製品提供:株式会社Scythe

ハイエンドのCPUを選ぶとそれに見合った冷却性能を持つCPUクーラーが必要になるだろう。例えばメインストリームCPUのIntel Core i9 9900K、AMD Ryzen9 3900X、などある程度発熱するものを使用する場合などは、240mm以上の簡易水冷クーラーを選択することも多いだろう。しかし、中の見えないタイプのケースを選択したり、水冷の水漏れが心配な人などあえて空冷を選択するユーザーも少なくない。しかし冷却性能重視の空冷クーラーだと大型になりがちで、背の高いメモリを搭載すると干渉して設置が困難になる。今回はコンパクトさ、高い冷却性能を兼ね備えたScythe「虎徹 Mark Ⅱ」の上位モデル、「MUGEN5 Rev.B」のレビューをする。

スペック

型番SCMG-5100
JAN4571225056357
サイズ130(W) × 154.5(H) × 110(D) mm (付属ファン含む)
120 × 120 × 厚さ27 mm (搭載ファン)
ファン回転数300 (±300) rpm ~ 1200 rpm (±10 %)
ノイズ・風量4.0 ~ 24.9 dBA / 16.6 ~ 51.17 CFM
静圧0.75 ~ 10.3 Pa / 0.0762 ~ 1.05 mmH2O
MTTF120,000 時間
対応CPUIntelソケット775 / 1150 / 1151 / 1155 / 1156 / 1366 / 2011 / 2011(V3)/ 2066
AMDソケットAM2 / AM2+ / AM3 / AM3+ / AM4 / FM1 / FM2 / FM2+
ヒートパイプ6 mm径 × 6本(ニッケルメッキ処理)
重量890 g(付属ファン含む)
付属品高性能グリス・取付用ドライバー・多言語マニュアル(日本語含む)
パッケージサイズ165(W) × 205(H) × 140(D) mm
パッケージ重量 1,350 g

外観・パッケージ

パッケージは黒を基調としたシンプルなデザインだ。箱の大きさもそれほど大きくなくコンパクトにまとめられている。

製品・付属品

見た目は「虎徹 Mark Ⅱ」に比べてヒートパイプの作りや、ヒートシンクの大きさもあり存在感がある。しかし、それでも高さ 154.5 mmと高さも抑えてある。「虎徹 Mark Ⅱ」から乗り換えるのに丁度いい正当な上位モデルと言えるだろう。

奥行き85mmの表面積重視の大型なフィン設計と高さを抑えている分、奥行を広げることでハイエンドCPUでも冷却が可能になっている。

取り付けはスプリングスクリュー仕様であるがメモリの反対側はドライバーを通すための穴の役割も果たしている。ヒートシンクのフィンの枚数は奥行きがある分38枚と少ないがその分風通しが良くなっている。また使用されている0.4mm厚フィンは剛性の確保、熱伝導率の向上に繋がっている。

この小さなサイズながらも6mm径の銅製ヒートパイプを6本採用しているため、ベースプレートギリギリに隙間なく通っている。 フィンやヒートパイプ、ベースプレートはニッケルメッキ処理が施されており酸化を防止する効果があると共に外観に高級感を感じられる。5000円台のCPUクーラーだが安っぽさは感じられない。

CPUファンは「KAZE FLEX」が使用されている。四方に防振ゴムが取り付けられており、共振よるビビリやノイズを抑えることができる。また、軸受けには長寿命(MTTF:25℃ 120,000時間) かつ静粛性に優れた高密度密閉型(Sealed Precision) FDBを採用しており、静音性を保ちつつ長期運用も期待できる。

intel・AMDの両方のソケットに対応しておりリテンションも2種類付属している。またRev.BはAM4に対応しているモデルで互換性も問題がない。ファンクリップは2セット分付属しているためファンを追加することも可能だ。専用のドライバーもありインストール時に別途購入する必要はない。

負荷テスト

今回は以下の構成で負荷テストを行った。

CPUAMD Ryzen 9 3900X
M/BMSI MEG X570 ACE
CPUクーラー MUGEN5 Rev.B
メモリPatriot Viper Steel DDR4 PC4-33000
PVS416G413C9K x4 (32GB)
ビデオカード GALAKURO GAMING GG-RTX2080Ti-E11GB/TP
システム用ストレージ ADATA XPG SX8200 Pro ASX8200PNP-512GT-C
OS Windows 10 Pro
電源ユニット Antec HCG850 EXTREME
BIOS VerE7C35AMS.160

使用しているメモリ、「Patriot Viper Steelシリーズ」のヒートシンクは背が高く大型のクーラーだと干渉の恐れがあるが、メモリの手前でファンが設置できるようファンマウントの位置をやや後方にオフセットされているため、Corsair「DOMINATOR PLATINUM」のような背の高いメモリを使用しても設置することができる。

CPUグリスは新和産業のSMZ-01Rを使用。Prime95 を30分間動作させCPU温度をHWiNFOからデータを計測した。動作環境は気温21.7℃の環境下で行っている。

ベンチマーク中多くは70℃付近を推移しているが、最大温度は83℃とやや高い。ただ、1200RPMのファンを使用している点を考えると十分検討した結果だったように感じた。PBOなどで高クロックを維持したい場合は、高回転のファンを交換したり、付属のクリップを使用してファンを増設すると更なる冷却性能の向上が期待できるだろう。

総評

プラスポイント

  • 154.5mmと低めでケースを選択の幅が広い
  • オフセットされたヒートシンク構造によりメモリの干渉を防いでいる
  • 6mm径の銅製ヒートパイプ6本
  • 酸化を防止する高級感溢れる「ニッケルメッキ処理」
  • 剛性と熱伝導率を兼ね備えた0.4mm厚フィン
  • 長寿命な高密度密閉型FDBを採用した「KAZE FLEX」

マイナスポイント

  • ファンが光らないため見た目が地味(RGBモデルあり)
  • 中の梱包が最低限で強い衝撃に弱い

今回検証に使用したRyzen 9 3900Xは12C24Tで発熱もそれなりにあったが、優秀な結果を残してくれたため、Ryzen 5、Ryzen 7のCPUであればもう少し余力を残すことができるはずだ。価格も「虎徹 Mark Ⅱ」に1000円ちょっと予算を上乗せするだけで購入できるため、非常に手が出しやすい。高さが確保できない場合を除けば、120mmの簡易水冷などよりも静音性、冷却性能兼ね備えた「MUGEN5 Rev.B」を おすすめしたい。また、光るゲーミングPCを構築したい場合にはアドレサブルRGB対応の「無限伍 ARGB PLUS」を検討するといい。全高157.5mmと少し高さは増すが、多くのミドルタワーケースでは比較的干渉しにくい高さではあるため設置しやすいだろう。

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