製品提供:株式会社Scythe

ここ数年でCPUクーラーは空冷が主流だったのに対し、簡易水冷・本格水冷に手を出す人が増えてきているのではないだろうか。その一つの理由として簡易水冷CPUクーラーの価格が下がり、一般層でも簡単に手に入るようになったからではないだろうか。今回はScytheから発売されているASETEK製のヘッドを搭載した簡易水冷CPUクーラー「APSALUS G6」をレビューする。

スペック

スペック上はごく一般的な240mmラジエターを備えた簡易水冷クーラーだ。
ヘッドにはASETEK製の第6世代銅製水冷ヘッドを使用しており冷却効果が期待できる。
対応CPUソケットはIntel 1150 / 1151 / 1155 / 1156 / 1366 / 2011 / 2011(V3) / 2066 AMD AM2(+) / AM3(+) / AM4 / FM1 / FM2(+) / TR4(CPU付属品を使用)/TRX40となっており幅広く対応しているが一部LGA775など旧規格では対応していないものも存在しているので注意が必要だ。

開封

前面には商品イメージと簡単な概略が載っている。ASETEK社の第6世代テクノロジーを搭載したクーラーと謳っており性能は非常に期待できる。

箱側面にはスペック、寸法が記載されておりおおよその形状、仕様がわかるようになっている。

箱を開けるとAPSALUS G6本体が詰められている。ファン2個がチューブ・ラジエター・ヘッドに囲まれパズルのように詰められている。無駄なスペースは一切なくコンパクトに詰められている。

説明書は日本語で書かれており、写真も細かく載っているので非常にわかりやすい。

さて、本体を見ていこう。水冷用のヘッドは円形で頭頂部はロータリーエンジンのローターのようなデザインとなっている。水冷ヘッドの高さは低めでロゴ左側からチューブが伸びており、PCケース上部に取り付けると綺麗に配置できそうだ。ポンプの駆動は3pinファンコネクタによる給電であるため水冷ポンプのPWM速度制御には非対応だ。

ラジエター部はごく一般的な240mmラジエターだ。フィンの密度は高めで熱交換効率はよさそうだ。ラジエターの厚みは26.5mmで25mm厚のファンを装着する必要があるので小さめなケースだとケース上部に取り付けることは不可能そうだ。

ファンはAYA-KAZEの4ピンRGBモデル(AYA-KAZE12-RGB)が2つ付属している。アドレッサブルRGBファンではないがマザーボード上の4pinRGBLED制御端子にて光り方を制御することが可能だ。マザーボードメーカー各社の制御ソフトにて様々な光り方にすることができる。ファンの四隅には防振用のゴムが張り付けられておりノイズ対策に貢献している。

リテンションはAMD用とIntel用の2種類が付属しており様々なCPUに対応している。Ryzen Threadripper付属のリテンションを使用することでTR4、TRX40のRyzen Threadripperにも対応することができる(Ryzen Threadripperシリーズでは360mmラジエター搭載簡易水冷クーラーをお勧めする)。

マザーボードへの取り付けはマザーボード背面にバックプレートを取り付ける必要がある。AM4マザーボードのように最初からリテンションが付属しているようなものは取り外す必要がある。

その他ねじなどの付属品は袋に小分けされており必要なパーツを取り出しやすくなっている。

温度検証

さて、それでは実際にAPSALUS G6の温度を検証していく。今回のPCの構成はこちらだ。

OS Windows10Pro
CPUIntel Core i7 8700
M/BMSI H370 Gaming Plus
RAMXPG Spectrix D41 2666MHz 8x4GB
GPUELSA GEFORCE GTX1070 S.A.C
SSDSamsung 970 Evo Plus 500GB
HDDW.D. Brack 1TB
PSUApexgaming AG-750M 80+ GOLD
CASEDEEPCOOL EARLKASE RGB V2

CPUグリスは親和産業のSMZ-01Rを使用した。 Prime95を30分間動作させ、CPU温度を測定した。以前レビューを行ったScytheの虎徹 Mark II、ThermaltakeのContac Silent 12と比較検証を行う。

全体的な温度はContac Silent 12、虎徹Mark IIよりも冷えている。prime95を起動した直後に空冷クーラー2つは温度が急上昇しているのに対し、簡易水冷クーラーであるAPSALUS G6では開始直後の温度急上昇は起こっていない。簡易水冷クーラーはクーラントが一次冷却を行うので急激な温度変化が少ない。最大温度は67℃と虎徹Mark IIよりも2℃しか変わらない結果となってしまったが、平均温度が明らかに低いのでクーラーとしての性能は十分であろう。

組み込み事例

筆者の使用しているPCにAPSALUS G6を組み込んだ。構成は以下の通りだ。

OSWindows10Pro
CPUIntel Core i7 8700
M/BASUS TUF GAMING Z390-PRO GAMING
RAMXPG Spectrix D41 2666MHz 8x4GB
GPUELSA GEFORCE GTX1070 S.A.C
SSD 1Intel 760p 256GB
SSD 2Samsung 970 Evo Plus 500GB
HDDW.D. Brack 1TB
PSUApexgaming AG-750M 80+ GOLD
CASESharkoon PURE STEEL

APSALUS G6はRGB LEDが搭載されているため光るメモリーXPG Spectrix D41と非常に相性がよかった。ケースはSharkoonのPURE STEELを使用し、ラジエターを側面に取り付けているがチューブの長さが少し短く、若干ではあるがチューブにテンションがかかってしまっているので大きいケースを使用している人は気をつける必要があるだろう。ケース上面にラジエターを配置する場合や前面に配置する場合はあまり心配する必要はないだろう。

また、余談ではあるが今回紹介したScythe APSALUS G6は以前レビューしたKraken G12にも対応しており、GPUを水冷化する際にも使用することが可能だ。水冷ヘッドの高さが低いためPCIeスロットに余裕がない人でも取り回し次第では装着可能だろう。

総評

Scythe APSALUS G6は簡易水冷クーラーを初めて導入するPCユーザーに非常にオススメできるCPUクーラーだ。値段の面を考えるとさらに安い製品はあるが第6世代Asetek製の水冷ヘッドシステムを搭載し1万円台前半という製品は他にないのではないだろうか。導入も簡単で初心者にもオススメしやすい。さらに秋葉原などの店舗ではセール価格でScythe APSALUS G6が税別8000円を切っていたという事例もある。非常にコストパフォーマンスに優れた簡易水冷クーラーとして一つ挙げるとするのであればこのAPSALUS G6をあげても良いのではないだろうか。有名な簡易水冷CPUクーラーはたくさんあるがこのAPSALUS G6も他クーラーに負けないくらい優秀だ。

公式サイト