3連ファンモデルが多い中、いち早く2連ファンのショートモデルなRTX3070を発売したZOTAC。値段も抑えめで非OCモデルであれば7万円を切る価格と非常に手も出しやすい。非常に評判の良いZOTACから出ているTwin Edgeはどのようなモデルなのだろうか。細部を細かく見てどのようなグラフィックスカードか見ていく。
スペック
CUDAコア数 | 5888 |
コアクロック | 1500-1750MHz |
ビデオメモリ規格 | GDDR6 |
ビデオメモリ容量 | 8GB |
メモリクロック | 14Gbps |
メモリバス | 256bit |
補助電源要求数 | 8pin x 2 |
出力端子 | 3 x DisplayPort 1.4a (up to 7680×4320@60Hz) HDMI 2.1 (up to 7680×4320@60Hz) |
推奨電源容量 | 650W |
消費電力 | 220W |
占有スロット数 | 2スロット |
本体サイズ | 231.9mm x 141.3mm x 41.5mm |
保証年数 | 1年 + 2年(延長保証) |
開封
青緑を基調としたパッケージである。代理店は株式会社アスクが担当している。
背面には保証書が付属している。保証年数は1年だが、ZOTACには追加保証が存在しているので合計3年間の保証を受けることができる。
箱を開けると箱の中に箱のパターンである。デザインも他社より凝っており中央のZOTACロゴと上下の線が映えている。
箱を一段階開けるとクイックマニュアルが現れる。マニュアル類はチャック袋に入れられている。
内箱を開けると本体とPCIe補助電源を6pin x 2から8pinに変換するケーブルが2本入れられている。
外観レビュー
それではZOTAC GeForce RTX3070 Twin Edgeの外観を見ていく。
外装はプラスチック製だがチープ感は一切ない。長さは232mmなので奥行きに関しては大抵のPCケースで干渉することはないだろう。冷却にはツインファンを採用しているが採用しているファンの大きさは全く別物である。フィンの数はどちらも11枚だが、ファン径はポート側は90mm、補助電源側が100mmのものを使用している。ファン中央に貼ってあるZOTACロゴ、ZOTACシールも高級感があるものを使用している。
バックパネルは金属製である。前作のRTX2000シリーズに比べて3000シリーズは全体的に発熱量が大きくなり、バックプレートの隙間を見るとサーマルパッドが貼ってあることがわかる。バックプレートも冷却に使用することで冷却効率を高めているのだろう。
ZOTAC RTX3070 Twin Edgeの占有スロット数は2スロットである。これは他社製RTX3070と比べても小さい。しかしながらPCIeブラケットから右に大きくはみ出す形状をしているため小さなケースでは干渉する可能性もありそうだ。画面出力ポートは一番左にHDMI2.1ポートが1つ、他はDisplayPort1.4aポートが3つ用意されている。
バックプレートはヒートシンク側までかぶったデザインとなっている。
PCIe補助電源は8pin x 2を要求する。このZOTAC GeForce RTX3070 Twin Edgeの補助電源は奥まった場所にあり、PCIe 6+2pinを刺す際には少しコツがいる。ふつうは何度も抜き差しするようなものではないので1度だけだが、筆者のように何度も抜き差しするような人は多少苦労する。
GeForce RTX 3070 Twin Edgeの内部構造
それではZOTAC GeForce RTX3070 Twin Edgeを分解して中を見ていく。
ヒートシンクはねじ4本で留めてある。上に生えているケーブル2本でファンと側面のZOTAC GAMINGロゴの給電をしている。
ファン、ヒートシンクを外した。バックパネルと同時に基板を見るとRTX3070の基板の大きさの小ささがよくわかると同時に冷却に必要なヒートシンクが非常に大きいことがよくわかる。
GPUのVRMは10フェーズの電源回路が組まれている。コアはGA104-300-A1が採用されている。
VRAMはSamsung製のDDR6 1GBが8枚搭載されていて合計8GBである。VRAM用の電源供給はメモリ右側にある2フェーズから行われている。
ヒートシンクはニッケルメッキされた銅製ベースプレートから5本のヒートパイプがフィン全体に向かって伸びている。VRAM部分にはサーマルパッドが貼られておりVRAMの冷却も中央のベースプレートから行っている。
バックプレートを裏から見るとメモリ部分を裏側からも冷却するようになっている。
ベンチマークで性能検証
