製品提供:アバーメディア・テクノロジーズ株式会社

 YouTubeやTwitch等の配信を行う際、配信者(ストリーマー)は様々なことに気を配る必要がある。配信画質や音質、配信映像の切り替えや視聴者からのコメントなど、挙げればきりがないほどだ。様々な機材を用意するとそれだけ導入費用がかかったりシステムが複雑になってしまう。
 今回紹介するAVerMediaのLive Streamer NEXUS(AX310)はオーディオインターフェース・ミキサー・タッチパネル付きスイッチャーを一つにまとめたコントロールセンターである。非常に多機能で高性能なLive Streamer NEXUSだが、実際どのようなことができるのか、細かく見ていく。

仕様

接続方式USB 2.0(Type-B)
対応OSWindows 11 / Windows 10(バージョン20H2 64bit)
macOS 10.15 以上
制御ソフトウェアAVerMedia Creator Central
対応ソフトウェアOBS Studio(PC / Mac版)
Streamlabs OBS(PC / Mac版)
RECentral(PC版)
Spotify(PC / Mac版)
タッチパネル5インチIPS 静電容量方式
ボタン数4個
音量調整ツマミ6個(外部入力 x 3、PC x 3)
RGBLED搭載(Creator Centralで制御可能)
入力チャンネルMIC端子(XLR / 6.3mm) x 1
LINE IN端子(3.5mm 3極ステレオ) x 1
CONSOLE IN端子(光デジタル) x 1
PC音声入力チャンネル最大3チャンネル
出力チャンネルPHONES端子(3.5mm 3極TRSステレオ) x 1
LINE OUT端子(3.5mm 3極TRSステレオ) x 1
ファンタム電源対応
マイクエフェクトノイズゲート、コンプレッサー、イコライザー、エコー、リバーブなど
サンプリングレート最大96kHz / 24ビット
周波数特性10Hz to 20kHz
ダイナミックレンジ114dB
S/N比105dB
消費電力7W未満

パッケージ

 パッケージは日本語表記がされており簡単な製品の説明も背面に用意されている。配色はAVerMediaの企業イメージにあった赤と黒でデザインされている。

 付属品は説明書としてクイックガイド、電源アダプター、USB 2.0 Type-B to Type-A ケーブル、3.5mmステレオオーディオケーブル、3.5mm to 6.3mmオーディオ変換アダプターと充実している。

製品外観をチェック

 本体外寸は217mm x 145mm x 61mmでオーディオインターフェースとしては比較的大きめなボディだ。オーディオインターフェースというよりもスイッチャーやコントロールセンターと認識した方が良いだろう。
 音声入力は外部入力3系統、PCからの音声が3系統入力可能だ。それぞれ個別にロータリースイッチが用意されておりボリュームの調整が可能となっている。
 タッチパエルは5インチでスマートフォンほどの大きさがある。液晶パネルにはIPSパネルを採用しており視野角も広く非常に見やすい。入力方式は静電容量式なので操作感も非常に良い。
 液晶パネル右側には物理スイッチが4つ用意されており、ユーザーが独自に機能を割り当てて使用することが可能だ。

 背面のオーディオインターフェース部の端子は左からPHONES(3.5mm)、LINE OUT(3.5mm)、MIC(XLR/6.3mm)、LINE IN(3.5mm)、CONSOLE(光デジタル)、USB(Type-B)、DC IN(電源)となっている。

 付属のスタンドを使用することでLive Streamer NEXUSの高さ、角度を調節することも可能だ。本体とスタンドはマグネットで取り付けることができ、ぐらついたり不安定になったりすることはない。

 左側がスタンドなし、右側がスタンドを使用した状態だ。スタンドを使用すると高さが94mmになりデスクの奥に置いたとしても操作がしやすくなる。また液晶パネルも角度がついて見やすくなるので筆者個人としてはスタンドを使用することをおすすめする。

付属ソフトウェア Creator Central

 Live Streamer NEXUSを使用するためにはAVerMediaの公式サイトから対応ソフトのCreator Centralをダウンロードする必要がある。Creator CentralはLive Streamer NEXUSの設定を行うほか、ドライバーとしての機能、Live Streamer NEXUSのファームウェアアップデートすることが可能だ。Live Streamer NEXUSを使用する場合には絶対に必要になるソフトウェアだ。

