【注意】本記事は2019年5月のものです。現在はより新しい世代のCPU・マザーボードが発売されており、それに伴い本記事で紹介する製品は生産終了となっている場合があります。
皆さんはマザーボードを選ぶとき、どのようなポイントに注目しているだろうか。USBやSATA、M.2などの拡張性や耐久性、電源回路。ライティング機能を気にする人だっているだろう。
デザインや拡張性をみて自分が納得するものを選ぶのが一番なのだが、種類が多すぎてどれを選べばよいのかわからないという人も大勢いるだろう。そんな自作erたちのために、今回はIntel・AMD 2つのプラットフォームにおけるおすすめマザーボードを紹介していく。
マザーボード選びのポイント
まず、マザーボードを選ぶうえで見るべきいくつかのポイントをおさえておこう。デザインだけで選ぶのもいいのだが、拡張性や実装コンポーネントはしっかり見ておかないと後々後悔することになるかもしれない。
- 耐久性や安定動作にかかわる部分
・電源回路の設計
・ヒートシンク等の冷却機構
・PCI-Expressスロットやメモリスロットの金属製アーマー - 実装コンポーネントや拡張性
・フォームファクタ(E-ATX、ATX、MicroATX、Mini-ITX等)
・チップセット
・LANやWi-Fiの規格
・USB、M.2、SATA等のポート類
・メモリスロットの本数
・RGB LEDやその他ピンヘッダ
・オンボードオーディオやその関連(使用する場合)
・オンボード映像出力端子(使用する場合)
このあたりをしっかりとみておくと、自分に合ったボードを選ぶことができるだろう。
最近はメーカーを決めてから選ぶ人が増えたが、筆者は個人的にそれはあまりおすすめしない。どこのメーカーも素晴らしいボードをたくさん出しているので、様々なメーカーのボードを見て決めるのが良いだろう。
もちろんメーカーごとに若干特徴があるため、偏見にならない程度にそれも紹介していく。
ASUS
世界シェアNo.1、国内でもシェアNo.1の大手メーカー。タブレットやスマホ、ノートパソコンなどなんでもつくっている印象。
「ROG (アール・オー・ジー)」のゲーミングブランドをはじめ、高耐久向けの「TUF GAMING」や一般向けの「PRIME」、NASやワークステーション向けの「WS」シリーズなどを展開している。
RGB LEDの同時ライティング機能は「Aura Sync」。
上位モデルでは、マザボの大部分を覆う大きなヒートシンクが特徴的な製品もある。
バランスのとれた製品が多く、直感的で初心者にもわかりやすいグラフィカルなUEFI「ASUS EZ Mode」を搭載している。また、付属のQ CONNECTORが優秀。
また、業界最長のグローバル3年保証のため安心だが、LGAソケット製品のピン折れ保証がないため、初めての方は店頭で保証を付けてもらうなどをした方が良いだろう。
GIGABYTE
PC関連の製品を幅広くつくっている。
ゲーミングブランド 「AORUS (オーラス)」シリーズをはじめ、一般向けの「UD (Ultra Durable)」、クリエイター向け「DESIGNARE (デザイナー)」などを展開している。
RGB LEDの同時ライティング機能は「RGB Fusion」。
性能面では、電源回路が優秀なほか、上位モデルはオンボードオーディオにかなりの力が入っている。
フロントパネルコネクタ配線を楽にする付属品「G CONNECTOR」が非常に便利なので、初心者にもおすすめ。
国内代理店2年保証があり、LGAソケット製品はピン折れ保証が6ヶ月もついている。
MSI
主にAMD Ryzen向けのAM4プラットフォームで人気のメーカー。ゲーミングノートPCやグラフィックボードで有名。
ハイエンド向け「MEG」、ゲーマー向け「MPG」、一般・ゲーマー向け「MAG」、一般向け「PRO」などのシリーズを展開。
RGB LEDの同時ライティング機能は 「Mystic Light Sync」。
海外ではAMD Ryzen向けのAM4プラットフォームにおいて、2017年の第一世代Ryzen発売当初、その不具合の少なさから鉄板扱いされた「TOMAHAWK」などの製品が今でも人気だ。
バランスのとれた製品が多く、低価格なマザーボードの電源回路が良い。
保証は国内代理店1年保証と短めだが、LGAソケット製品のピン折れ保証は3ヶ月と十分だ。
ASRock
ゲーミングブランド「Phantom Gaming (ファントムゲーミング)」をはじめ、日本発の高耐久ブランド「Steel Legend (スティールレジェンド)」、ハイエンド向けの「Taichi」、低価格向けの「Pro4」などを展開している。
