製品提供:ASUS JAPAN

 ASUSがラインナップしているゲーミングブランドはROGシリーズ、TUF GAMINGシリーズの2つが存在するが、今回紹介するTUF GAMINGシリーズのマザーボードは耐久性・安定性・信頼性に優れており初心者からゲーマー、自作PC玄人まで幅広い層に支持されているバランスの取れた製品だ。Intel第12世代CPU向けTUF GAMINGシリーズのマザーボードは6種存在するが、今回は機能と価格のバランスが取れたTUF GAMING H670-PRO WIFI D4、TUF GAMING B660M-PLUS D4を紹介する。

スペック

TUF GAMING H670-PRO WIFI D4TUF GAMING B660M-PLUS D4
対応CPUソケットLGA1700LGA1700
搭載チップセットH670B660
フォームファクタATXmATX
対応メモリ4 x DIMM, Max. 128GB, DDR4
5333MHz~3333MHz(OC)
3200MHz~2133MHz
non-ECC Unbuffered Memory
4 x DIMM, Max. 128GB, DDR4
5333MHz~3333MHz(OC)
3200MHz~2133MHz
non-ECC Unbuffered Memory
マルチGPU対応なし対応なし
拡張スロットPCIe 5.0 x 16 x 1
PCIe 3.0 x 4 x 1(x16形状)
PCIe 3.0 x 1 x 2
PCIe 5.0 x 16 x 1
PCIe 3.0 x 4 x 1(x16形状)
PCIe 3.0 x 1 x 1
ストレージSATA3 (6Gbps) x 4、M.2 (PCIe4.0 x 4) x 4SATA3 (6Gbps) x 4、M.2 (PCIe4.0 x 4) x 2
有線LANIntel I225V 2.5Gbps LANRealtek 2.5Gb Ethernet
無線LANIntel Wi-Fi 6 AX210なし
搭載オーディオRealtek ALC887/897Realtek 7.1 Surround Sound High Definition Audio CODEC
背面インターフェースUSB 3.2 Gen 2×2 port (USB Type-C) x 1
USB 3.2 Gen 2 ports (Type-A) x 2
USB 3.2 Gen 1 ports (Type-A ) x 4
DisplayPort x 1
HDMI port x 1
Wi-Fi Module x 1
Intel 2.5Gb Ethernet port x 1
Audio jacks
Optical S/PDIF out port x 1
USB 3.2 Gen 2×2 port (USB Type-C) x 1
USB 3.2 Gen 2 ports (Type-A) x 4
USB 3.2 Gen 1 port (Type-A) x 1
USB 2.0 ports (Type-A) x 2
DisplayPort x 1
HDMI port x 1
Realtek 2.5Gb Ethernet port x 1
Audio jacks
Optical S/PDIF out port x 1

付属品のチェック

 TUF GAMING H670-PRO WIFI D4/TUF GAMING B660M-PLUS D4の付属品はほぼ同じでユーザーマニュアル、ドライバDVD、シール、CERTIFICATE OF RELIABILITYと書かれたTUF GAMINGマザーボードの耐久性を表した紙、キャンペーン参加用のQRコード、M.2固定ねじ、片面実装M.2 SSDを取り付けた際の隙間を埋める緩衝材、SATAケーブルである。またTUF GAMING H670-PRO WIFI D4を含むWi-Fi搭載モデルには右側の写真にあるアンテナが付属している。

TUF GAMING H670-PRO WIFI D4をチェック

 まずはTUF GAMING H670-PRO WIFI D4を取り出し、製品外観や搭載コンポーネントを見ていく。

 TUF GAMING H670-PRO WIFI D4はATXサイズのマザーボードである。マザーボードの配色は黒地に黄色のアクセントがあり、チップセットヒートシンクの色はシルバーだ。グラフィックスカード向けの一番上のPCIeスロットは最新のPCIe5.0に対応している。

 背面I/Oパネルはマザーボード一体型となっている。画面出力はDisplayPortとHDMIポートが1つずつの標準構成、USBポートはType-Aが6つ、Type-Cが1つ用意されている。ネットワークはIntelのI225Vで2.5Gのもの、及びIntel Wi-Fi 6 AX210が採用されている。

 CPUソケットはIntel第12世代から採用されたLGA1700を採用、従来のLGA1200ソケットよりも縦長な形状をしている。CPUクーラーの取り付け穴はLGA1700以外にもLGA115x/1200のものにも対応している。