 ちなみにLive Streamer NEXUSのタッチパネルのスリープやRGB LEDライティングを変更もCreator Centralで行う。

 Creator Centralは左側に機能のリスト、右側が本体の操作パネル部分と同内容のコントロール部となっている。左の機能一覧からタッチパネル部や物理ボタンにドラッグ&ドロップして機能を割り当てることができる。機能一覧にはRECentralやOBS(OBS Studioを使用する場合はAVerMedia OBS-Websocketのインストールが必要)、YouTubeのコメント表示など様々なものが用意されている。

 オーディオミキサーやマイクのエフェクト(ノイズゲート、コンプレッサー、イコライザー、エコー、リバーブ)の設定も細かく行うことが可能だ。ミックスやエフェクトの調整は視覚的に行うことができ、オーディオ機器に精通した人でなくてもある程度は自分の求める音を作ることができる。一方で設定できる項目は多岐にわたるため、上級者でも設定をつきつめて妥協のない音声を作り上げることもできるだろう。
 Live Streamer NEXUSに使用するマイクはAVerMediaが出しているLive Streamer Mic AM330の使用が最も相性が良いと思われるが、マイクの種類のプルダウンを選択するとXLRダイナミック、XLRコンデンサ(+48V)、6.3mmのマイク設定を切り替えられるため、様々なマイク入力に対応している。XLRコンデンサ(+48V)を選択するとファンタム電源がONになる。

 初心者にとっては何をやっている画面かわからないかもしれないが、実際に取り込んだ音声をどのようにミックスし、出力するか、LiverStreamer NEXUSから自分のイヤホンに流す音はどの音が出てくるのかを視覚的に確認することができる。

 ウィジットを追加することでLive Streamer NEXUSの機能を拡張することもできる。まだ追加のウィジットは3件しか存在しないが先日Voicemodの拡張が入ったことでまだまだ拡張機能も充実することが期待できるだろう。

使用感をレビュー

 それではCreator Centralで設定をしながら実際にLive Streamer NEXUSを使用する。

 今回使用するマイクには同じくAVerMediaから発売されているLIVE STREAMER MIC 330 AM330を使用する。

 電源を入れると待機中はAVerMediaのロゴが画面に表示される。

 PCが起動し、CreatorCentralがLive Streamer NEXUSを認識するとライティング、液晶が表示される。それぞれの入力レベルが表示、出力音量の調節がデフォルトで表示されている。

 液晶に表示されている画面はスワイプすることで別ページに移動することができ、最大5ページ分の機能を割り当てることができる。

 ロータリースイッチには入力レベルがわかるLED(色は変更可能)が搭載されている。スイッチのノッチ感は強く、押し込むとミュートされるのでイレギュラーが発生し、マイクミュートしたい際も迅速に対応できるだろう。

 Live Streamer NEXUS外周はRGB LEDが設けられておりライティングもきれいだ。一般的にオーディオ機器はRGB LEDのライティング変化によって音声にノイズが乗りやすいが、Live Streamer NEXUSはRGB LED、液晶パネルからのノイズの影響を受けないようにシールドが施されているとのことだ。

総評

 AVerMedia Live Streamer NEXUSは今までのオーディオインターフェースの認識を大きく変えるアイテムだ。オーディオインターフェースの機能の他、ミキサー、コントロールセンターが一体になったデバイスはコンシューマー向けだとLive Streamer NEXUS以外にはないだろう。その分すべての機能を使いこなすことは非常に難しいが、ある程度使えるようになれば配信・ゲーム環境をより快適なものにすることもできる。懸念点を挙げるとしたら約3.5万円と一般的なオーディオインターフェースと比較すると価格が高いこと、配信ソフトはOBS Studio、Streamlabs OBS、RECentralの3種類対応でXSplitには現状対応していないこと、拡張プラグインが少ないことが挙げられるだろう。価格に関してはオーディオインターフェースとスイッチャー(コントロールセンター)を買うのと同じくらいの金額でLive Streamer NEXUSを導入することができるのでスイッチャー機能が欲しい人は躊躇するかもしれないが別々に買うよりも満足することができるだろう。Xsplitに対応していないことは今後のアップデートに期待したい。また、拡張機能が少ないことは先日Voicemodのプラグインが追加されたので今後多くのソフトに対応するようになるだろう。AVerMediaはCreatorCentralのSDKも公開しているので開発知識がある人はSDKを使用して独自の機能を追加することも可能となっている。
 Live Streamer NEXUSは配信を始めたいけど何を買えば良いかわからない人から細かいところまで突き詰めて環境を作りたい人どちらにもお勧めできる製品だ。国内でのサポート体制も手厚いのでキャプチャーカード、マイクと併せての購入がお勧めできる。