製品提供:Deepcool
今回はツインタワー構造のサイドフロー型CPUクーラー「AK620」をレビューする。6mm径ヒートパイプ6本で構成されたヒートシンクを備え、120mm径の冷却ファンを2基搭載している。TDP260Wに対応しており同社の「Assassin III」に次ぐ性能を持つクーラーだ。 高密度のマトリクスフィンアレイを備え最大騒音は27.6dBAと冷却だけでなく静音性にも力が入った製品だ。今回はAMDのメインストリーム向けハイエンドCPU「Ryzen 9 5950X」を使用して検証する。
スペック
製品寸法 | 129×138×160 mm |
ヒートシンク寸法 | 127×110×157 mm |
重量 | 1456 g |
ヒートパイプ | Ø6 mm×6 pcs |
ファン寸法 | 120×120×25 mm |
ファン回転速度 | 500~1850 RPM±10% |
ファンエアフロー | 68.99 CFM |
ファン空気圧 | 2.19 mmAq |
ファンノイズ | ≤28 dB(A) |
ファンコネクタ | 4-pin PWM |
ベアリングタイプ | Fluid Dynamic Bearing |
ファン定格電圧 | 12 VDC |
ファン定格電流 | 0.12 A |
ファン消費電力 | 1.44 W |
開封・付属品
パッケージは「AS500 PLUS WH」と同様にシンプルで上品なデザインだ。モデルによっては今後の製品も今までのような緑基調のデザインになるのか、シンプルな形に落ち着くのかはわからないが筆者は新パッケージの方が好印象だ。裏面はやや見づらいがスペックが記載されている。
箱を開けると製品と茶箱が確認できる。この茶箱の中に付属品や取り扱い説明書などがすべて収められている。内箱はないが白色のスポンジ製スペーサーでしっかりと保護されており、コストカットしつつもうまく収められている。
Intel CPU用バックプレート、Intelのリテンションキット、AMDのリテンションキット、スペーサー・ねじ、PWM分岐ケーブル、説明書、CPUグリス、ドライバーが同梱されている。
外観
同じツインタワー構造で同社の「Assassin III」も黒基調のスタイリッシュなデザインだったが、「AK620」の方がよりシンプルで万人受けするデザインに仕上がっているように感じた。ニッケルめっきを施したヒートシンクの放熱フィンは見た目が美しいだけでなく、汚れや錆に強いため長期にわたって利用する場合も安心だ。高さは160mmと少し注意が必要なものの幅が129mmと扱いやすいサイズ感も魅力的だ。前後左右で対称な形状だがトップのカバーにあるDeepcoolのロゴを見ながら設置すれば正しい向きにすることができる。高密度のマトリクスフィンアレイは見た目にもインパクトがあるが高い効率性を発揮するという。また、少し細かい点だが私が所有している「Assassin III」よりもフィンの後処理が丁寧に感じた。
ニッケルめっきを施し、接触面積を増やすため鏡面化されたベースプレート。2つの受熱ベースプレートが6mm径ヒートパイプ6本を挟む形だ。ベースプレートは40mm四方と42mm四方の「AS500 PLUS WH」より小さいがヒートパイプは一本多い。
流体軸受を採用した「FK120」が2台用意されている。回転数は500-1850 RPMで風量68.99 CFM・静圧2.19mmAq、最大ノイズが28dBAと標準装備のファンながら優秀なものが付いてくる。別途でファンを用意しなくても性能が発揮できそうだ。「Assassin III」ではブレードに特徴がある「TF 140S」が採用されているため「TF 120S」でも違和感はなかったが、こちらのファンは専用に設計されている分期待値がは高い。
140mmファンを搭載する「Assassin III」と比較するとコンパクトに見えるが、高さは160mmとそれなりに高い事に加えてツインタワー構造であるため小さい印象はなかった。しかし、「Assassin III」に比べて干渉しづらいのは大きなメリットである。
検証
実際に装着すると上記のようになる。先述の通り「Assassin III」よりコンパクトだが小さい印象は感じなかった。ヒートシンクのあるメモリ「PVS416G413C9K(高さ44mm)」で高さがぎりぎりだったため、少なくともこれより高さのあるメモリを使用する場合は調整が必要だ。ちなみに公式の情報では43mmまでとなっているため微調整が必要だった。初めから43mm以下の高さのメモリを用意すればオフセットは必要ない。CPUクーラーとグラフィックスカードの間には多少余裕があるため、「Assassin III」を始めとする大型空冷クーラーよりは取り外しが容易である。
OCCT7.2.3:OCCTテストでCPU温度推移を見る
アイドル時は42℃~45℃程度で負荷テストを開始すると温度が上昇し、時々70℃を超えることもあったが62℃~67℃の値で推移している。温度がスパイクし最大で75℃まで上昇する場面もあるが、16コア32スレッドのハイエンドCPUでも十分冷やすことができる。動作クロックは約4.4GHzで安定している。
総評
Deepcoolは、「Assassin III」という高性能な空冷クーラーを出しながらもコンパクトなサイズへのアプローチは少なかった。また、既存の120mmファンを搭載したクーラーは低価格モデルだけでハイエンドCPUを冷やせるような高性能な物はなかった。「AK620」は「Assassin III」だと大きすぎてケースに入らない、デザインがゴツ過ぎる、装着後取り回しにくいなど大型クーラーが抱える課題をうまく乗り越えたバランスのとれた製品に感じた。価格は「Assassin III」とほぼ変わらない為性能重視で行くと選択の方がコスパが優れているように見える。しかし、筆者個人として「AK620」はデザインが洗練されリテンション等の細かい調整がされている点など、後発品としてのメリットも大いにあると感じた。
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