7月7日、Zen2発売日に1/3rd Life – ワンサードライフ cafe area(千代田区外神田4-9-2 千住ビル 5 1F)にてASRockの新製品カウントダウンイベントが行われた。あいにくの雨で足元が悪い環境だったが、たくさんの人々がこのイベントに参加しようと1/3rd Lifeに訪れた。

イベントの目玉、ChrisによるX570マザーボード解説

7月7日のこのイベントのために台湾からGeneral Manager,Motherboard&Gaming Peripherals BUを務めるChris Lee(クリス リー)氏が来日した。

とても陽気で多様なジェスチャーを交えたプレゼンテーションの内容を要約して紹介する。

今回のASRock X570マザーボードのラインナップはこのようになる。フラグシップのX570 AQUA、ハイエンドのX570 Creator、X570 Phantom Gaming X、X570 Taichi、メインストリームの X570 Steel Legend、X570 Extreme4、スタンダードのX570 Pro4、X570 Phantom Gaming 4、X570M Pro4、そしてMini-ITXのX570 Phantom Gaming-ITX/TB3だ。

Ryzen 3000シリーズCPUはとてもパワフルなため、VRMのデザインがとても重要になってくる。今回のマザーボードのほとんどがドライバ、Low Side MOSFETとHigh Side MOSFETをワンチップに統合した「Dr.MOS」を採用している。最大95%の効率で稼働し、高負荷時でも低い温度・少ない電力損失を実現している。

電源コネクタはASRock Hi-Density Powerコネクタを採用しており、CPUの補助電源、ATX電源のピンが通常よりとても太いものを採用している。これによりコネクタ自体が発熱しづらくなっている。オーバークロックを行っても非常に大きな電流を流すことができるので安定して動作できるようになっている。

また、Premium 60A Choke、12Kコンデンサを採用し、非常にパワフルな電源回路となっている。

AQUA、 Creator、Phantom Gaming X、Taichiの電源は14フェーズとなっており、このうちAQUAとCreatorはPowIRStage IR3555のDigital VRM のDr.MOSを使用している。

Steel Legend、Extreme4は10フェーズだがDr.MOSを搭載しており、50Aの低発熱なものとなっている。

X570マザーボードのPCIeスチールスロットも進化した。信号の安定性を向上させ、重たいグラフィックスカードを確実に固定できるようにアンカーポイントを従来の4箇所から6箇所へと増やした。

M.2SSDも進化し、さらに高発熱となった。今回発売されるX570 TaichiとPhantom Gaming Xは全体をアルミのヒートシンクでカバーしている。

ヒートシンクにより驚くほどM.2が冷却されている

ASRock製のX570マザーボードは全て2OZ銅箔層基盤を使用している。PCBに2OZ銅箔層基盤を採用することで発熱を抑え、エネルギー効率が非常に高くなるとのことだ。また、信号の品質も向上する。

多くのX570のチップにはファンがついている。そのファンにもASRockは非常にこだわっている。EBRベアリングファンを採用し、高耐久で静音性に優れた設計となっている。また、ファンコントロールはBIOSによって最適化されているが、ユーザーによる回転数の制御も可能だ。

X570 AQUA、Creator、Phantom Gaming-ITX/TB3にはThunderbolt3がオンボードで搭載されている。特にPhantom Gaming-ITX/TB3の設計には苦労したそうだ。VRMヒートシンクの大きさをスペース上の都合から確保できず、IOシールドを従来のプラスチック製のものからアルミニウム製に変更し、IOシールドそのものが大きなヒートシンクとなっている。これによってMini-ITXマザーボードながら10フェーズの電源回路を搭載することが可能となった。問題はさらに続く。AM4クーラーのリテンションを搭載するスペースが確保できない。この問題はIntelのLGA115x用の穴を使用してCPUクーラーを搭載するという類をみないアイデアで乗り越えた。ちなみにここまでやってもまだスペースが足らず、チップセットファンは立体的に斜め方向に搭載されている。小さいながらも非常に贅沢なマザーボードとなっている。「ITXといったらASRockしか選択肢はないのではないか」という強気な発言もうかがえた。

Wi-Fi6(802.11ax)を世界初搭載したのもASRockである。Wi-Fiモジュールを搭載したASRock X570マザーボードは全てWi-Fi6対応となっている。

I/Oシールドをマザーボード上に固定しながらもX方向、Y方向、Z方向に調整が可能となっており、ケースとの相性によって綺麗にマザーボードを固定できないといったアクシデントを発生させにくくするフレキシブルI/Oシールドを採用した。

ハイエンドモデルにはメタルバックプレートが装備されている。マザーボードの背面を利用して放熱性を高め、耐久性を強化している。
また、BIOSフラッシュバックも搭載されている。CPU、メモリを使用せずとも、BIOSファイルを入れたUSBメモリをアップデート用のUSBポートに挿してボタンを押すだけでBIOSを更新することができる。

X570 AQUAはASRock X570マザーボードシリーズの中で唯一チップセットファンが搭載されていない。X570 AQUAはCPU、VRM、チップセットを冷やす水路が独立して効率良く冷却することができる。ちなみに999枚限定モデルだ。今回このイベントにあったものは002番だった。001番はクリスの机の上にあるそうだ。

X570 Creatorは名前の通りCreator向けのマザーボードとなっている。最近ではYoutuberなど自分で映像編集や画像編集を行う人が増えている。そういった人に非常に最適なマザーボードとなっている。X570 CreatorもX570 AQUA同様の電源回路を搭載しており、非常に過酷な環境下で長く使われることを想定している。また、10G LANやThundernboltも搭載しているため、大容量のファイルの受け渡しなどもスムーズに行えるようなモデルとなっている。

この後はじゃんけん大会、CFDよりメモリ、ASRockコラボの告知、Chrisへの質問などがありとても興味深いイベントとなった。

最後に参考出品されていたASRockのコラボケースを写真で紹介する。

Fractal DesignのMeshify Blackout TGのPhantom Gaming モデル
Fractal DesignのMeshify C-TG WhiteのSteel Legend モデル
Fractal Design Define R6 USB-C TG GunmetalのTaichi モデル

以上3点のケースが参考出品されていた。

マザーボードはX570 Pro4、X570M Proは7月中旬発売、X570 AQUA、X570 Creator、X570 Phantom Gaming-ITX/TB3は発売未定となっている。
発売されているものはASRock公式ページに詳細があるので是非確認してみてほしい。