2020年11月6日午後7時、日本でAMDの新CPU Ryzen5000シリーズが発売された。Zen2シリーズと同じ7nmでの設計だがCCXは4コアから8コアへ変更されるなど内部構造は大幅に変更され、性能は飛躍的に向上した。今回はZen3最上位モデルのRyzen 9 5950Xを入手することができたので様々なベンチマークを使用して性能を測定する。
スペック
コア数 | 16 |
スレッド数 | 32 |
ベースクロック | 3.4GHz |
ブーストクロック | 4.9GHz |
キャッシュ | 72MB |
TDP | 105W |
ソケット形状 | AM4 |
付属クーラー | なし |
価格 | ¥106,480 |
開封
パッケージはZen2とZen+のデザインを足して2で割ったような見た目である。このRyzen 9 5950Xを含めRyzen 5 5600X以外はCPUクーラーが付属していないためパッケージの大きさからは想像できないほど軽い。筆者自身店頭でこのRyzen 9 5950Xを受け取った際に拍子抜けしたほどだ。
内容物は非常にシンプルで説明書類が2種類とCPU本体、Ryzen 9 のシールのみだ。
ソケット形状は今までと変わらずAM4を続投している。
動作検証
それではPCに組み込み動作を検証していく。
今回の検証マシンのスペックはこちらだ。
Cinebench R15
シングルコアテストでは269cb、マルチコアテストでは4231cbと非常に高速だ。参考地としてRyzen 9 3950Xのシングルコアテストは214cb、マルチコアテストでは3993cbであるためRyzen 9 5950Xは飛躍的な性能向上を果たしている。
Cinebench R20
Cinebench R20ではマルチコアテストで9952ptsを叩き出し、10000ptsにあと一歩及ばずという結果になった。シングル性能でも604ptsと素晴らしい結果を出しておりzen3の性能の高さをうかがえる。
Blender Benchmark
Blenderのエンコードテストでも非常に高速な結果を出している。このCPUであれば非常に重たいエンコードでもCPUで回すことが容易だろう。
Apex Legends
ZotacのRTX3070 Twin EdgeとRyzen 9 5950XでApex Legendsの新マップOlympusをプレイした。今までよりも彩度が高く若干重たいマップとなっているがゲーム性能が向上したZen3 CPUであれば設定を一番高くしても全く問題ない。
Ryzen Masterによる自動OCをチェック
Cinebench R15
自動OCによりCinebench R15ではマルチスコアが5000cbを超えることができた。シングル性能は残念ながらあまり向上せず据え置きといった結果だった。
Cinebench R20
Cinebench R20では大幅にスコアが向上し、マルチスコアは11568ptsと約16%の性能向上を果たした。シングルスコアは4%の性能向上で604ptsから630ptsまで上昇した。
総評
Zen2と同じ7nmであってもCCXが4コアから8コアへと増加したことによりInfinity Fabric経由の通信が減り結果的にコア間のレイテンシが平均的にかなり短縮されることになった。これによりIPCは19%も増加し別次元の性能を誇る超高性能CPUへと変化した。また同グレードとしてIntel Core i9 10900Kも挙げられるがTDPは125WとRyzen 9 5950Xよりも20W高い。現行のCPUとしては間違いなくトップレベルの性能を誇りZen2ではもう一歩といったゲーム性能も大幅に向上している。さらに今後マザーボードのBIOSが成熟されればさらなる高性能化、安定性が望めるだろう。今回はRyzen 9 5950XをレビューしたがRyzen 9 5900X、Ryzen 7 5800X、Ryzen 5 5600Xも非常に優秀なCPUである。Ryzen 3000シリーズやIntel Coreシリーズを大きく引き離すこの性能は非常に魅力的だ。CoreXシリーズにも大きくリードしているこのRyzen 9 5950Xはまだ市場在庫が安定せず手に入りにくい状況ではあるが今後在庫が安定したらぜひ購入をお勧めするCPUだ。