製品提供:株式会社Scythe

 近年のCPUは発熱が大きくハイエンドCPUを使う場合は簡易水冷クーラーを使う場面も多くみられるようになった。以前はPCのデザイン性向上のために簡易水冷クーラーや本格水冷クーラーを導入するといったものが多かったが、現在では空冷クーラーの冷却性能では不十分といった理由で簡易水冷クーラーを利用する人も多い。簡易水冷クーラーの冷却能力は確かにすごいのだが、大型空冷クーラーというものもまた冷却能力は目を見張るものがある。今回紹介するNoctuaのNH-D15は空冷クーラーの中ではトップクラスに大きいヒートシンクを持ち、140mmのファンを2つ搭載することで冷却能力を確保している。今回はAMD RyzenシリーズのハイエンドCPUであるRyzen 9 5950Xを使用してNH-D15の冷却能力を調べる。

スペック

サイズ150(W) x 165(H) x 161(D) mm
搭載ファンNF-A12x25 PWM
ファンサイズ140 x 140 x 25mm
ファン回転数300~1500rpm ±10%
ファンノイズ・風量24.6dBA
ファン風量140,2m³/h
フィン数45枚
ヒートパイプφ6mm x 6
対応ソケットIntel LGA775/1150/1151/1155/1156/1200/2011(v3)2066
AMD AM2/AM3/AM4/FM1/FM2
重量1320g
保証2年間

開封

 パッケージはNoctuaのブランドカラーとも言える茶色を基調としたデザインである。全体的に高級感がありCPUクーラーのパッケージとしては珍しい。大きさもかなりの大きさでCPUクーラー本体の大きさをうかがえる。

 箱を開けると付属品が入れられている箱が最初に現れる。その下にはNH-D15本体と追加ファンのNF-A15 PWM fanが緩衝材に囲まれて入れられている。

 NH-D15、付属ファンは個別に段ボールで厳重に梱包されている。

付属品

 続いてNH-D15の付属品を見ていく。箱は基本的に他Noctua製品と同じもの、同じ配置で収められている。

 CPUクーラーをマザーボードに取り付けるためのリテンション類はIntel LGA2066系、メインストリーム系、AMDメインストリーム系のものが用意されている。一番左に置いてあるバックプレートはIntelのメインストリーム用に使用するものでありAMDプラットフォームではマザーボードに付属しているバックプレートを使用する。

 付属しているCPUグリスはNT-H1だ。NH-D15にはセカンドファンが取り付け可能なのでファン装着用のクリップも付属している。その他付属品としてはファン分岐用のYケーブル、2本のロースピードケーブル、金属製ロゴステッカー、L字型ドライバー、各プラットフォーム用の説明書が用意されている。

外観レビュー

 続いて本体外観を見ていく。

 NH-D15はツインタワー式のヒートシンクが採用されており1棟当たりは45枚のフィンで構成されている。側面はフィンを折り返して閉じられた形状をしており空気の流れを乱さないようになっている。

 NH-D15の上面はNoctuaロゴが2つあしらわれており片側6本のヒートパイプが突き出ている。

 ヒートシンクのフィンは幅が広く全幅は150mmとなっている。高さは165mmと高く全幅、全高ともに非常に大きいCPUクーラーとなっているのでケースに組み込む際は入るかきちんと確認したほうが良いだろう。

 ベースプレートは銅製でニッケルメッキが施されている。ベースプレートの平滑性はかなりのものでCPUからの熱移動は優秀そうだ。

 ベースプレートから生えているヒートパイプは6本で幅150mmのフィンに向かってかなり広げられている。幅を大きく確保することで均一に熱拡散をする効果がある。

 搭載されているファンはNF-A15 PWMである。回転数は最大1500rpmで120mmファンと比べて回転数は抑え目である。ベアリングにはSSO2ベアリングと呼ばれるNoctua独自のボールやスリーブベアリングよりもなめらかで長寿命と言われるものを使用している。またこのファンの取付用ねじ穴は120mmファンと同様の配置なのでケースに取り付ける場合にも使いやすい。

 ファンのインペラにはFlow Acceleration Channnelsと呼ばれる3つおスリットが設けられている。これにより乱流や風切り音を減らす効果がある。

組み込み・温度検証

検証環境

 それでは今回の検証機にNoctua NH-D15を取り付ける。今回の検証構成は以下のとおりである。

OSWindows 10 Pro 1909
CPUAMD Ryzen 9 5950X
CPUクーラーNoctua NH-D15
マザーボードASRock X570 Creator
メモリCentury Micro CK16GX2-D4U3200
グラフィックスカードELSA GeForce RTX3090 ERAZOR X
SSDSamsung 980Pro 500GB
電源Cooler Master V1200 Platinum
ケースFractal Design Define 7 Compact