RGB LEDの同時ライティング機能は 「Polychrome Sync」。
他社の10Kコンデンサよりも(理論上)1.2倍長寿命な「ニチコン 12K Black Caps」等、耐久性重視の構成が目立つ。
国内代理店2年保証とピン折れ3ヶ月保証。
各社の特徴をなんとなくおさえたところで、4Chunks投稿者陣おすすめのマザーボードを紹介していこう。
おすすめボード ~LGA1151~
VRMが冷える!ハイエンドゲーミングマザーボード
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER
GIGABYTEのゲーミングブランド「AORUS」シリーズのハイエンド製品、「Z390 AORUS MASTER」は、金属削り出し風のヒートシンクと高品質オーディオ、そして裏面の大型放熱プレートが特徴の、3万円台のゲーミングマザーボードだ。
Fins-Arrayヒートシンクや裏面全体を覆う放熱用ベースプレートなどにより、電源回路やマザーボード全体を効率よく冷却することができる。
また、オーディオ部分にはRealtek ALC1220-VBコーデックに加え、ESS SABRE reference DAC (ESS 9118)、 WIMAオーディオコンデンサ採用、Precision Audio Stream (TXC OSCILLATOR)搭載等、ハイエンドボードならではのこだわりが伺える。
USB-DACに関しても、安定して電源供給できノイズが少ないポートがしっかりと用意されているので、オーディオ再生機としても優秀だ。
https://kakaku.com/item/K0001095691/
〇 豊富なUSBポート(Type-A 9ポート+Type-C 1ポート)
〇 VRMが良く冷えるためCore i9 9900Kも安心して運用できる
〇 全てのM.2にヒートシンクが付属
〇 12+2フェーズのしっかりとした電源回路設計
〇 オンボードオーディオの品質が高いためゲームにも最適
〇 1734Mbps対応高速無線LANカード搭載(&Bluetooth 5)
✕ 3万円台と比較的高価である
☆ Z390 ハイエンドで迷ったらこれで決まり!
バランスがとれたゲーミングマザーボード
ASUS ROG STRIX Z390-F GAMING
ASUSのミドルレンジ「ROG STRIX」のスタンダードモデル、「ROG STRIX Z390-F GAMING」は、2万円台前半で購入できる、バランスの良いゲーミングマザーボードだ。
国内では非常に人気の高いマザーボードで、さすがにハイエンド並みとまではいかないが、1フェーズあたりの性能を高めた8+2フェーズのVRM、一体型のIOパネル、M.2ヒートシンクなど、ポイントは十分おさえられている。
オンボードオーディオに関しても、ハイエンド同様「ASUS SupremeFX Audio」をうたっており、しっかりとしたつくりになっている。
https://kakaku.com/item/K0001095676/
〇 ポイントをおさえたバランスの良いボード
〇 初心者にもわかりやすいUEFI
〇 互換性の高いAura Sync対応
✕ オーバークロックにはあまり向かない
✕ 突出した長所がない
☆ Z390チップセット搭載マザーボードで迷ったらコレ!
低価格ながらツボをおさえたマザーボード
GIGABYTE Z390 UD
実売13000円をきることもあるZ390チップセット搭載マザーボードのローエンドモデル。その中でも、Core i9 9900Kを安定してオーバークロックでき、かつツボをおさえたマザーボードがこの「Z390 UD」だ。
VRMにはこの価格帯では珍しい、しっかりとしたヒートシンクが備わっている。また、一番上のPCI-Express x16スロットは金属シールドでおおわれており、スロットの破損を防いでくれる。
安心して使うためのポイントをおさえつつ、コストカットするところはして価格を抑えた製品だ。
https://kakaku.com/item/K0001095687/
〇 VRMにしっかりしたヒートシンクがついている
〇 一番上のPCI-Express x16はシールド付き
〇 何気にRGB Fusion対応のLEDが左下に
✕ 映像出力端子はHDMI 1ポートのみ、M.2も1つ
✕ オーディオは廉価モデルのALC887
☆ 低価格ゲーミングPCにもおすすめ!
小型でパワフルなPCを組みたい人向け!
ASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/ac
小型のITXだが堅牢な電源回路設計で高い人気を集めているASRockのMini-ITXマザーボード、「Z390 Phantom Gaming-ITX/ac」。
60AチョークコイルやデュアルスタックMOSFET、12K Black Caps等のハイエンド装備はもちろん、M.2ヒートシンクからVRMヒートシンクに繋がったヒートパイプ等、冷却面もバッチリ。小さいながら8コア16スレッドが安定して動作する、堅牢なマザーボードだ。また、40Gbpsの高速インターフェース「Thunderbolt 3」も搭載しているのもポイントだ。
https://kakaku.com/item/K0001095671/
〇 ハイエンドコンポーネント採用で高耐久・高性能
〇 ヒートパイプ付きのヒートシンクで高い冷却性能を実現
〇 Thunderbolt 3搭載
✕ RGB LEDが価格にしては非常に貧相
✕ USB2.0がない。ITXのため拡張性に乏しい。
☆ Z390で小型PCを作りたいならこれを選べば間違いなし!
(番外編) 低価格で組みたい人向け!
MSI B360M GAMING PLUS
BIOSアップデートが必要な場合あり
「1万円超えのマザーボードは高くてちょっと…」
そんなあなたにおすすめのマザーボードがこの「B360M GAMING PLUS」。
なんと、7000円台で購入できてしまうB360マザーボードなのだ(2019年5月下旬現在)
PCI-Express x16スロットには金属シールドがついていたりと、Core i5やCore i3のF付きや無印モデルで組む人にぴったりのB360マザーボードなのだが、難点は「第九世代を使うのにBIOSアップデートが必要」だということ。ただ、最近の在庫であれば多くの場合アップデートされているため、コストパフォーマンス重視なら選んでもいいかもしれない(Amazonなら返品でき…おっとなんでもない)。
https://kakaku.com/item/K0001044925/
〇 非常に低価格だが機能豊富なB360チップセット
〇 PCI-Express x16に金属シールド付き
✕ メモリスロットが2本
✕ M.2が1スロットと少ない
✕ BIOSアップデートが必要な場合がある
☆ 店頭ならBIOSアップデートされているかも分かる…!
おすすめマザボ ~AM4~
バランスの良いX470マザーボード
ASUS PRIME X470-PRO
ASUSのスタンダードなマザーボード「PRIME」シリーズのX470マザーボード、「PRIME X470-PRO」は、黒基調に白いヒートシンクがついたスタイリッシュなマザーボードだ。
6フェーズのVCore向けVRMを備えており、電力供給はしっかりしている。
M.2ヒートシンク搭載でオーディオコーデックもRealtek ALC1220と、ミドルレンジボードにしては充実している。
また、ヒートシンクやI/OカバーについているLEDは個々のLEDを別々制御できるアドレサブル対応で、綺麗に光る。見た目も美しいが実用性もしっかり備えたマザーボードだ。
https://kakaku.com/item/K0001047818/
〇 洗練されたデザイン
〇 平均的で扱いやすいマザーボード
〇 高性能なオーディオまわり
✕ コア数が多いCPUを使用した時のVRMの発熱が少し大きめ
✕ 突出した長所がない
☆ X470でバランス重視ならコレがおすすめ!
高耐久で見た目も良好。
ASRock B450 Steel Legend
ASRockの高耐久シリーズ「Steel Legend」第一弾の「B450 Steel Legend」。このマザーボードはハイエンドレベルの高品質コンポーネントで固められている、耐久性に特化したマザーボードだ。
また、ノイズの低減や安定性向上を目的とした「ULTRA USB POWER」を搭載している(※MicroATXモデルには同機能が搭載されていないので注意)。
そしてアドレサブル対応のRGB LEDや迷彩柄のプリント等、見た目も良い。少し余裕のある人には非常におすすめのマザーボードだ。
Intelプラットフォームで使いたい場合は「Z390 Steel Legend」をぜひ。
https://kakaku.com/item/K0001129963/
〇 ULTRA USB POWER搭載
〇 PCI-Express x16スロットはシールド付き
〇 M.2ヒートシンクを搭載している
〇 ハイエンドレベルのコンデンサ使用
✕ B450のなかでは比較的高価
✕ オンボードオーディオが弱い
☆ 長期運用、サーバーなどにもおすすめ!
APUで4K再生をする人はこれ!