 電源回路にはTUFチョークコイルを採用、フェーズ数は14+1フェーズで50AのDrMOS、PWMコントローラーには自社開発のDigi + VRMが採用されている。また写真右上に見えている電源コネクタにはProCoolコネクタを採用しており電源ピンが強化されている。これにより抵抗値を下げ温度の上昇や故障を防ぐことができる。

 TUF GAMING H670-PRO WIFI D4は従来通りDDR4ソケットが採用されている。最大容量は128GB、最大速度は5333MHzに対応している。

 CPUソケット周りにファン用の4pin PWM端子が充実しているのも特徴的だ。CPUソケット上に2つ、CPUソケット下に2つ用意されているのでデュアルファンの空冷クーラーはもちろんトリプルファンの空冷クーラーを使用しても困ることがないだろう。

 M.2スロットは合計4基搭載している。すべてGen4 SSDに対応しており非常に高速なM.2 SSDを搭載することが可能である。またM.2 SSDの固定にはねじではなくプラスチック製のつまみが採用されているのでドライバーを使うことなくワンタッチで取り付けることが可能だ。

 SATAポートは合計4基搭載している。上位モデルに比べるとSATAポートの数は少ないが先述したM.2ポートが4基用意されていることからストレージの接続は十分とも言えるだろう。

 搭載されているオーディオはRealtek 7.1サラウンドサウンドに対応したRealtek 7.1 Surround Sound High Definition Audio CODECである。TUF GAMING H670-PRO WIFI D4はオーディオチップの上にTUFゲーミング オーディオチップ プロテクションと呼ばれる電磁波シールドを搭載しており、オーディオ信号の整合性を保ち最高の音質を実現している。

 マザーボードのVRMヒートシンクはそれぞれ約170g、86gと少々小ぶりではある。ただし15フェーズのDrMOSを搭載している点を考えると十分と言えるだろう。

M.2 SSD用のヒートシンクは29.31g、47.78gと一般的な質量である。Gen4 SSDを搭載しても十分な冷却が可能だ。

TUF GAMING B660M-PLUS D4をチェック

 続いてTUF GAMING B660M-PLUS D4の製品外観や搭載コンポーネントを見ていく。

 TUF GAMING B660M-PLUS D4はMicroATX規格のマザーボードで先ほど紹介したTUF GAMING H670-PRO WIFI D4と比べて一回り小さい。その分拡張性は多少犠牲になっているが必要な機能はすべて搭載してあり日本では大人気のサイズとなっている。

 リアのI/Oパネルの構成もTUF GAMING H670-PRO WIFI D4とは多少違いWi-Fiアンテナ用のコネクタがなくなっている代わりにUSB Type-Aポートが1つ多く用意されている。またTUF GAMING B660M-PLUS D4はUSB2.0端子も用意してありノイズに弱い周辺機器を使用する際は非常に高価を発揮すると予想される。また2.5G LANはTUF GAMING H670-PRO WIFI D4とは違いRealtek製のものが採用されている。

 CPUソケットはLGA1700、TUF GAMING H670-PRO WIFI D4はCPUクーラー用の穴としてLGA1700以外にもLGA115x/1200用のものも取り付け可能だったが、TUF GAMING B660M-PLUS D4はLGA1700用のもののみ対応となっている。

 マザーボードのVRMは10+1+2フェーズ構成、MOSFETは電源効率に優れた50AのDrMOSが採用されている。PWMコントローラーには自社開発のDigi + VRMが採用されている。

 TUF GAMING B660M-PLUS D4と名前の最後にD4とついている通りメモリはDDR4規格が採用されている。最大容量は128GBで最大周波数は5333MHzである。

 M.2スロットは合計で2ポート、どちらもGen4 SSDに対応しておりワンタッチで取り付け可能だ。またグラフィックスカード用のPCIeスロットはPCIe5.0に対応しておりより高速な通信が可能となっている。

 SATAポートは合計で4ポートである。コンパクトさが売りのMicroATXフォームファクタであれば4ポートで十分と言えるだろう。

 オーディオチップにはRealtek 7.1 Surround Sound High Definition Audio CODECが搭載されている。TUF GAMING H670-PRO WIFI D4と同じチップが搭載されているが、スペースの問題からかTUFゲーミング オーディオチップ プロテクションは取り付けられていない。