取り付け

マザーボードにNH-D15のリテンションを取り付ける。今回はProArtistのRyzen抜け防止アイテムである「IFE2」を使用する。Noctua、ProArtistの日本代理店をしている株式会社サイズによるとProArtistのIFE2はNoctuaクーラー用のリテンションにも使用することができる。とのことだ。4Chunksでも実際に取り付けて問題ないことが確認できた。

 NH-D15のファンを取り外し、リテンションに取り付ける。上下2つのねじを締めるのだが、ツインタワーのヒートシンクが大きく普通のドライバーでは締めにくいこともあるので付属しているL字型のドライバーを使用すると良いだろう。

 マザーボードにヒートシンクを取り付けたら2つのファンを取り付ける。右側のファンはメモリと物理干渉しないように少し高めにつけているが、今回使用しているケース「Fractarl Design Define 7 Compact」のサイドパネルは問題なく閉じることができた。

 NH-D15を取り付けた後、グラフィックスカードを挿入し、PCとして組み上げた。こうして見るとNH-D15の大きさがよくわかる。CPUクーラーとしては最大クラスであり存在感に圧倒される。

 注意点としてはNH-D15は非常に大きいCPUクーラーなのでグラフィックスカードによってはCPUクーラーとグラフィックスカードの間に余裕がなく、PCを分解する際にPCIeスロットのロックを外すことが難しくなっている。大型空冷クーラーの多くはこのような問題があるためグラフィックスカードを取り外す際は定規のようなある程度硬くて長さがあるものでロックを外す必要がある。マザーボードを傷つけてしまう恐れもあるので大型クーラーとバックプレートが付いているグラフィックスカードを使用する際は注意されたい。

OCCT7.2.3:OCCTテストでCPU温度推移を見る

 冷却性能のテストとしてまずはRyzen 9 5950XをOCCT 7.2.3:OCCTテストを使用して30分間負荷をかけ続けた。アイドル時温度は40℃以下を推移し、負荷をかけ続けると48度まで急激に温度が上昇、その後緩やかに52℃まで温度が上昇した。動作クロックは4.4GHz前後を推移しており16コア32スレッドのハイエンドCPUでもNH-D15ほどの大型空冷クーラーなら全く気にならない温度まで冷やすことができている。冷却性能は十分すぎるほどだ。

Precision Boost Overdrive 2を使用してOCCT7.2.3:OCCTテストでCPU温度推移を見る

 通常のOCCT7.2.3:OCCTテストではNH-D15の冷却能力が強すぎて50℃台前半という結果となった。そのためAMD Ryzen 5000シリーズに搭載された自動オーバークロック機能のPrecision Boost Overdrive 2(PBO2)を使用してCPUをより高発熱にし、NH-D15の冷却能力を測定していく。

 CPUのクロックは4.4GHzから4.57GHzまでオーバークロックされ、CPUの発熱量も上がった。アイドル時の温度はPBO2なしの状態と同じ40℃未満だが、CPU温度は最大57℃まで上昇した。0.17GHzとはいえオーバークロックされたRyzen 9 5950Xを50℃台に抑え込めるこの冷却性能は目を見張るものがあるだろう。

NH-U12Aとの比較

 続いて同じNoctua製の12cm空冷クーラー「NH-U12A」とNH-D15を比較する。どちらもPBO2を有効化した状態でOCCT7.2.3:OCCTテストを行い、両者を比較した。NH-U12AとNH-D15のアイドル時の温度はどちらも同じであるが、負荷をかけ始めるとNH-U12AはCPUCPU温度が一気に上昇し、最大温度65℃を記録した。一方でNH-D15は最大57℃とNH-U12Aと8℃の差がみられた。14cmファンを搭載したツインタワーの巨大空冷クーラーの冷却性能を改めて実感できる。

総評

 Noctua NH-D15は空冷クーラー界最強ともいえる冷却性能を持ち、AMDのハイエンドCPUであるRyzen 9 5950Xを冷却しきるほか、自動オーバークロックを有効にした状態でも余裕と言える冷却性能を誇っていた。価格も1万円から13000円ほどと冷却性能の割に手の出しやすい価格であることも魅力の一つだ。また140mmファンを搭載しているので120mmファン搭載モデルのCPUクーラーよりもファンが出す風切り音が小さいので静音性も優秀だ。
 一方でNH-D15は巨大なCPUクーラーであるためPCに取り付けたら分解をする際に苦労することも忘れてはいけない。今回グラフィックスカードにはELSA GeForce RTX 3090 ERAZOR Xを使用したが、バックプレートとCPUクーラーが干渉しあってPCを分解することに手こずった。大型空冷クーラーを取り付ける際は分解性能を犠牲にすることもあるということを頭に入れておくと良いだろう。
 高品質・静音な大型空冷クーラーの購入を考えている人はこのNH-D15がおすすめだ。