製品提供:株式会社Scythe

Scythe(サイズ)は国内で有名なCPUクーラーのメーカーだ。ベストセラーの「虎徹」シリーズをはじめ、安価なものからハイエンドクーラーまで幅広く製品を展開している。
その中で、「白虎 弐」は小型で安価ながら静音性・冷却性能に優れるとして人気の製品だ。以前はIntel LGA115x向けの「SCBYK-2000I」のみが製造されていたが、昨今のAMD Ryzen人気もあり、2019年11月にAMD Socket AM4専用版である「SCBYK-2000A」が発売された。

だが、AMD Ryzenには(一部モデルを除けば)比較的優秀なCPUクーラーが標準で付属している。ハイエンドならともかく、安価なCPUクーラーを3,000円も出して購入する価値があるのか?と思う方も多いだろう。
そこで今回はこの「白虎 弐 AMD専用版 SCBYK-2000A」をレビューしつつ、各AMD純正クーラーとの比較検証を行う。

仕様概略 (公式サイトより)

型番SCBYK-2000A
JAN4571225057644
サイズ111.5(W) × 130(H) × 84(D)mm(搭載ファン込み)
ファンサイズ92 × 92 × 厚さ26 mm
ファン回転数 (PWM可変)300 ±200 rpm ~ 2300 rpm ± 10%
ノイズ7.3 ~ 28.83 dBA
風量6.75 ~ 48.878 CFM
対応CPUAMD AM2 / AM2+ / AM3 / AM3+ / FM1 / FM2 / FM2+ / AM4 / ※TR4は非対応
接続PWM 4ピン
重量455 g(搭載ファンおよびクリップ含む)
ヒートパイプ6mm径 × 3本
付属品グリス・図解入りマニュアル
パッケージサイズ・重量148(W) × 140(H) × 123(D) mm ・ 550 g
保証1年間

開封&本体をチェック

「白虎 弐 AMD専用版」を開封していく。

AMD専用を示す印が目立つパッケージ。大きさはCPUクーラーとしては小型なほうだ。

梱包はクーラーの周りをスポンジで囲っただけと非常シンプル。一応衝撃対策にはなっているものの、少々心許ない。

本体のほかにはグリスと説明書が同梱されている。日本メーカーなので当たり前だが、説明書は完全日本語。イラスト入りで分かりやすい。なお、付属グリスの性能検証は今回は行っていない。

ここからは本体を詳しく見ていく。ファンは黒と灰色ベースの落ち着いた外観で、ファンコネクタは黒いスリーブで覆われている。RGB LEDはないが、様々な構成に合わせやすいデザインだと感じた。

取り付けにはAMDのリテンションを用いる。Wraith Prismと似たような固定方法だ。Intel LGA115x向けの「SCBYK-2000I」はプッシュピンタイプだった。

側面は84mm。背の高いヒートシンクを装備したメモリを使用しても干渉することはまずないだろう。

前面の幅は111.5mm(金具含む)、102.0mm(金具除く)。1スロット目がPCIe×16スロットのマザーボードでも基本干渉しない。

白虎 弐のウリの1つである高さは130mm。この高さのおかげで、多くのミニタワーケースやキューブ型ケースに組み込むことができる。上位モデルである虎徹 Mark iiや他社製品が入らないケースでも、この白虎 弐なら収まることがある。

「虎徹」で培った技術を採用しており、ファンの風量を最も効率良く吸い込むエアフロー重視のフィン設計となっている。

3本のヒートパイプがヒートシンクを通っているのがわかる。小型ながらよく冷えそうだ。

搭載されているファンは密閉型FDBを採用した新設計長寿命PWMファン「KAZE FLEX 92mm PWM」。フレーム四隅に防振パッドを貼付することにより、振動吸収性やファンの安定性に優れる。
また、最大回転数は2300rpmに抑えられ、性能と静音性のバランスを重視したものにチューニングされている。

ファンはCPU付属のWraithクーラーと同じ92mm。コネクタは4ピンだ。

冷却性能を検証

比較的優秀なCPUクーラーが付属していると評判のAMD Ryzenシリーズであるが、果たしてその付属クーラーから「白虎 弐」に交換する価値はあるのか。その冷却性能を検証した。

検証にはWraith Stealthを付属する「Ryzen 5 3600」を使用し、OCCT 5.3.2 Linpackで最大負荷を一定時間かけて温度を計測した。CPUグリスには「MX-4」を用いた。

Wraith Prism (静音設定)を除く4つは「GIGABYTE Smart Fan 5」の「Standard」プロファイルを適用して計測。Wraith Prismについては「Silent」プロファイルですら爆音で常用が困難だったため、他のWraithクーラーと同じくらいの音になるよう独自に回転数を設定した「静音設定」での計測も行った。

結果はご覧の通りだ。まず、Ryzen 5 3600に付属する「Wraith Stealth」ではCPU温度が90℃近くまで上昇。通常の使用ではここまでの負荷がかかることは稀なものの、さすがに不安になる。ひとつ上位のRyzen 5 3600Xに付属する「Wraith Spire」でも80℃を超える結果となった。

一方、Ryzen 7 3700X以上に付属する「Wraith Prism」と今回の主役「白虎 弐」はどちらも70℃程度に収まるという良好な結果となった。しかし、「Wraith Prism」に関しては前述の通り爆音だったため静音化したところ、最大で75℃まで上昇した。
「白虎 弐」は最後まで大きなノイズを出すこともなく、余裕をもって冷やしきっていた。

総評

最上位の付属クーラー「Wraith Prism」を超える冷却性能・静音性をもつ「白虎 弐 AMD版」は、3,000円前後で購入可能な安価なクーラーだ。
AMD Ryzenシリーズの付属クーラーはIntel CPUの付属クーラーと比較すると確かにつくりは良いが、それでもモデルによっては冷却性能不足だったり、ファンノイズが大きかったりと不満な部分がある。

この「白虎 弐 AMD版」はそのような欠点は見当たらず、また小型なためミニタワーやミドルタワーケースなら大きさの心配もする必要がないので、付属クーラーからの交換先としてはぴったりだ。特に、Ryzen 5 3600や3600Xを使用するなら購入を強くお勧めする。

Scythe「白虎 弐 AMD版 SCBYK-2000A」のレビューは以上だ。