製品提供:株式会社サイズ
現在主流となっている空冷CPUクーラーはサイドフロー型のものが多い。これはPCケースの前面から吸気し、背面から排気するというPCケースの風の流れをそのまま使用できるので冷却効率が良いということでハイエンド空冷クーラーにも多く採用されている。かといってトップフロー型のCPUクーラーはデメリットしかないのかと言うとそうではない。大電力を要求するCPUに電力を供給するマザーボードのVRMや高速化と高発熱化するNVMeSSDを冷却することができるのはトップフロー型CPUクーラーならではである。Noctua NH-C14Sはそんトップフロー型CPUクーラーとしては珍しいハイエンドモデルだ。今回はAMD RyzenシリーズのハイエンドCPUであるRyzen 9 5950Xを使用してNH-C14Sの冷却能力を調べる。
スペック
サイズ | 140(W) x 115(142)mm(H) x 163mm(D) |
搭載ファン | NF-A14 PWM |
ファンサイズ | 140 x 140 x 25mm |
ファン回転数 | 300~1500rpm ±10% |
ファンノイズ・風量 | 24.6dBA |
ファン風量 | 140.2m³/h |
フィン数 | 67枚 |
ヒートパイプ | φ6mm x 6 |
対応ソケット | Intel LGA775/1150/1151/1155/1156/1200/2011(v3)2066 AMD AM2/AM3/AM4/FM1/FM2 |
重量 | 1015g |
保証 | 2年間 |
開封
パッケージはいつも通りNoctuaのコーポレートカラーである茶色をベースとしたデザインである。以前紹介したNoctua NH-U12Aのパッケージと同サイズ程度の大きさである。
付属品
続いてNH-C14Sの付属品を見ていく。箱や付属品は基本的に他Noctua製品と同じもの、同じ配置で収められている。
CPUクーラーをマザーボードに取り付けるためのリテンション類はIntel LGA2066系、メインストリーム系、AMDメインストリーム系のものが用意されている。一番左に置いてあるバックプレートはIntelのメインストリーム用に使用するものでありAMDプラットフォームではマザーボードに付属しているバックプレートを使用する。また、今回レビューするロットにはIntel第12世代向けのLGA1700ソケット用のリテンションは付属していないのでIntel第12世代マザーボードを使用する際はこちらのリテンションキットを購入する必要がある。
付属しているCPUグリスはNT-H1だ。NH-C14Sにはセカンドファンが取り付け可能なのでファン装着用のクリップも付属している。その他付属品としてはロースピードケーブル、金属製ロゴステッカー、L字型ドライバー、各プラットフォーム用の説明書が用意されている。
外観レビュー
それではNH-C14S本体を開封し、本体外観を見ていく。
内箱は非常に特徴的な形をしており開封は非常に印象的なものとなっている。
開封すると上下反転した状態で製品が収められている。汎用の内箱を使っているのではなくそれぞれのモデルに合わせて適切な梱包をしているところもNoctuaの製品に対してのこだわりとも言えるだろう。
本体を内箱から取り出しまずはベースプレートを見る。ベースプレートは銅にニッケルメッキが施されている。ヒートパイプは7本に見えるが、中央の1本はベースプレートから生えていないので熱を伝えているヒートパイプは6本と考えて良さそうだろう。
ヒートシンクを突き抜けているヒートパイプが6本であることも7本のうち1本が支柱であると判断する材料になる。ヒートシンクのクオリティは他のNoctua製クーラーと同じく非常に質が高い。
ヒートシンクのフィンの枚数は60枚を超えておりフィン枚数はサイドフロー型のCPUクーラーより圧倒的に多い。風の流れを考えなければヒートシンクとしての性能はサイドフロータイプのCPUクーラー以上の性能を発揮してもおかしくないだろう。
真上から見るとマザーボードに取り付けたリテンションにねじ止めするためにドライバーをさす穴があることがわかる。この穴はNH-C14Sに取り付けるファンがついていてもインペラを避けてねじを締めることができる。
NH-C14Sはトップフロー型のCPUクーラーの利点を活かし、高さを抑えて運用することも可能だ。ヒートシンクの下側にファンを取り付けると全高は115mmしかないので小さいMini-ITXケースでも使用できるものが多いだろう。
ファンをヒートシンクの上に取り付けると全高142mmとなる。付属品にはセカンドファンを取り付けるためのクリップも付属しているのでヒートシンクを挟む形で風量を増やして運用すれば高発熱な構成でも問題なく冷やすことができるだろう。
NH-C14Sに付属しているファンはNF-A14 PWMである。大きさは14cm、最大回転数は1500rpmで風量は十分だ。付属の低ノイズアダプタを使用することで回転数を1200rpmまで落とすことも可能だ。
組み込み・温度検証
検証環境
取り付け
マザーボードにNH-C14Sのリテンションを取り付ける。今回はProArtistのRyzenスッポン防止アイテムである「IFE2」を使用する。Noctua、ProArtistの日本代理店をしている株式会社サイズによるとProArtistのIFE2はNoctuaクーラー用のリテンションにも使用することができる。とのことだ。4Chunksでも実際に取り付けて問題ないことが確認できた。
OCCT7.2.3:OCCTテストでCPU温度推移を見る
冷却性能のテストとしてまずはRyzen 9 5950XをOCCT 7.2.3:OCCTテストを使用して30分間負荷をかけ続けた。アイドル時温度は35℃前後を推移し、負荷をかけ続けると48度まで急激に温度が上昇、その後緩やかに55℃まで温度が上昇した。定格動作で使用する場合、NH-C14SはRyzen 9 5950Xを冷やしきることができていると考えて良さそうだろう。
Precision Boost Overdrive 2を使用してOCCT7.2.3:OCCTテストでCPU温度推移を見る
続いてRyzen 5000シリーズに搭載された自動オーバークロック機能のPrecision Boost Overdrive 2(PBO2)を使用してCPUをより高発熱にし、NH-C14Sの冷却能力を測定していく。
CPUのクロックは4.48GHzまで上昇しCPUの温度は62℃を記録した。以前紹介したNoctua NH-D15と比べると動作クロックは0.1GHzほど低く、CPUの最高温度は5℃高い。冷却能力に不足があるというわけではないが性能を追求するのであればより高性能なCPUクーラーを使用した方が良い、もしくは追加ファンを増設すると良いだろう。
総評
Noctua NH-C14Sはトップフロー型CPUクーラーとしては珍しいハイエンド空冷CPUクーラーである。しかしハイエンドとは言えどサイドフロー型CPUクーラーのハイエンドであるNoctua NH-D15には冷却力で勝つことはできないので冷却力がより必要な人はサイドフロー型の大型空冷クーラーや大型簡易水冷クーラーを使うと良いだろう。このCPUクーラーのデメリットとしては絶対的な冷却力はサイドフロー型CPUクーラーや簡易水冷CPUクーラーに負けてしまうこと、追加ファンを搭載する場合高さの高いメモリを使用したときに干渉してしまうといったこと、空冷CPUクーラーとしては強気な値段といったところだろう。NH-C14Sの価格は空冷クーラーとしては高めの約12000円ほどと「この価格だったら簡易水冷CPUクーラーを買おう」とも思ってしまう価格ではある。それでもマザーボードの電源回路やM.2 SSDを冷却することができるという点はトップフロー型CPUクーラーのメリットと言えるだろう。CPU以外の場所の冷却も行えると考えるとトップフロー型のCPUクーラーもまだまだ捨てたものではないのではないだろうか。
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