 VRMのヒートシンクは155.61g、77.81gとTUF GAMING H670-PRO WIFI D4よりもさらに控えめである。TUF GAMING B660M-PLUS D4ではCore i9 12900Kのような超高消費電力なCPUを使うことは避けた方が良いだろう。

 M.2ヒートシンクも21.67gと控えめである。Gen4 SSDを使用しても問題はない質量だが少々動作温度が高いと感じることもあるだろう。

動作検証

 それではTUF GAMING H670-PRO WIFI D4、TUF GAMING B660M-PLUS D4を実際に動作させ、動作の安定性や温度をチェックする。

検証環境

OSWindows 11 Pro
CPUIntel Core i7 12700K
CPUクーラーNoctua NH-D15
マザーボードTUF GAMING H670-PRO WIFI D4/TUF GAMING B660M-PLUS D4
メモリCentury Micro CK16GX2-D4U3200
グラフィックスカードELSA GeForce RTX 3090 ERAZOR X
SSDSeagate FireCuda 520 1TB/Samsung 980 Pro 1TB
電源Cooler Master V1200 Platinum
ケースFractal Design Define 7 Compact

VRM温度検証

 Prime95を使用し、VRMの温度検証を行った。アイドル時温度は37℃、40℃で負荷をかけ始めると最大65℃、78℃まで上昇した。今回使用したCPUはCore i7 12700Kだが、VRMのフェーズ数に40%、ヒートシンクの質量に約10%の差があるので10℃以上の差が出たと言える。K付きCPUやより高性能なCPUを搭載する場合はTUF GAMING H670-PRO WIFI D4を、Core i7 12700やCore i5 12400など低発熱なCPUを搭載する場合はTUF Gaming B660M-Plus D4を選ぶと良いだろう。

M.2ヒートシンク性能検証

 マザーボードに搭載されているM.2ヒートシンクのうち、上部についているものの冷却性能を調べる。今回は下のM.2スロットに搭載したSamsung 980Proに作成した300GBのファイルをM.2ヒートシンクが搭載されたスロットに取り付けてあるSeagate FireCuda 520に書き込む。

 アイドル時の温度はどちらも変わらず39℃を記録。その後300GBのファイルを書き込み始めると最大温度はTUF GAMING H670-PRO WIFI D4は56℃、TUF Gaming B660M-Plus D4は59℃を記録した。ヒートシンクの質量は約8gも違いTUF Gaming B660M-Plus D4ではGen4 SSDの熱を受け止めきれないのではと心配したがPCケースに入れている場合はエアフローが作られる関係から大きな差とはならず安全圏内な温度での使用が可能だった。

メモリクロック変動

 PCの安定動作に関わるメモリクロックの変動を測定した。特に動画編集者や映像作品を作る人には大変重要な数値である。今夏使用するメモリはセンチュリーマイクロ製のDDR4 3200MHzのものだ。動作周波数は1600MHzでネイティブ動作をしている。PugetBench for DaVinci Resolveを使用し、動画書き出しにおけるエンコード負荷をかけてテストを行う。

 どちらのマザーボードもメモリクロックの変動は一切起こらず、ProArt X570-CREATOR WIFIのようなクリエイターマザーボード顔負けな変動0でテストを完走することができた。TUF GAMINGブランドが掲げている「耐久性・安定性・信頼性」の名に恥じない素晴らしい安定性を見せている。

総評

 TUF GAMING H670-PROWIFI D4、TUF Gaming B660M-Plus D4共に値段も内容も納得いくマザーボードだ。DDR4メモリを使用することができるところは価格を抑えるといった点ではかなりのメリットだろう。TUF GAMINGシリーズのマザーボードは安定性の高さや機能が多すぎない点から自作PC玄人以外に初心者ゲーマーにもおすすめなシリーズだ。また今回紹介した2枚のマザーボードはチップセットの違いの他にマザーボードのサイズも違う。拡張性を求める場合はTUF GAMING H670-PROWIFI D4、コンパクトなPCを作りたい場合にはTUF Gaming B660M-Plus D4を選ぶと良いだろう。TUF Gaming B660M-Plus D4にはWi-Fiを搭載したTUF Gaming B660M-Plus WIFI D4というモデルも存在している。有線LAN環境を用意できない、またはWi-Fiを使用したい人はこちらを選ぶのも良いだろう。初めての自作PCや長くPCを使おうと考えてる人はTUF GAMINGシリーズのH670、B660マザーボードは特におすすめであると言える。