
ここ最近SSDの大容量化が進み、1TB以上の大容量SSDが安価に市場に出回るようになってきた。Western Digital、Samsung、 Micronなど信頼性の高いメーカーのSSDも導入しやすくなりOSやゲームにSSD、データ保管やバックアップにHDDを使用するなど用途を使い分ける人も増えている。
信頼性の高いSSDの価格が安くなったことで中華ブランドのSSD等の怪しいSSDを選ぶメリットがなくなってしまったが、今回はRyzen3000シリーズの発売記念で安く手に入った480GBの激安SSD、「KLEVV NEO N510+ 」をレビューしていく。「KLEVV」ブランドを展開するESSENCOREも聞きなれない人も多いだろう。そのため、初めはESSENCOREについて紹介する。
ESSENCORE「KLEVV」とは?
2014年に設立したESSENCOREは、SK hynix ( エスケー ハイニックス ) を傘下に収める「 SKグループ 」による100%出資の子会社。そのためESSENCORE社の「KLEVV」ブランドのSSDはSKhynix から直接供給を受けたNANDが使用されており、中華SSDで見られるリマーク等の心配はないといっていいだろう。 3年保証に加えNANDの入手ルートもわかっているため下手な中華ブランドのSSDより安心感がある。
製品仕様
Host interface | SATA Revision 3.1 (SATA 6Gb/s) | ||
---|---|---|---|
Form Factor | 2.5 inch 7mm | ||
Dimension (LxWxH) | 100.2 x 69.85 x 7 | ||
Capacity | 120GB, 240GB, 480GB | ||
Controller | SMI SM2258XT | ||
Flash | 3D TLC NAND Flash | ||
Warranty | 3 years | ||
Performance | 120GB | 240GB | 480GB |
Maximum Seq. Read | 520MB/s | 520MB/s | 520MB/s |
Maximum Seq. Write | 470MB/s | 500MB/s | 500MB/s |
コントローラーには4chアクセスに対応するコントローラSilicon Motion「SM2258XT」 が採用されている。SK Hynix製 72層 3D TLC NAND Flashを採用。三年保証がついているがEssencore製品を取り扱っている、日本代理店株式会社アーキサイトにはNEO N500、NEO N600の取り扱い以外現時点では確認できない。
外観



中身は本体のみで取扱説明書やバックアップツールのシリアルナンバーなどの付属品は一切ない。バックアップツール目当てで購入する人も多いと思われるため、使用方法が記載されていなかったりその説明が記載された説明書が付属しないのは少々不親切に感じた。ESSENCOREの公式ページによると下記の通り代理店に問い合わせるように案内されるが、日本代理店株式会社アーキサイトの取り扱い製品にはN510+がない為現時点でAcronis True Imageが 使えるかどうかは分からない。

追記
株式会社アーキサイトの製品情報の一覧にN510+が追加されていた。また、Acronis True Image HD 2018 のソフトウェアアクティベーションキーもサイトから認証可能な状態になったため、代理店への連絡は不要となった。今後は、株式会社アーキサイトが正式にサポートすることになるため安心して購入することできる。

品質チェック
ソフトウェアを使用し健康状態を見ていこうと思う。使用ソフトは、Crystal Disk Info 8.2.0とHD Tune Pro 5.70(trial version)

動作に支障はなかったが少々気になるところだ

HD TuneではDamagedが0だったものの、Crystal Disk InfoのS.M.A.R.T.値から初期不良ブロックが17個見つかった。
速度ベンチマーク
使用ソフトはCrystal Disk Mark6.0.2
1GiB、2GiB、8GiB、32GiBの計測を行った




結論として速度性能はキャッシュレスSSDの中でも全体的に低い値になった。 シーケンシャルはアクセスはRead/Write共に公称値を上回るスコアでデータ容量による差もほとんど感じられなかった。しかし、ランダムアクセス速度はデータ容量による差がReadでは大きな変化が見られなかったものの、大容量の書き込みには弱い印象だ。
ベンチマークスコアでは残念な結果に終わってしまったが、古いノートPCをHDDからSSDに換装することでベンチマークで得られなかった効果を実感出来ると考えたため早速換装を試みた。検証にAcronis True Imageのシリアルナンバーが間に合わなかったため EaseUS Todo Backup Freeを使用した。細かい手順等は省くがそのままでは不具合が出てしまうためあまりオススメはできない。


Ivy Bridge i5 3337U+8GBの構成のノートPCを使用した。HDDで2分以上かかるOSの起動が、交換後は13~15秒で起動するようになった。体感でもはっきり分かる変化で古いノートPCを低予算で効果を活用するには十分である。
総評
良い点
- NAND共有ルートがしっかりとしている(NAND偽装の心配がない)
- シーケンシャルはR/W共に公称値を上回るスコア
- 容量に対し値段が安い
- ノートPCでは効果を体感できる
悪い点
- キャッシュレスSSDの中でも性能が低い
- 初期不良ブロックが多め
- バックアップツールのシリアルが付属されてない為すぐに利用できない(※)
※ 現在代理店の取扱商品のリストにN510+がない為ソフトを使用できる確証はない
今回紹介したN510+は初期不良ブロックが多めで速度も遅い。信頼性と性能を求めるのであれば、このSSDの用途には向かないだろう。しかし、480GBという容量でありながら中華ブランドのSSDと違いNANDの偽装の心配がない点は評価できる。ただ、SSDからは初期不良ブロックが見つかったため、SSDに使用されているSK HynixのNANDの品質には少々心配な面があるのは確かだ。とは言え価格が安いため中華ブランドSSDの購入に躊躇していた層には丁度いい製品だろう。