提供:株式会社サイズ
以前4ChunksではProArtistのサイドフロー型空冷クーラー「Gratify3」をレビューした。Gratify3は3000円ほどと非常に低価格でありながら高い冷却性能を両立した非常にコストパフォーマンスに優れるCPUクーラーだった。今回はProArtistの上位モデル「DESSERTS3」をレビューする。RGBLEDを搭載した比較的珍しい空冷クーラーできちんと冷却性能があればデザインを重視してPCを組む際にも良い選択肢となるだろう。
スペック
サイズ | 120(W) x 153(H) x 48(D) mm |
ファンサイズ | 120 x 120 x 25mm |
ファン回転数 | 800~1550rpm ±10% |
ノイズ・風量 | 27dBA |
風量・静圧 | 80 CFM ±5%・2.15mmH2O ±5% |
フィン数 | 51枚 |
ヒートパイプ | φ6mm x 5 |
対応ソケット | Intel LGA1151/1150/1155/1156/1200/2066 AMD AM4 |
重量 | 510g |
保証 | 2年間 |
パッケージ
青緑を基調としたパッケージである。RGB Readyと書かれておりRGBLEDに対応した数少ない空冷クーラーであることがわかる。
上面には代理店である株式会社サイズの製品保証について書かれたシールが貼ってある。保証期間は購入日より2年間である。
側面にはDESSERTS3のスペックが詳細に記載されている。Gratify3ではLGA115x(1200も可)、AM4のみの対応だったがDESSERTS3ではLGA2066にも対応している。一方でGratify3同様古いソケットには対応していないので注意が必要である。
反対側面には銅製ヒートパイプであることやヒートシンク形状、ファンのPWMを謳っている。製品保証はメーカー保証としては6年間と謳っているが日本では代理店を挟むため2年間の保証になっている。
開封
それではProArtist DESSERTS3を開封する。
箱を開けるとまずProArtistの品質保証書と説明書が入っている。この説明書は株式会社サイズが中国語の説明書を翻訳したものなのですべて安心して読むことのできる日本語説明となっている。
説明書の下にはアクセサリ類が収められている。
付属品を取り出すとDESSERTS3本体が現れる。発泡素材の緩衝材で梱包されていて輸送時の衝撃にも強そうだ。
付属品紹介
リテンションはIntel用のバックプレートに取り付けられた状態で箱に入れられている。Intelユーザーはこのリテンションを分解して後ろからはめ込めばCPUクーラーを固定することができる。特にマザーボードへの装着で難しい点はなく、ねじも手回しねじであるなどツールレスでCPUクーラーを取り付けられる。AMDユーザーはバックプレートをマザーボード付属のものを使用する。
AMD用のスペーサーやねじ類はこちらを使用する。赤いスペーサーをバックプレートにマザーボードを挟んで取り付けた後、一番下のねじで固定する。真ん中のスタンドオフはLGA2066ソケット用のものである。
DESSERTS3にもロースピードケーブルが付属している。またGratify3では付属CPUグリスがW13であったのに対し、DESSERTS3ではW15にアップグレードされている。
Gratify3同様白手袋が付属している。筆者もPCを組み立てる際に手をケガすることが多いので安全のために使用するとよいだろう。
2個目のファンクリップもGratify3同様に付属している。簡単にデュアルファン構成にすることができるのもProArtist製品の強みだ。
ヒートシンク、ファンをチェック
それではDESSERTS3本体を詳しく見ていく。
付属しているファンはGratify3同様のMAGISTERIAL12が採用されている。こちらもコストパフォーマンスに優れる優秀なファンだ。
ヒートシンクの奥行きは48mm、ファンの固定方法はクリップ式である。このクリップは固く、取り付ける際には少しコツがいる。ただ一度付けたら簡単には外れないのでPCを運ぶ際にはずみで取れてしまうという恐れはない。取り付けはブリッジタイプを採用しているので密着性は高い。
ヒートシンクのフィンはナロータイプを採用している。素材はアルミニウムでフィン数は48枚である。
ヒートシンク上面にはRGB LEDが内蔵されている。RGB LEDは12V RGBを採用しているのでマザーボード上の4pin RGBコネクタに刺すことでことができる。
受熱部は40mm x 40mmでGratify3よりも大きい。これはおそらくLGA2066に対応させたことも理由の一つだろう。より大きなCPUにも対応し、TDPも公称値で210Wに増えている。
ヒートパイプは6mm径のものが5本となっている。Gratify3の4本構成から1本増えて熱移動効率も上がっているのだろう。ベースプレート、ヒートパイプともに銅製でニッケルメッキが施されている。
取り付け、ライティング
それでは今回の検証機にProArtist DESSERTS3を取り付ける。
今回の検証構成はこちらだ。
今回の検証でも以前紹介したAMD Ryzen9 5950Xを使用し、非常に高発熱のCPUで検証する。
組み付け工程はProArtist Gratify3と同じである。AMDプラットフォームではマザーボード付属のバックプレートを使用するのでリテンションキットからIntel用バックプレートを外しマザーボードに取り付ける。
ファンをいったん取り外しヒートシンクを取り付ける。クリップが固いので注意が必要だ。
ライティング
マザーボード上の4pin RGBヘッダーに刺すことで各社マザーボードメーカーのRGB制御が使用できる。今回はASUSのROG Strix X570-F Gamingを使用したのでAURA Syncでの制御となっている。
温度検証
16コア32スレッドの高発熱CPUであるAMD Ryzen 9 5950Xを使用してOCCT7.2.3 CPU:OCCTテストを30分間動作させ温度推移を見ていく。
まずはDESSERTS3にファン1個の構成で温度を測定した。負荷をかけていない状態では45℃前後を推移している。OCCTを動作させるとCPUの温度は一気に上昇し、70℃を超えだした。最大温度は73度でRyzen 9 5950Xを十分に冷やすことができている。動作クロックも約4.4GHzで安定している。
次にMAGISTERIAL12をもう一つ追加してDESSERTS3をデュアルファン構成にして温度を測定する。結果としては全体的に温度が平均3℃ほど低くなった。最大温度も70℃とより冷却性能が上がっている。
シングルファン構成とデュアルファン構成の温度推移を重ねた。温度上昇のグラフ形状は同じでありながらも傾斜が緩やかであることがわかる。また30分のテスト終了後の温度低下はデュアルファンである方がより温度低下幅が大きいのが見て取れる。
総評
ProArtist DESSERTS3はRGB LEDが搭載されている数少ないまともな空冷CPUクーラーである。光らせるために性能を犠牲にしているものも少ない中、Ryzen 9 5950Xをここまで冷やすことができていれば魅せる空冷クーラーとしての性能は十分だろう。同価格帯のRGB空冷クーラーとしてDeepcoolのAS500もあるがこのDESSERTS3はCPUクーラーの高さが158mmと低く、多くのケースに対応できるというところもポイントだ。
一方で同じProArtistのGratify3に比べるとCPU温度こそは低いもののコストパフォーマンスの良さは圧倒的にGratify3に軍配が上がる。Gratify3 + MAGISTERIAL12とDESSERTS3を比べても冷却性能は2ファンとなるGratify3に軍配が上がってしまう。DESSERTS3も6000円ほどと決して高くはなく安い部類なのだがGratify3のコストパフォーマンスの良さの陰に隠れてしまう。
RGB LED搭載の空冷クーラーというところに大きな価値を感じられるのであればDESSERTS3、安くガッツリ冷却したいというのであればGratify3を選ぶと良いだろう。
Gratify3のレビューはこちら