試用提供: Lexar
アメリカの大手SSDメーカーであるLexarはPCIe 4,0に対応したLexar Professional NM800を新たに発表、発売した。Read最大7400MB/sとGen4 SSDの中でもかなりの速度を誇りProfessionalの名前に恥じないスペックを持ったNM800はどのようなSSDなのだろうか。今回は512GBモデルを使用して性能を確かめていく。
スペック
インターフェース | PCIe4.0 x 4 (NVMe 1.3) |
フォームファクタ | M.2 2280 |
容量 | 500GB、1TB |
コントローラ | InnoGrit IG5236CAA |
NAND | Micron製176層TLCフラッシュメモリ |
DRAM | FORESEE製DDR4 500GBモデル:512MB 1TBモデル:1GB |
シーケンシャルリード | 500GBモデル:5000MB/s 1TBモデル:5000MB/s |
シーケンシャルライト | 500GBモデル:2500MB/s 1TBモデル:4400MB/s |
MTBF | 150万時間 |
TBW | 500GBモデル:850TBW 1TBモデル:1800TBW |
保証期間 | 5年間 |
パッケージ・付属品
製品パッケージは黒を基調として金色のNM800という文字が目立つ。背面の説明は日本語の文もあるので安心だ。
付属品は説明書、M.2 SSDの固定ねじのみである。ヒートシンク等冷却に寄与するパーツは付属していない。
製品外見・実装パーツ
それでは実際にLexar Professional NM800を実際に見ていく。
表面の製品シールは黒とグレーを基調として中央にゴールドのラインが入っている。800という数字が大きく書いてあり全体としてシンプルで落ち着いたデザインだ。
背面には様々な認証、製品の製品番号やシリアルナンバー、バーコードが記載されている。
表側の製品シールをはがし、実装されているパーツを見ていく。Lexar Professional NM800のコントローラーはInnoGrit社のIG5236CAAを使用。あまり聞くことのないメーカーだが、Marvell Technologyで最高技術責任者を務めていたZining Wu氏が2016年にアメリカで立ち上げた企業で、IG5236はリード7000MB/sを誇る高性能なコントローラーだ。
キャッシュはLongsysのFORESEEシリーズを使用。今回レビューするLexar Professional NM800の512GBモデルでは512MBのキャッシュメモリを搭載している。
SSDの中で一番重要な実装部品ともいえるNANDチップはMicron製176層3DTLCフラッシュメモリを使用している。1チップ当たり256GBで2枚搭載することで512GBの容量を達成している。
動作検証
それではLexar Professional NM800を実際にPCに組み込み、動作速度や温度などを測定していく。
検証環境
アイドル時温度
アイドル時の温度を測定するため、CrystalDiskInfoを起動し温度をチェックする。Lexar Professional NM800のアイドル時温度は29℃とGen4 SSDの中ではトップクラスに低い温度である。
SSD速度検証:CrystalDiskMark8.0.4
SSDの性能の指標となる読み書き速度はCrystalDiskMarkを使用して測定する。データサイズ64MiBから64GiBまでテストし、ほぼすべてのテストで公称値を上回ることができていた。複数回測定したが、数値のブレは非常に小さく安定したパフォーマンスを維持することができている。
300GBのファイルを書き込んで速度・温度の推移をチェック
続いて300GBのファイルを作成し、Lexar Professional NM800に書き込むことでSSDのキャッシュの性能、キャッシュ切れを起こした時の速度、また大容量のファイルを書き込んだ際の温度変化をチェックする。
ファイルの書き込み開始直後、書き込み速度は2.73GB/sと実使用速度はベンチマーク結果よりも10%程遅くなっている。
300GBのファイルのうち165GBを書き込んだ時点でキャッシュが切れ、書き込み速度が急激に落ち、614MB/sとなった。その後342MB/sまで速度が落ちたのでおよそ150GBをボーダーラインに速度低下が起きると言って良いだろう。4K60pの動画データなど容量が非常に大きいファイルを扱う場合は注意した方が良いだろう。
300GBのファイルを書き込んでいる際、ASRock X570 CreatorのM.2ヒートシンクをつけた状態での温度の推移を記録した。アイドル時は約30℃、書き込みを開始すると一気に温度が上昇し43℃を記録した。Gen4 SSDでは50℃、60℃に達するものも多いのでLexar Professional NM800は比較的おとなしいGen4 SSDと言えるだろう。
参考までにM.2ヒートシンクを外した状態で同様の300GBのファイルを書き込むテストを行った。アイドル時の温度は33℃、書き込みテストを開始すると51℃まで温度が上昇した。この55℃という温度は他の爆熱Gen4 SSDをM.2ヒートシンクを使用した状態で書き込みを行った状態とほぼ同じ温度である。M.2ヒートシンクを使用しなくてもフルロード時の温度が55℃で済んでいるのでノートPC等ヒートシンクを使用できない状況下でも安心して使用することができるだろう。
総評
Lexar Professional NM800はGen4 SSDの中では大人しめの性能ではあるが、発熱が抑えられていてヒートシンクなしでも使用できるところが非常に魅力的なSSDだ。大きなM.2ヒートシンクを搭載できないミニPCやノートPCでの使用を考えたとき、Gen4 SSDの中では選択肢としてかなり強い部類に入るのではないだろうか。
一方で150GB以上のファイルを書き込み、キャッシュが切れた状態では600MB/sほどまで速度が落ち込み、最終的に300MB/s台まで書き込み速度が落ちてしまうのは残念ポイントだ。高画質な動画素材を大量に使用する人や大容量のファイルを大量に扱う人はキャッシュの性能がさらに良いSSDを使用することをお勧めする。
また、搭載しているNANDチップはMicron製の信頼性が高いものを使用しているのでシステムドライブ以外にもデータドライブとして使用することもお勧めだ。
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