試用提供:TEAMGROUP

PCを使ってデジタル作品を作るクリエイターはここ数年で爆発的に増えている。高いクオリティを短時間で作り上げるために高性能なPCを求めてBTOパソコンメーカーのゲーミングPCを購入している人が多い現在だが、動画編集者や配信者、超高負荷の3DCGなどを制作する人は負荷に耐えきれず1年ほどでPCが壊れてしまうケースも少なくない。現在はBTOパソコンメーカーもクリエイター向けPCのラインナップが充実してきているが、自作PCでクリエイターPCを作る場合はどのようなパーツを選べばよいのだろうか。今回は実際にクリエイターに最適なPCの構成を例に挙げながら解説していく。

今回紹介するクリエイターPCの構成

今回紹介するクリエイターPCの構成を紹介する。今回の構成は性能を追求することはもちろん、安定性や耐久性も重視しており各パーツごとにクリエイター向けの一押しポイントがある。

OSWindows 10 Pro
CPUAMD Ryzen 9 5950X
CPUクーラーNoctua NH-U12A
マザーボードASRock X570 Creator
メモリTEAM T-CREATE CLASSIC 10L DDR4 32GB
グラフィックスカードELSA GeForce RTX3090 ERAZOR X
SSDTEAM T-CREATE CLASSIC 3.0 PCIe SSD 1TB
電源SuperFlower LEADEX III 850 GOLD
ケースFractal Design Define 7 Compact

今回の主役パーツ メモリ・SSD

クリエイターPCではメモリやSSDの安定性、SSDの故障率の低さが非常に重要な要素となってくる。今回はTEAMGROUPより高品質なクリエイター向けメモリ、SSDを貸していただけたのでこちらを使用してクリエイターPCを組み上げる。

メモリ:Team T-CREATE CLASSIC 10L DDR4 32GB

今回採用したメモリ、SSDはT-CREATEというTeamのクリエイター向けブランドだ。Teamではゲーマー向けのT-Forceブランドが非常に有名だが、このT-CREATEシリーズは高品質、高耐久を売りにした新ブランドだ。T-CREATE CLASSIC 10L DDR4 32 GBはJEDECに準拠した10層基板と耐高温コンデンサを組み合わせた定格3200MHzのメモリである。ヒートシンクがついているデザインにも気を配ったメモリはオーバークロックされているものがほとんどであり、動画編集者やゲーム実況者など「エンコード」をする人にとってはメモリクロックの変動が起きやすいオーバークロック系のメモリは適していない。今回のT-CREATE CLASSIC 10L DDR4 32 GBは定格で3200MHz動作をするため無理なオーバークロックによるメモリエラーの起こる可能性がないこと、電源にかかる負荷の変化によって引き起こされるメモリクロックの微妙な変動が起こりづらいことがメモリの安定性向上に大きく関わっている。PCBは10層基板を採用しているためノイズだらけのPCケース内でも電気的なノイズの影響を受けにくくnon-ECCメモリながらもデータの正確性も非常に高いことが期待できる。

メモリヒートシンクの高さは32mmで大型CPUクーラーとも干渉しづらい。

SSD:Team T-CREATE CLASSIC 3.0 PCIe SSD 1TB

今回採用するSSDもTeamのT-CREATEシリーズだ。Team T-CREATE CLASSIC 3.0 PCIe SSDはクリエイターに向けた独自のコントローラーを採用、非常に安定したファームウェアを搭載したNVMe SSDだ。今回使用するモデルはPCIe Gen3のモデルだが、Teamのホームページ上ではPCIe Gen4に対応したモデルも存在しているので日本市場で発売されれば非常に注目度の高いSSDになるだろう。搭載しているチップも選別された高耐久・高品質なものが使われておりハードな使い方をしても重要なデータを失いづらいという点はクリエイターにぴったりだろう。

M.2ヒートシンクを取り付けて仕舞えば隠れてしまうのであまり重要なことではないかもしれないがデザインもシンプルでエレガントだ。

その他今回使用するパーツ類

CPU:AMD Ryzen 9 5950X

CPUは動画編集、その他超高負荷がかかる作業をすることを前提にメニーコアながら使いやすいAMD Ryzen 9 5950Xを選択。Zen3世代になり1コアあたりの性能も飛躍的に向上したほか、Ryzenシリーズで問題視されていたUSB周りの不具合も非常に少なくなったことからクリエイターにはぴったりのCPUとなった。多コアに対応しているソフトウェアも多くなってきているので16コア32スレッドを生かして作業効率の向上が図れるだろう。
AMD Ryzen 9 5950Xのレビューはこちら

マザーボード:ASRock X570 Creator

ASRockから発売されているクリエイター向けマザーボードのX570 Creator。どのような点がクリエイター向けかというと高性能なCPUを長時間稼働させてもヘタれることのない熱設計やPCIe、メモリ回路周りの安定性は群を抜いている。特にマザーボードのメモリ関係の安定性に問題があるとせっかく高品質なメモリを使用しても効果が半減してしまう。メモリクロックの細かな変動を起こさないためにもマザーボードからしっかりとしたものを選ぶことがベストだろう。またこのASRock X570 CreatorにはThunderbolt3ポートも搭載されているので高性能な液晶タブレットや大容量のDAS(外付けハードディスクケース)を使用することも可能だ。
ASRock X570 Creatorのレビューはこちら

