試用提供:Shokz

 骨伝導ヘッドホンメーカーとしてトップクラスの人気を持つAfterShokzの製品は4Chunksでも3度にわたってレビューしてきた。骨伝導ヘッドホンは耳をふさがないでも音を聞くことができる非常に特殊なヘッドホンだが、音漏れが大きい、こめかみに振動を感じるなど骨伝導ヘッドホンならではの短所もあった。しかしAfterShokz製の骨伝導ヘッドホンはそのような骨伝導ヘッドホンならではの悩みはほとんどなく非常に快適に使用できるので大変人気の製品だった。
 AfterShokzはShokzとブランド名を変え、今回紹介するOpenRun Proを発表、GREENファンディングにてクラウドファンディングを開始した。AfterShokz Aeropexの後継機種として新たなフラッグシップモデルとなったOpenRun Proはどのような進化を遂げたのだろうか。

 4Chunksで紹介したShokz(旧AfterShokz)製骨伝導ヘッドホンのレビューはこちら

パッケージ

 今回紹介するOpenRun Proはブルーモデルだ。パッケージのモデルもブルーモデルを装着している。本体カラーに合わせたパッケージが採用されている。パッケージ背面には製品概要が書かれているが日本語での説明は特にない。

 パッケージを一枚開けると一新されたブランドロゴが現れる。短く、速く、呼びやすく共有しやすい名前にという理由でShokzとなったという。

 箱を開けると専用のキャリングポーチが現れる。OpenRun ProではAeropexやOpenMove等のようなシリコン製の巾着袋からハードケースへと変更された。

 キャリングケースの中にはOpenRun Pro本体と充電用のCharging Data Cableが入れられている。

 今回のOpenRun Proに付属している充電ケーブルはAeropex、骨伝導ワイヤレス ヘッドホン テレビ用 トランスミッター付き、OpenCommに使用するものと形状は同じである。以前のケーブルを使用して充電することもできるが、OpenRun Proは急速充電に対応しており、急速充電を使用するためには付属のケーブルを使用する必要がある。

ポーチの下に設けられていたスペースには説明書やShokzアプリのダウンロードカード、保証書が入れられていた。

本体外観をチェック

 それではOpenRun Proの外観をチェックしていく。

 OpenRun Proの本体カラーは今回のクラウドファンディングではブラックとブルーの2色展開である。公式サイトにはベージュとピンクも紹介されており、こちらは将来的に発売が予定されている。今回手元にあるブルーモデルは少しくすんだ色をしており落ち着いたシアンのような色をしている。

 AeropexからOpenRun Proへの大きな変更点としてこの振動部だろう。前作と比べて薄くなり、面積は大きくなった。またOpenRun Proは第9世代の骨伝導テクノロジーである「Shokz TurboPitch」を採用し、より低音を強化している。このあたりが写真に見られるメッシュ状の開口部と関係があるのだろうか。一方でOpenRun Proはこの開口部があるせいか防塵防滴性能が若干下がり、AeropexではIP67であった防塵防滴性能もOpenRun ProではIP55へと変更されている。

 耳にかけるアーチ部の形状は大きく変わっていない。ネックバンドから耳にかけるフックまではチタンで作られており非常にしなやかで耳にフィットする。激しい運動をしても落とす心配がないのは外の音がよく聞こえる骨伝導ヘッドホンの大きなメリットと言えるだろう。

 右側の振動部にはデュアルノイズキャンセリングマイクが搭載されている。通話にも快適に使用できる。

 本体右側にはSHOKZロゴの左側にLEDインジケーターが搭載されている。これは充電ステータスやペアリングモードの起動を確認するなど様々なステータスチェックに使用する。

 充電端子はAeropexと変わらない形状をしているが、場所はより後方に移された。OpenRun Proは急速充電にも対応し5分間の充電で1.5時間の使用が可能だ。またバッテリー容量は145mAから140mAと若干小さくなっているものの、バッテリー持続時間は8時間から10時間へと伸びている。

 OpenRun Proの電源・音量調節ボタンはAeropexよりも約30%大きくなった。ボタンが押しやすく間違えづらい設計となっている。

専用アプリ「Shokz」に対応

アプリイメージ

 OpenRun Proは設定用アプリである「Shokz」に対応する。本記事執筆時点ではまだ日本においてダウンロードすることはできないがイコライザの変更、言語選択などがスマホアプリ上で行えるようになる。アプリを使用しなくてもイコライザの変更等基本的な設定は行うことができるので必ずしも必要かと言われるとYesではないのだがShokz初のアプリ対応骨伝導ヘッドホンとして非常に期待できる。

使用感

 さて、それでは実際にShokz OpenRun Proを使用して音質や着け心地を確かめる。
 OpenRun Proは基本的には前作のAeropexと似た形状をしているためつけ心地等はさほど大きく変わらない。ただし頭部と接する面積が大きくなったためかAeropexよりも3g重たくなったがOpenRun Proは重さを感じるということはなかった。
 肝心の音質に関してはさすがShokz第9世代 Shokz TurboPitchテクノロジーを採用してると言え、前作Aeropexよりも数段音質が良くなったと言える。Aeropexの音質も決して悪くなく、普段使いには十分な性能を誇っていたが、OpenRun Proは低音域までバランスが良く、一般的に音質の良いと言われているイヤホンに近い音が出せるようになっている。また音の粒感も増し小さい音や細かい音の変化に対しても表現の幅が広がったように感じる。
 ただし対応コーデックがSBCのため音の遅延が発生してしまうことは難点だ。ライセンス料がかかってしまって製品価格に影響が出てしまう可能性があるもののaptXに対応していたらなお良いと思うだけに残念ポイントだ。

総評

 Aftershokz Aeropexの登場から約2年半、Shokz OpenRun Proは大きな進化を遂げた骨伝導ヘッドホンだ。Aeropexが登場する前は骨伝導ヘッドホンと言えば低音が出ない、振動で不快感があるといったものがほとんどだった。そんな中Aeropexは今までの骨伝導ヘッドホンの常識を覆し骨伝導ヘッドホンとしては最高峰と言えるものだった。OpenRun Proはさらにその上の音質、快適さを実現させ、ワイヤレスイヤホンを使用するのであればOpenRun Proを使用すれば良いのでは?と思ってしまうほどだ。特に運動時等、外の音が聞こえないと危険な場面では骨伝導ヘッドホンは非常に大きなアドバンテージがある。
 一方で無線オーディオデバイスの宿命としての音ズレ(無線による遅延)に関してはAeropexと同等、対応コーデックがSBCのため遅延はやはり感じてしまう。Aeropexのマイナーチェンジ版の「骨伝導ワイヤレス ヘッドホン テレビ用 トランスミッター付き」に含まれているAS801はaptXに対応しているため音の遅延は非常に小さい。が音質を追い求めるのであれば今回のOpenRun Proを選ぶと良いが、もし骨伝導ヘッドホンでゲームをするのであればAS801の方が向いていると言える。また防水性能もIP67からIP55へと下がってしまっていることは少々残念だ。ただしその残念ポイントがあったとしても音質の向上、急速充電の対応、バッテリー持続時間の強化、専用アプリの提供などGoodポイントはかなりのものだ。OpenRun Proの満足感はかなり高いものと言えるだろう。
 現在GREENファンディングで2022年2月21日までクラウドファンディングを行っている。まだ若干ではあるが割引価格でOpenRun Proを手に入れることができるので購入を検討しているのであればこの機会に買うことをお勧めする。

製品詳細ページ