Fractal Designが Define Cの後継モデルとしてリリースしたDefine 7 Cpmpact。ケース内の無駄なスペースを極力減らすことでコンパクトな筐体を実現させた独特な思想のケースだ。Define 7 シリーズは基本となるDefine 7、Define 7 XL、Define 7 Compactをベースに黒と白のカラーバリエーション、そしてサイドパネルがガラスパネルのもの(ノーマル・スモークガラス)とそうでないSolidタイプものと様々な使用があるのも特徴だ。今回はDefine 7 CompactのBlack Solidモデルをレビューする。
スペック
対応マザーボード | ATX、MicroATX、Mini-ITX |
ドライブベイ | 3.5/2.5インチ対応ベイ 2、2.5インチベイ 2 |
トップファンサイズ | 120mm x 3 または140mm x 2 |
フロントファンサイズ | 120mm x 3 または140mm x 2 |
リアファンサイズ | 120mm x 1 |
トップラジエターサイズ | 240mmまで |
フロントラジエターサイズ | 280mm/360mmまで |
リアラジエターサイズ | 120mmまで |
拡張スロット数 | 7 |
フロントパネルポート | USB 3.2 Gen2 (Type-C) x 1、USB3.0 x 2、USB2.0 x 2、マイク端子 x 1、イヤホン端子 x 1 |
対応CPUクーラー高 | 169mmまで |
対応電源長 | 200mmまで |
対応グラフィックスカード長 | 341mmまで(フロントファンなしで360mmまで対応) |
外寸 | 210 (w) x 427 (D) x 474 (H) mm |
重量 | 約9.2kg |
開封
箱は無塗装の段ボール箱に製品デザインが描かれている。前面には特に日本語の説明は書かれていない。
背面にはこのDefine 7 シリーズの特徴である分解性能について書かれている。数字が割り振られており各パーツについて簡単に説明されている。背面については日本語の説明も記載されている。
箱内側もFractal Designのロゴがデザインされており内部も洒落ている。
説明書は日本語の記載もあるので初心者でもわかりやすい。
外観
今回レビューするDefine 7 Compact Solidはサイドパネルにガラスを使用していないモデルとなっている。サイドパネルはスチール製でガラス製サイドパネルが採用されているケースが多い中、PC内部が見えないPCを作りたい際に重宝するケースだ。
フロントはアルミニウムのパネルが張り付けられておりプラスチック感がない。フロントパネルそのものの造形はABS樹脂製であるが表面のアルミニウム処理で高級感を出している。
背面を見ると下部に電源ユニットを搭載するスペースが設けられており、配置はごく一般的な電源が下につくタイプのケースである。Define 7やDefine 7 XLのようにグラフィックスカードの縦置きには対応していないので縦置き用のPCIeスロットは搭載されていない。IOパネルとPCIeスロットは内部に陥没したデザインとなっており、マザーボードのIOシールドのデザインをリアファンで隠すことがない。
フロントのポートは上面についており左からリセットボタン、イヤホンジャック、マイクジャック、USB 3.1 Gen2 Type-Cポート、電源ボタン、USB2.0ポートが2つ、USB3.0ポートが2つとなっている。
スチール製のトップパネルは簡単に取り外せるようになっており上面ファンの取り付けも簡単である。写真左下に写っているが、上面にもダストフィルターが取り付けられており埃の侵入を極限まで抑えているような作りをしている。
底面にもダストフィルターが備えられている。ダストフィルターはフロントパネル側から引き出すことができ、底面にファンを取り付けた場合でも下から埃を吸い上げないように設計されている。
サイドパネルを取り外し、内部を見る。スチール製のサイドパネルは内側に吸音材が貼っておりPC内部のファンノイズを吸収する。この吸音材はトップパネル、フロントパネルにも貼ってありDefine 7 Compactが静音性をいかに追及しているかがよく伝わってくる。
フロントパネル、トップパネル、左右のサイドパネルを取り外し、上面のフレームを取り外すと非常にメンテナンス性がよいことがわかる。パネルには吸音材が貼ってあるのに対し、内部は肉抜きがされている点は窒息ケースでありながらも内部のエアフローは極力向上させるFractal Designの努力が見てうかがえる。
裏面は配線をまとめるためのバンドが用意されているなど高級ケースならではの作りが見られる。3.5インチベイは2つ用意されておりマザーボード背面には2.5インチ専用ベイも2つ用意されている。コンパクトなケースながらストレージもきちんと搭載できるようになっているので大きなPCを置けない人でもストレージの心配をしなくても済む。
電源ユニットは最大200mmまで対応しているので1000W級の電源ユニットも搭載可能だ。
リアファンは120mmのものが搭載可能ですでにFractal Design製の3pinファンが搭載されている。
フロントファンは120mm x 3もしくは140mm x 2を搭載することが可能で初期では140mm 3pinファンが搭載されている。
Define 7シリーズは交換用のトップパネルが付属しており、高エアフロー向けなVentilated topに変更することで排熱効果を期待できる。
筆者個人のデザイン的な好みでいえばSolidパネルの方が好みではあるが排熱が間に合わないようであればこちらのVentilated topに付け替えることをおすすめする。
組み立て例
今回はCPUクーラーにNoctuaのU12Aを搭載し、大型空冷クーラーを搭載しても全く問題がないことも確認した。また電源にはCooler Master V1200 Platinumを搭載し、全長190mmと非常に大きい電源ながらもきちんとケーブルマネジメントすれば搭載可能であることも確認できた。グラフィックスカードにはかなり大型化したNVIDIA GeForce RTX 3090を搭載し300mmクラスのグラフィックスカードであれば余裕で収まった。
MSI社製のGeForce RTX 3090 GAMING X TRIOを搭載してもフロントファンに干渉することはない。コンパクトなケースながら内部は非常に広いこのDefine 7 Compactはかなり汎用性が高いケースだろう。
総評
Fractal Design Define 7 Compactはミドルタワーと言いながらも大型なケースが多い現在では珍しい小さめのミドルタワーケースである。小さめといいつつも内部は広く作られており大型空冷クーラーや大型電源ユニット、大型グラフィックスカードなどケースの大きさに左右されるパーツ類もある程度までなら問題なく載せられるというのも良い。サイドパネルを含むパネル類はワンタッチで外れることから整備性も良く、ケース自体の作りが良いのでPCを組む際の安定感も抜群だ。ただし、ワンタッチで外れるサイドパネルは裏のケーブルマネジメントを工夫しないと閉まらないということもあり大型電源ユニットを搭載する際や太い電源ケーブルを使用する際は注意が必要だ。15000円ほどする高級ケースに部類されるこのDefine 7 Compactだが、値段を差し引いたとしてもこのDefine 7 Compactはクオリティが非常に高いので買って損はないケースだ。カラーバリエーションやサイドパネルの仕様で大きく表情が変わるケースなので好みの1台を探してみても良いだろう。落ち着いたデザインで質実剛健なPCを組みたい場合はうってつけのケースだ。