今回は、高耐久でコストパフォーマンスに優れたマザーボード「TUF B450-PRO GAMING」をお借りしたので紹介していく。なお、この記事では競合の「ASRock B450 Steel Legend」とも一部比較をおこなっているので、購入の際の参考にしてほしい。

↓MicroATXモデル「TUF B450M-PRO GAMING」はコチラ!

「TUF B450-PRO GAMING」の特徴を紹介

https://dlcdnimgs.asus.com/websites/global/products/2chSoHJqu4ecrydp/img/kv/tuf_gaming.gif

それではまず、「TUF B450-PRO GAMING」の特徴を紹介する。

ASUSは「TUFゲーミングアライアンス」を展開しており、ASUS TUF GAMINGシリーズに対応する製品が各PCパーツメーカーから登場している。そのため、今回紹介する「TUF B450-PRO GAMING」をはじめとするTUF GAMINGシリーズマザーボードとTUF GAMINGシリーズグラフィックカード、対応ケース、対応CPUクーラー、対応メモリ等と組み合わせることにより、統一感のあるPCを簡単に組み上げることが可能だ。

「TUF B450-PRO GAMING」のPCIe×16スロットは「SAFESLOT」となっている。スロットを独自設計の金属シールドで覆うことで強度が上方向に1.6倍、横方向に1.8倍に向上している。

「TUF B450-PRO GAMING」には、高耐久を実現するためのさまざまな工夫がなされている。
スループットの向上と雷や静電気からマザーボードを保護する役割を持つ「TUF LANGuard」、メモリ用に用意されたヒューズにより、メモリに過電圧が流れた際の故障を防ぐ「DRAM過電圧保護」、 酸化クロムコーティングが施された「ステンレス合金製I/Oバックパネル」などだ。

優秀なファンコントロールを搭載する点もASUS製マザーボードの特徴だ。
「TUF B450-PRO GAMING」は、Fan Xpert 4 Coreによってより細かいファン制御を行うことが可能だ。

コンポーネントや拡張性を比較

それでは、「ASUS TUF B450-PRO GAMING」と「ASRock B450 Steel Legend」を、実物の画像を用いて比較していく。

「TUF B450-PRO GAMING」のVRMヒートシンク

まずはVRMヒートシンクを見てみる。
「TUF B450-PRO GAMING」のVRMヒートシンクはアルミニウム製で、表面積を拡大するために切り込みが多数入っている。裏面にはMOSFETとチョークコイルに接触するかたちでサーマルパッドが貼り付けられていた。

「B450 Steel Legend」も同じくアルミニウム製のヒートシンクだが、「TUF B450-PRO GAMING」のものと比較すると表面積は小さく感じる。 実際に計測したわけではないが、高さ・表面積ともに「TUF B450-PRO GAMING」のほうが明らかに大きかった。

次に、VRM MOSFETを見ていく。
「TUF B450-PRO GAMING」は1フェーズあたり2つずつのハイサイド・ローサイドMOSFETが実装されている。実装されているのはそれぞれOn Semiconductor製「4C10B」「4C06B」で、フェーズ数は4+2となっている。 一見8+2フェーズに見えるが、PWMコントローラには「ASP1106GGQW(Richtek RT8877C)」4+2フェーズコントローラが採用されており、フェーズダブラーは実装されていないため、4+2フェーズとわかる。 チョークコイルはミリタリーグレードの「TUFチョークコイル」を8個実装し、負荷分散している。
コンデンサには米軍MIL規格に準拠した5000時間・最大125℃に耐える「TUFコンデンサ」を採用し、耐久性を高めている。

一方、「B450 Steel Legend」は1フェーズあたり1つのハイサイドMOSFETと2つのローサイドMOSFETが実装されている(SoC向けフェーズはハイサイド・ローサイドともに2つ)。MOSFETにはNIKO Semiconductor製「PZ0903BK」「PK618BA」が採用されており、フェーズ数は同じく4+2だ。
「B450 Steel Legend」のMOSFETにはSinoPower製を採用したバージョンとNIKO Semiconductor製を採用したバージョンの2種類が存在するが、今回検証に使用したものはNIKO Semiconductor製のバージョンだった。
チョークコイルには「プレミアム60Aパワーチョーク」が採用されている。
コンデンサにはニチコン製105℃ 12000時間耐久の「12Kブラックコンデンサ」を採用し、高耐久を実現した。

「TUF B450-PRO GAMING」で採用されているMOSFETは、「B450 Steel Legend」で採用されているものよりもRDS(on)が低くなっている。RDS(on)の値が低いほど、同条件での発熱が抑えられる。ヒートシンクや実装部品を比較すると、電源回路性能では「TUF B450-PRO GAMING」のほうが優れているとわかる。
コンデンサについては、確かに耐久時間だけを見ると「B450 Steel Legend」が優れているように見えるが、コンデンサの性能は耐久時間だけでは語れないので、温度によっても耐久時間は変動するためどちらが優れているのか判断するのは難しい。

次に、リアI/Oを比較する。
「TUF B450-PRO GAMING」は左からPS/2ポート、2×USB 2.0、DVI-D、USB 3.1 Gen2 Type-C、HDMI 2.0b、2×USB 3.1 Gen2、2×USB 3.1 Gen1、Realtek Gigabit LAN、各種オーディオジャックとなっている。
「耐食性ステンレススチールバックI/Oパネル」は酸化クロムコーティングが施され、通常の3倍もの長時間塩水噴霧試験に耐えることができるよう設計されている。

