AMDは米国時間2022年8月29日、新型CPUのRyzen 7000シリーズのラインナップと詳細なスペックを発表した。AMDが開発してきたZen4アーキテクチャを搭載し、シングル性能はRyzen 5000シリーズと比べて約30%向上したと言われている。本記事では今回発表されたCPUについて簡単に解説していく。
ラインナップ
Ryzen 5 7600X | Ryzen 7 7700X | Ryzen 9 7900X | Ryzen 97950X | |
プロセスルール | TSMC 5nm | TSMC 5nm | TSMC 5nm | TSMC 5nm |
コア数/スレッド数 | 6/12 | 8/16 | 12/24 | 16/32 |
ベースクロック | 4.5GHz | 4.5GHz | 4.7GHz | 4.5GHz |
ターボ時最大 | 5.3GHz | 5.4GHz | 5.6GHz | 5.7GHz |
キャッシュ(L2+L3) | 38MB | 40MB | 76MB | 80MB |
TDP | 105W | 105W | 170W | 170W |
ソケット | AM5 | AM5 | AM5 | AM5 |
予想価格 | 299ドル | 399ドル | 599ドル | 699ドル |
CPU性能が大きく向上
前作のRyzen 9 5950XとRyzen 9 7950Xを比較するとかなりの性能向上をしていることがわかるだろう。ゲーム性能、クリエイターに向けたエンコード等の性能どちらも6%~48%の向上をしている。CPU単体での話をするとIPCが13%向上、最大5.7GHzの単コア最大ブーストクロックによって、Ryzen 5000シリーズCPUと比較して最大29%のシングルスレッド性能向上ということが大きいだろう。ほかにもRyzen 7000シリーズでAMD初となるAVX512命令セットに対応したので一部のAI/HPCアクセラレーションではより高い性能を発揮する。
Intel Core i9 12900Kと比較してもRyzen 9 7950Xはゲーミング性能、クリエイター性能共に上回っている。AMD公式の発表なので実際の動作とは多少異なっているところはあるかもしれないが非常に期待のできる数字だ。
演算性能はIntel Core i9 12900Kと比較して62%、ワットパフォーマンスは47%上回っている。
驚くべき内容なのがGeenbench 5.4においてRyzen 5 7600XがIntel Core i9 12900Kを約5%上回るということだ。これにより少なくともGeekbench上ではRyzen 7000シリーズはすべてのCPUがIntel Core i9 12900Kより高いスコアを出していることになる。
ゲーム性能においてもRyzen 5 7600XはIntel Core i9 12900Kを上回る場面を見せている。平均して5%の性能差があると言う。
製造プロセスは5nmに進化
Zen3アーキテクチャのRyzen 5000シリーズではCCD(CPUコア本体)に7nmのプロセスルールが採用されていたが、今回のRyzen 7000シリーズは5nmへと進化した。これにより性能向上とわっとパフォーマンスの向上が見込まれている。また、IOD(メモリやチップセットとの接続を行う部品)もRyzen 5000シリーズでは12nmでの製造だったが、今回のRyzen 7000シリーズでは6nmと飛躍的に向上している。
新CPUソケット AM5を使用
今回のRyzen 7000シリーズはRyzen 5000シリーズとは違い、CPUソケットには新設計のAM5を使用する。今までCPU側にピンが生えていたPGAと呼ばれるものから、CPUソケット側にピンが生えたLGAを採用した。これにより今までのAM4マザーボードは使用することができなくなるが、CPUクーラーに関しては従来通りAM4対応のものが使用できる。CPUの給電は最大230W可能、メモリはIntelに続きAMDもDDR5に対応、PCIe5.0に対応した。
まとめ
今回発表されたRyzen 7000シリーズは日本時間9月27日に発売されるという。大きく性能が向上したRyzen 7000シリーズはIntel 12世代CPUを使っている人やRyzen 5000シリーズを使っている人でも導入する価値があると感じる発表だった。マザーボードの買い替えも必要となるが、Ryzen 7000シリーズに対応したX670、X670Eチップセットを搭載したマザーボードはCPUの発売と同時に購入することができる。ちなみにミドルグレードのチップセットであるB650E(Extreme)とB650を搭載したマザーボードは10月以降に発売される。
部材不足や円安の影響で日本価格が心配になるRyzen 7000シリーズだが、是非ユーザーの手の出しやすい価格で発売されることを願っている。また、Intelも第13世代CPUを今後発表すると思われるが、CPUの性能、価格競争に火がついてくれるとさらに良いことだろう。
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