CPUクーラー:Noctua NH-U12A

CPUクーラーは大きく分けて水冷、空冷の2種類があるが、長時間の連続稼働が予測されるクリエイターPCには空冷クーラーがおすすめだ。その理由は大きく分けて2点あり、一つ目は動作する部分を少なくすることで故障率を抑えることができることだ。空冷クーラーは搭載しているファンのモーター周りが壊れる恐れがあるが、水冷クーラーではファン以外に水冷ヘッドに内蔵しているモーターが壊れることも考慮しなくてはならない。長時間商業で使用することを考慮すると故障する可能性を抑えることを第一に考えた方が良いだろう。今回選択したNoctuaのNH-U12Aは12cmファンを搭載していながらも14cmファン搭載の空冷CPUクーラーに匹敵する冷却性能を誇る。AMD Ryzen 9 5950Xも冷やし切ることができるこのCPUクーラーは決して安いものではないが買って後悔することはないだろう。
Noctua NH-U12Aのレビューはこちら

グラフィックスカード:ELSA GeForce RTX3090 ERAZOR X

グラフィックスカードは各社さまざまなモデルを出しているが、筆者がクリエイターに特にお勧めするグラフィックスカードはELSAのグラフィックスカードだ。特に今回のGeForce RTX3000シリーズでは他メーカーよりもかなり遅れての登場となったELSAだが、発売が遅れた原因は当初考えられていたグラフィックスカードのヒートシンクの性能がELSAの定める基準をクリアできなかったことにある。そのためヒートシンクを再設計し冷却性能を妥協しなかった結果、他社製品では長時間の使用時にメモリバス幅が低下してしまうモデルもあるところ、ELSA製のグラフィックスカードではそのような性能低下は見られていない。またELSAの品質管理、サポートは非常に優秀で工場出荷時の全数検査や日本国内での全数検査、BtoBのサポートを行なっている担当者がQuadroシリーズ・GeForceシリーズのサポートを行うため他社よりもサポートが早い点もELSAの強みだ。今回はGeForceを選択しているが、用途によってはQuadroシリーズ、AMDのRadeonシリーズを選ぶことも考えると良いだろう。
ELSA GeForce RTX3090 ERAZOR Xのレビューはこちら

電源:SuperFlower LEADEX III 850 GOLD

最近まであまり知られることのなかったSuperFlowerはSeasonicと同等レベルの品質が売りの電源ブランドだ。特に今回紹介するような構成では非常に大容量の電力を消費するので高出力を安定して長時間維持することのできるSuperFlowerの電源はぴったりだろう。高品質にも関わらず非常に手頃な価格で入手できるのでゲーミングPCを作る際にもお勧めの電源だ。

ケース:Fractal Design Define 7 Compact

Fractal Designの Define7シリーズは高品質なPCケースなことで有名だ。今回採用しているDefine 7 CompactはSolidモデルと言ってサイドパネルにガラスを使用していないものだ。サイドパネルにガラスを採用するとPCの内部が見えて非常にオシャレだが、静音性を重視するのであればSolidモデルがお勧めだ。サイドパネルの内側に吸音材が貼ってあるのでファンの音を抑制することが期待できる。
Fractal Design Define 7 Compactのレビューはこちら

組み立て・安定性テスト

それでは実際にクリエイター向けPCを組み立てる。今回は以前紹介したX570 Creatorのレビュー記事から構成を変更するという形でレビューするので、変更点はメモリ、SSDのみである。今回の検証にはDavinci Resolveの書き出しを行い実際に動画編集者が使う状況での負荷を想定してテストを行う。

SSDはCPU直結のM.2スロットに挿入、重要なソフトウェアはOSと同じCドライブに入れておくことでエラーが起きる可能性を減らすことができる。

メモリは2枚構成の際はCPU側から見て2番目、4番目のスロットに刺す。T-CREATEメモリはX570 Creatorの配色とマッチし一体感がある。

メモリの安定性

メモリはグラフの通りクロックの変動は一切ない。メモリクロックが変動すると動画書き出し時やライブ配信時のコマ落ちの原因となってしまう。良い電源環境(住宅事情も含む)を用意することが前提とはなってくるがきちんとした電源環境を整えることができればこのT-CREATE CLASSIC 10L DDR4は素晴らしい安定性を発揮してくれることだろう。ちなみに今回お借りしたT-CREATE CLASSIC 10L DDR4 32GBにはMicron製のメモリチップが使用されていた。

SSDの書き込み・読み込み温度変化

ASRockのX570 Creatorの上段M.2スロットにTeam T-CREATE CLASSIC 3.0 PCIe SSDを搭載し、Davinci Resolveの書き出しテストを行った。結果は最大67℃と超高負荷状態では少し高めの温度となった。Davinci Resolveで動画を書き出している際はCPUからの発熱、グラフィックスカードからの発熱の影響を受けていることも考えられるのでケース内部のエアフローをよくするためにケースに追加でファンを取り付けるとさらに良いだろう。速度に関しては書き込み速度が遅い記録媒体を使用するとエンコードに時間がかかるのみならずエンコードエラーになることも少なくない。今回のテストは合計で5回テストを行ったが1度もエラーが出ることはなかった。

その他CPU、グラフィックスカードの性能についてはそれぞれ個別のレビューをご覧いただきたい。

まとめ

クリエイターPCは性能よりも安定性を重視した方が良い、と筆者は考える。どんなに一発の性能が良かったとしても作成中のデータ吹き飛んでしまったら元も子もない。そのため今回紹介したような安定するPCパーツを選んで組むと長期的に安定動作をするPCを作ることができるだろう。また今回重点的にメモリとSSDを紹介した理由は既存のPCから構成を変更するとしたら一番手軽に交換できるパーツかつ効果が期待できるパーツだからである。現状の環境で不安定なPCを改善したいと考えるのであればまずはメモリ、SSDから交換してみてはいかがだろうか。