「B450 Steel Legend」は左からPS/2ポート、2×USB 2.0、DisplayPort 1.2、HDMI 1.4、4×USB 3.1 Gen1、2×USB 3.2 Gen2(うち1ポートはType-C)、Realtek Gigabit LAN、各種オーディオジャックとなっている。

USBポート数は「B450 Steel Legend」が1ポートだけ多くなっているが、10Gbpsの高速転送に対応するUSB 3.1 Gen2の数は「TUF B450-PRO GAMING」が多い。映像出力端子を比較すると、「TUF B450-PRO GAMING」はDisplayPortがない代わりにDVI-Dが実装されているほか、HDMIが4K60Hzに対応する2.0bになっている。
オーディオジャックに関しては「B450 Steel Legend」のほうが優れている。内部には金メッキが施され、S/PDIF Outも実装されている。

オーディオ部分はPCBレベルで分離されているため、ノイズの少ないサウンドを楽しむことができる。

オーディオコーデックでは「TUF B450-PRO GAMING」がより優れている。
「TUF B450-PRO GAMING」にはRealtek ALC1200ベースの「S1200A」を搭載されている。そして、そのオーディオコーデックを「TUFゲーミングオーディオカバー」で覆い、ノイズを低減している。オーディオコンデンサはELNA製だ。

「B450 Steel Legend」にはRealtek「ALC897」が実装されている。7.1チャンネルサラウンドはサポートしているものの、ALC1200ベースの「S1200A」と比較すると見劣りする。オーディオコンデンサはニチコン製が採用されていた。

最後に拡張スロット。「TUF B450-PRO GAMING」と「B450 Steel Legend」はどちらもデュアルM.2、SATA 6ポートを備える、拡張性に優れたマザーボードだ。
「TUF B450-PRO GAMING」にはPCIe 3.0×16、PCIe 2.0×4(×16形状)が1本ずつとPCIe 2.0×1が3本存在する。
M.2は上段がPCIe 3.0×4、×2、SATA 6Gb/s対応で、下段はPCIe 3.0×2のみの対応となる。

「B450 Steel Legend」にはPCIe 3.0×16、PCIe 2.0×4(×16形状)が1本ずつとPCIe 2.0×1が4本存在する。PCIe 2.0×1が1本多くなっているが、グラフィックボードを使用する場合はPCIe 3.0×16スロットの一つ下は基本的に使用不可になるため、Ryzen APUで運用する場合を除けば差はない。
M.2は上段がPCIe 3.0×4、×2に対応し、下段はPCIe 3.0×2、SATA 6Gb/sに対応する。また、上段のM.2にはヒートシンクがついている。

「TUF B450-PRO GAMING」の裏側をみてみると、メモリスロットの固定部分がしっかりとはんだ付けされていた。このような細かいこだわりが耐久性の向上に貢献している。

メモリサポートリストの有無

「TUF B450-PRO GAMING」には、第三世代 Ryzen向けのメモリサポートリストが用意されている。
「B450 Steel Legend」には存在しないため、この点を考えると「TUF B450-PRO GAMING」はより第三世代 Ryzenを使用するのに向いているといえる。

ASUS TUF B450-PRO GAMING メモリサポートリスト

VRM温度を比較

次に、6コア12スレッドの「Ryzen 5 3600」を用いてVRM温度の比較を行った。公正を期すためエアコンの設定温度を固定した状態で直接風が当たらない場所に設置し、簡易水冷CPUクーラーを用いて計測を行った。

OCCT V5.3.2 LINPACKで30分負荷をかけた際のヒートシンク下部の温度を計測した

OCCT LINPACKで30分間高負荷をかけた際のVRM温度はこのようになった。

どちらも75℃以下と全く問題ない温度に収まったが、「TUF B450-PRO GAMING」のほうがより低い温度に抑えられていることがわかる。
また、今回使用したCPUは6コア12スレッドの「Ryzen 5 3600」だ。8コアの「Ryzen 7 3700X」などではより発熱が大きくなり、この温度差は顕著になってくるだろう。簡易水冷クーラーや多コアCPUを使用する場合は「TUF B450-PRO GAMING」がおすすめだ。

まとめ

「ASUS TUF B450-PRO GAMING」 と「ASRock B450 Steel Legend」の比較は以上だ。
電源回路やオーディオ周りが比較的高性能で、また第三世代 Ryzen向けのメモリサポートリストがある点を加味すると、これからRyzenマシンを組むなら「TUF B450-PRO GAMING」を選べばより満足できるのではないだろうか。

「TUF B450-PRO GAMING」はこんな人におすすめ!

  • 第三世代 Ryzen 5やRyzen 7でコスパ重視のPCを組みたい人
  • 価格を抑えつつ高音質なサウンドを楽しみたい人
  • 価格を抑えつつ高い拡張性を備えたマザーボードがほしい人

今後、Ryzenを使ってゲーミングPCや長期運用を見据えたPCを自作する際はぜひこの「ASUS TUF B450-PRO GAMING」を候補に入れてほしい。