
製品提供:Deepcool
中国・北京のPCパーツメーカー・Deepcoolが2021年6月25日(金)に日本で発売したデュアル140mmファン搭載の薄型空冷クーラー「AS500 PLUS WH」をレビューする。この商品は同社の「AS500 PLUS」にホワイトデザインを採用したもので、ヒートシンクやケーブル類まで白色にこだわった貴重なモデルである。以前にレビューした「CASTLE 360EX WHITE」もホワイトデザインの貴重なものであったが、ファンのブレードが黒色であったり、他社でも白色の簡易水冷を出す所が増えてきたため差別化を図るには難しい状況になってきた。今回紹介する 「AS500 PLUS WH」 は空冷ではまだ少ない白色のクーラーとして期待値がかなり高い製品だ。デザインだけでも徹底した白色だがパフォーマンス面ではどれほどの実力を見せてくれるだろうか。今回はAMDのメインストリーム向けハイエンドCPU「Ryzen 9 5950X」を使用して検証する。
スペック
製品寸法 | 142×102×164 mm |
ヒートシンク寸法 | 140×49×159 mm |
重量 | 1198 g |
ヒートパイプ | Ø6 mm×5 pcs |
ファン寸法 | 140×140×25 mm |
ファン回転速度 | 500~1200 RPM±10% |
ファンエアフロー | 70.81 CFM |
ファン空気圧 | 1.14 mmAq |
ファンノイズ | ≤29.2dB(A) |
ファンコネクタ | 4-pin PWM |
ベアリングタイプ | Fluid Dynamic Bearing |
ファン定格電圧 | 12 VDC |
ファン定格電流 | 0.11 A |
ファン消費電力 | 1.32 W |
LED タイプ | Addressable RGB LED |
LEDコネクタ | 3-pin(+5V-D-G) |
LED 定格電圧 | 5 VDC |
LED電力消費量 | 1.4 W |
開封・付属品

今までのDeepcoolのクーラーと異なり、パッケージはかなりシンプルで上品なデザインになった。ロゴのデザインも変わっているが、今後もこの方向性でパッケージをデザインしていくかは分からない。筆者はシンプルな印象の今回のパッケージデザインは非常に好印象に感じた。

裏面にはスペックや各マザーボードメーカーのライティングの対応ロゴが記されている。少し見づらいが、大手マザーボードメーカー4社など(左からASUS,RAZER,GIGABYTE,MSI,ASRock)には対応しているため、あまり気にする必要はない。



箱を開けると製品と茶箱が確認できる。この茶箱の中に付属品や取り扱い説明書などがすべて収められている。






Intel CPU用バックプレート、Intelのリテンションキット、AMDのリテンションキット、スペーサー・ねじ、A-RGB LEDコントローラー、PWM分岐ケーブル、説明書、CPUグリスが同梱されている。
外観
固定する金具を除きヒートパイプ、フィンに至るまで徹底した白色塗装だ。LED部分も半透明でライティングをオフにした場合でも見栄えに影響を与えることがないのは良い点だ。ファンは付属のクリップを使用し、挟む形で固定する。ねじ止めは締め切るタイプで最適な固定圧で装着することができる。
ヒートシンクは厚さ48mmと薄型の設計となっている。ただ、高さは164mmと少し高めとなっているため装着する際はケースとの相性を確認しておく必要がある。サイドパネルに干渉してしまうケースには使用できないため注意が必要だ。



ヒートパイプは6mm径のものが5本確認でき、左右には少しゆとりがある。塗装のクオリティは高く安っぽさは感じられない。ファンのみ白というメーカーが多くある中、ここまで徹底して白色塗装にこだわっているメーカーはない。

ニッケルめっきを施し、接触面積を増やすため鏡面化されたベースプレート部分。42mm四方で5本のヒートパイプに最適化された大きさになっている。工作精度も高く接地面は問題ない。

「AS500 PLUS WH」 に搭載されているのは二層のファンブレードが特徴的な14cmファン「TF 140S」が2基だ。特許取得済みの構造で、 空気流を最大2.5m³/分まで増幅する効果があると言う。また中央から外側にかけて広くなる独自のフレーム構造により静圧を高めている。軸受けには「Fluid Dynamic Bearing(流体軸受け)」を採用している。ファン全体がホワイトデザインなだけでなく、ラバー・ケーブルの色まで白くしているなど徹底した白色へのこだわりを感じる。しかし、PWM分岐ケーブルは黒色だったため、どちらかに統一して欲しいのが正直な感想だ。 回転数は 「ASSASSIN III」の「TF 140S」(400~1400 RPM±10%)よりもやや抑え気味な回転数(500~1200 RPM±10%)だ。
LEDライティング
「AS500」と「AS500 PLUS」は ファンの枚数の以外は共通している。「AS500 PLUS WH」も同様に付属の A-RGB LEDコントローラーで色を切り替えるか、3ピンコネクタに接続し制御する。
検証
上記の構成で検証を行う。負荷テストによってCPU温度の推移を見ていく。今回の検証ではOCCT 9.0.2 CPU:OCCTで30分間の負荷推移を測定する。

実際に装着すると上記のようになる。ヒートシンク形状は大型なクーラーでみられるオフセットデザインではないが、シングルタワー構造かつ薄型のためメモリの干渉を気にすることなく設置することができる。
見た目に関しては組み合わせによってはCPUクーラーが悪目立ちしてしまうため、白で統一しないのであれば通常の「AS500 PLUS」をお勧めする。 それだけこのクーラーの”白さ”が際立っている。

アイドル時は46℃~48℃程度で負荷テストを開始すると温度が上昇し、スパイク値も含めると最大温度は77℃、平均温度は68℃という結果になった。動作クロックは約4.4GHzで安定しており、薄型ながら冷却性能は十分確保出来ていると言えるだろう。
総評
白色のマザーボードやグラフィクスカード、ケースファンなど白色のパーツのラインナップが増えていく中、簡易水冷では様々な白色のクーラーが出ていたが、空冷クーラーには目立った白色のクーラーは無かった。だからこそ、いち早くニーズに応えたDeepcool「AS500 PLUS WH 」の存在感は凄まじいものになっている。価格設定に関しても製造コストの上がるホワイト塗装を施しながら、7千円弱で手に入るなど品質、冷却性能、価格のどれをとってもお勧めできる。ただ、「AS500」のようなシングルファンでホワイトデザインのものが出れば価格が抑えられ手が出しやすいため、シングルファンモデルや「TF 140S」の単体販売なども期待したいところ。今後の製品も楽しみだ。
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