCIe4.0に対応しているものもあるのでGen4 SSDに対応したモデルがあることも注目ポイントの一つだ。

Z490チップセット

Intel 400番台チップセットシリーズ最上位のZ490チップセット。IntelのZシリーズのチップセットはCPUのオーバークロックができることが大きな特徴だ。PCIe 3.0レーンの分割が可能で1×16 or 2×8 or 1×8+2×4として構成可能であったり拡張性も400番台チップセットの中では一番だ。また各マザーボードメーカーが一番力を入れて開発していることもあり、素晴らしい性能のマザーボードが多いことも特徴だ。H470チップセット同様、Intel 第11世代Coreプロセッサに対応、一部マザーボードではPCIe 4.0に対応し、Gen4 SSDが使用できるものもある。

H510チップセット

Intel 第11世代Coreプロセッサに対応した最廉価チップセットであるH510チップセット。H410チップセットの後継機種であり機能面は無線に対応したことが大きな特徴だ。RAIDに非対応であったり拡張性の乏しさは変わっていないので格安でPCを作りたい際には選ぶと良いだろう。PCIe 4.0にも対応し、PCIe 4.0対応のグラフィックスカード本来のスピードで動作させることができる。メモリオーバークロックには対応していないことになっているが、マザーボードによってはなぜかメモリOCができるものも存在している。

B560チップセット

第11世代Coreプロセッサに対応したコストパフォーマンス重視のチップセットであるB560。PCIe 4.0に正式対応し、M.2スロットもGen4に対応している。またWi-Fi6に対応した無線もチップセットに内蔵されていることも注目ポイントだ。
Intel 500番台チップセットのBシリーズから、今までZシリーズのマザーボードのみ対応していたメモリオーバークロックに対応し今までのB460チップセットよりも自由度が上がった。

H570チップセット

H470チップセットの後継に当たるH570チップセット。一つ下のB560チップセットとの違いはPCIeレーン数が最大12レーンから20レーンへと増えていること、RAIDに対応したことである。B460チップセットはRAIDをサポートしていたのに対し、B560チップセットはRAIDをサポートしていない。Intel 500シリーズチップセットはH570チップセット以上でない場合、追加カードを使用しないとRAIDを組むことができない。B560チップセットの機能に加えてRAIDを導入したい場合はこのH570チップセットを選択すると良いだろう。

Z590チップセット

CPUのオーバークロックにも対応したIntel 500番台チップセットの最上位モデル。H570チップセットの機能に加え、さらにNVIDIA SLI/NV-Link SLIに対応している。ただしマザーボードによってはNVIDIA SLI/NV-Link SLIに対応していないものも多いので注意が必要である。最上位マザーボードでCPUの性能を最大限まで引き出したい、CPUをオーバークロックしたい、グラフィックスカードを複数枚載せたいといった場合はこのZ590チップセット搭載マザーボードの中から選ぶと良いだろう。

Intel 400,500番台チップセット搭載 おすすめマザーボード

ASRock B460 Steel Legend

B460 Steel LegendはコストパフォーマンスよくゲームができるPCを組みたい場合にお勧めだ。日本で大人気のSteel Legendシリーズは安定性、耐久性を重視したマザーボードでこのB460 Steel Legendも非常に作りが良いマザーボードだ。オーバークロックには対応していないがバランスの取れたマザーボードで10世代CPUを使用してゲーミングPCを作る場合は価格を抑えて良いものが作れるだろう。ただし11世代CPUには対応していないので注意が必要である。

ASUS Z490 ProArt

ASUSのZ490シリーズから新たに登場したProArtシリーズ。ASUS Z490 ProArtはクリエイター向けに設計されたマザーボードでデザイナー、動画制作者のみに様々な用途に強みがあるマザーボードだ。クリエイター向けマザーボードの設計思想は基本的に「ゲーミング系のマザーボードにさらに超高負荷のエンコードをかけても耐えられる」というものだ。
Z490 ProArtは10GbitのLANカード、2つのThunderbolt3ポートを搭載しているので高速なネットワーク環境、超高性能な周辺機器を余すことなく使い切ることができるマザーボードだ。