GIGABYTE B450 AORUS M
GIGABYTEのゲーミングブランド「AORUS」のMicroATX B450マザーボード「B450 AORUS M」だが、オンボードのHDMIがなんとHDMI2.0とHDCP2.2に対応している。
Ryzen APUでHDMI出力4K映像を楽しみたい場合はこのマザーボードを選ばない手はない(なおB450 AORUSシリーズは全て対応しているため、MicroATXが嫌な方はB450 AORUSの他製品をあってみると良い)。
また、B450のMicroATXでは珍しいM.2ヒートシンク付きで、NVMe PCIe SSDを装着した際の熱対策もバッチリだ。必要なものが全部そろった理想のB450 MicroATXマザーボードだ。
https://kakaku.com/item/K0001076765/
〇 8つのUSB Type-Aポートで拡張性抜群
〇 AORUS M.2 Thermal Guard搭載
〇 HDMI2.0とHDCP2.2に対応、APUで4Kを最大限楽しめる
✕ オンボードオーディオがあまり高性能ではない
✕ PCI-Express x16スロットに金属シールドがない
☆ 4K再生目的じゃなくてもおすすめの一枚。
耐久性重視で安い!さらに4K 60Hz対応。
ASUS TUF B450M-PLUS GAMING
ASUSの高耐久シリーズ「TUF GAMING」の下位モデル「TUF B450M-PLUS GAMING」は、先に続きHDMI2.0b対応の高耐久なMicroATXマザーボードだ。
PCI-Express x16のアーマーやニチコン 10Kコンデンサなど「TUF」を名乗るに相応しい装備をしつつ、8000円台という非常に低価格で販売されている(2019年5月下旬現在)。
高耐久なRyzen搭載PCを低価格で組みたい方におすすめだ。
https://kakaku.com/item/K0001076761/
〇 高品質な「TUFコンポーネント」を採用
〇 PCI-Express x16スロットに金属シールドあり
〇 HDMI2.0b対応だからAPUで4K 60Hz出力対応
〇 コンポーネントのわりに非常に低価格
✕ オンボードオーディオがあまり高品質ではない
☆ セールで8000円を割ることも…!?
APUから最上位まで対応、コスパ最強マザーボード
ASRock B450M Pro4
「B450M Pro4」は、ASRockのエントリー向けのB450マザーボードだ。フォームファクタはMicroATXで、実売は7500円~8500円(2019年5月下旬現在)。
エントリー向けだがそこそこ高い拡張性を持ち、高い人気を博している。
HDMI1.4のためAPUで4K再生をする場合は選んではいけないが、そうでない場合は迷ったときはこれを選んでおけばまず間違いない。万人におすすめできる、コストパフォーマンスの高い入門用マザーボードだ。
https://kakaku.com/item/K0001076791/
〇 M.2スロットが2つもある
〇 USB Type-Cポートがついている
✕ PCI-Express x16スロットに金属シールドがない
✕ オンボードオーディオがかなり削られている
☆ 迷ったらコレ、と言える一枚!
まとめ
どこのメーカーも高品質なものを作っているため、耐久性が気になる場合もデザインやその他の機能で選んでよい時代になっている。ASRockは4社の中でも特に耐久性に注力しているが、他のメーカーも一般的なオーバークロック常用レベルであれば全く変わらない程度の耐久性があるため、耐久性に関する心配は無用だ。
それを踏まえたうえで筆者の個人的な意見だが、初心者向けのメーカーはASUSとGIGABYTEだと感じる。UEFIや付属品、その他諸々が初心者向けで、組む時や組んだ後が楽なのだ。その上保証が長いほか、VRMの冷却に関しても優秀なため扱いやすい。初めて組む時はこのあたりのメーカーを検討してみてもいいかもしれない。
また、長期間つけっぱなしにしたい場合はASRockのSteel Legendシリーズがおすすめだ。ハイエンドコンポーネント採用でポイントをおさえてある。
今回は数の関係上書くことはできなかったが、AMD Ryzenで組む時に海外で人気なのがMSIだ。特にB450 TOMAHAWKとB450 GAMING PLUSはバランスが良く人気なので、このあたりも検討してみてもいいだろう。
結局、好きなものを使うのが一番なのだが、今回はそんな中でも特におすすめなマザーボードをいくつか紹介してみた。是非、自作PCをするときの参考にしてほしい。