それではベンチマークソフトを使用してゲーム性能を検証する。今回の検証用構成はこちらだ。
3DMARK Time Spy
DirectX12性能をテストする3DMARK Time Spyを動作させた。この値が高ければ高いほどDirectX12の性能が高いということになる。
3DMARK Time Spy
3DMARK Time Spy Extreme
3DMARK Fire Strike
Time SpyがDirectX 12のテストであったのに対し、Fire StrikeはDirectX 11のテストである。こちらも値が高ければ高いほど性能が良いということになる。
3DMARK Fire Strike
3DMARK Fire Strike Extreme
3DMARK Fire Strike Ultra
3DMARK Port Royal
Port RoyalはRTX2000シリーズから搭載されたレイトレーシング機能のベンチマークである。映り込みなどの光の計算を行う際の処理性能の指標として使われており値が大きいほど処理できる計算が多い。
3DMARK NVIDIA DLSS feature test
DLSSとはNVIDIAがTuring世代のGeForce RTXシリーズから導入したアンチエイリアシングやアップスケーリングのための機能で、ディープラーニングとAIを駆使して、ゲームのパフォーマンスを下げずに高画質化することができる。これは解像度別にテストしている。DLSS ONとDLSS OFF時の値が大きく変わっていることがわかるだろう。
3DMARK NVIDIA DLSS feature test FHD
3DMARK NVIDIA DLSS feature test WQHD
3DMARK NVIDIA DLSS feature test 4k
VRMARK
VRMARKはVR機器を持っていなくても使用しているPCがどれほどのVR性能を引き出せるか判断することができるベンチマークだ。解像度は2264×1348でVRゴーグルを使用した際によく使われるものを採用している。フレームレートはVRゴーグルでよく採用されている90Hzを超えていれば非常に快適にVRゲームをプレイすることができるだろう。
VRMARK Orange Room
VRMARK Cyan Room
VRMARK Blue Room
FINAL FANTASY XV ベンチマーク
定番のベンチマークソフトウェアのFF XVベンチマーク。こちらはMMORPGで有名なFF XVを使用した際の負荷をシミュレーションしたベンチマークソフトウェアである。ファイナルファンタジーシリーズを遊ぶ際の目安として使用すると良い。
FINAL FANTASY XV ベンチマーク FHD
FINAL FANTASY XV ベンチマーク WQHD
FINAL FANTASY XV ベンチマーク 4k
Apex Legendsを実際にプレイ
最後に流行りのゲームとしてApex Legendsをプレイし、実際のフレームレートを見る。今回の設定はFHDですべて最高設定としているので競技としてプレイする際には設定も今回のテストよりも低くなることがほとんどであるだろう。そのためこの検証動画よりもフレームレートは出ているだろう。
総評
GeForce RTX3070は価格と性能のバランスが非常に良い製品のうちの1つだ。このZOTAC GeForce RTX3070 Twin Edgeは特にRTX3070シリーズの中でも最安クラスであるのにも関わらず、クオリティは非常に高くさすがはNVIDIAグラフィックスカード専業メーカーといったところだろうか。2スロット厚で他のPCIeスロットに干渉するおそれもなく様々な拡張カードを刺したい人にもお勧めだ。ただし自作PCでこのGeForce RTX3070 Twin Edgeを組み付ける際に補助電源が刺しづらいのはマイナスポイントではある。補助電源コネクタの左右に余裕がないので指が入る場所がなく手こずる人はいるだろう。また厚さは2スロットでも横に広い形状をしているためブラケット横に全く余裕がないケースだと使えない恐れもある。ただその二点を考えたとしてもこのZOTAC GeForce RTX3070 Twin Edgeは非常に優れたグラフィックスカードである。RTX3070で迷ったらこれを選べば大丈夫と言える一枚だ。ちなみに今回紹介したZOTAC GeForce RTX3070 Twin EdgeはOCされていないモデルだが、ZOTAC GeForce RTX3070 Twin Edge OCというOCエディションも存在する。グラフィックスカードのOCはCPUのOCに比べたら性能差はほとんど出ないのでどちらを選んでもよいと筆者は考える。