ASUS PRIME B560M-A

Prime B560M-Aはオフィス用途に最適なマザーボードだ。基本的な機能に加え、オンボード出力でHDMI端子が2つあるため、ビジネス用途でデュアルディスプレイ環境を構築するのに最適だ。昨今のグラフィックスカード高騰でマルチディスプレイ環境を構築することが難しくなっているため、オンボード映像端子が充実しているPrime B560M-Aは高負荷な作業をしない限り最適な選択となるだろう。加えて非常に単価の安いマザーボードのうちの一つであるためオフィスで大量導入もしやすい。

MSI MAG B560 TOMAHAWK

MSIの武器シリーズマザーボード、MAG B560 TOMAHAWKは価格と性能のバランスが取れたゲーミングマザーボードだ。Intel、AMDともに非常に人気のTOMAHAWKシリーズは電源回路の堅牢性に定評があり長時間のゲームプレイも卆なくこなすだろう。またこのIntel 500番台チップセットからB560チップセットもメモリのオーバークロックが可能になったのでオーバークロックメモリを使用して更なる速度を求めることも可能になった。

ASUS TUF GAMING Z590-PLUS WIFI

TUF GAMINGシリーズはゲーマー向け・入門向けとして非常に良いマザーボードだ。このTUFゲーミングの設計コンセプトは入門機、耐久性である。無理な設計はせずに使いやすいマザーボードとなっており、実装パーツ点数も少なめだ。実装パーツが少ないことで製品全体としての故障率の低下、ノイズの発生源を減らすことができる。ゲーマーのみならずオーディオ系のPCを作る場合やクリエイターにもお勧めできる。

MSI MAG Z590 TORPEDO

MAG Z590 TORPEDOは新しくMAGシリーズに加わった武器シリーズのマザーボードだ。基本的なマザーボードに2.5G LANとギガビットLANのデュアルLAN構成となっておりWi-Fiを使わないのであれば非常にお勧めなマザーボードのうちの1枚だ。電源回路も14フェーズの60A Dr.MOSで3万円のマザーボードとは思えないほど充実したコンポーネントを搭載している。Intel第11世代Core i9 11900KのABT機能を使用してもマザーボードが力負けすることなく性能を発揮できる点もポイントだ。

レビュー記事はこちら

ASRock Z590 PG Velocita

Z590 PG VelocitaはPCに対して妥協したくないゲーマーにお勧めなマザーボードだ。一般的にグラフィックスカード用のPCIeレーンは16レーン確保されているのだが、このZ590 PG Velocitaはグラフィックスカード用のPCIeレーンを8レーンに制限し、余剰分のPCIeレーンをLANに回すことができる。普通であればLANはZ590チップセットに接続されてからCPUと接続されるのだが、Z590 PG VelocitaはLANが直接CPUと接続されている。これによりネットワークの遅延を最小限に抑えることができるので1msでも遅延を削りたいゲーマーはこれ一択だろう。他にもマウス・キーボードの入力遅延を削るために専用のUSBポートを用意しており、ポーリングレート(マウスやキーボードに対しての通信回数)が通常のものに比べて格段に高く設定されている。プロゲーマーなどゲームでトップを目指す人にお勧めだ。

GIGABYTE Z590I VISION D

Z590I VISION DはMini-ITXのマザーボードながら非常に扱いやすく安定性の高いマザーボードだ。Mini-ITXマザーボードは基盤が小さいため非常に部品が密集しており、安定性に問題があったりUSBポートの動作が不安定というものも少なくない。このZ590I VISION Dはそういった問題も少なく、なおかつThunderbolt4端子を含むUSBポートが多く搭載されているので周辺機器の拡張性も十分だ。小さいPCを作りたい際には値段こそは高いもののこのZ590I VISION Dが最適だろう。

まとめ

以上、Intelの400,500番台チップセットの解説、それぞれのチップセットを搭載したおすすめマザーボードの紹介だった。今回紹介したマザーボードの他にも良い製品はたくさんある。中にはこのマザーボードであのCPUを動かして大丈夫なの?と疑いたくなるものも存在するのでマザーボード選びの参考になれば幸いだ。チップセットはPCの性能を大きく左右する一つの部品なのでマザーボード購入の際はよく考えてから選ぶことをおすすめする。